★★★
side 潤

『どうだった?さいたま』

「えっ?!」

さいたまから帰って、楽屋で遅めの昼メシ喰ってたら後から来た翔くんに声かけられて焦る。

『行ってきたんでしょ?劇場。』

「あっ、あぁ、そっちね?」

慌てすぎて、聞かれもしないのに余計な事に口滑っちゃうオレ(自爆)

『そっち?!って?えっ、他にもどっか行くって言ってたっけ?』

「いやいやいや、何でもないっす!こっちの話。ホント、何でもないから。」

そうやって言えば言うほどドツボなオレ。

『ふぅ~ん。』

って、ちょっと下目使いで腕組をして怪しむような瞳でオレを見てる翔くん…

暑くもないのに、変な汗が出て来るオレ…

つぅか、別に隠す事でもないのに…
何、動揺してんだよ、オレは。

まさかあんな場所で、あんなにもアッサリと彼女に出会っちゃうなんてさ…。

そんで、苛ついて彼女に暴言吐いちゃって泣かしちゃったし。

『ねぇ、、、何かあったの?』

「えっ?!何が?」

『いや、さいたまから帰ってきてから、あなた変だから…』

机に頬杖をついて、ジッとオレを見つめてる…

「そっ、そぉかな?フツーですよ?フツー。
嫌だな、翔くん、考えすぎだよ。」

『そうか?ならいいけど。
何か舞台装置とかで、気に入らない事でもあったのかなぁ…って思ったから。』

「あ~ぁ!」

そっちね?!…と言いそうになって今回は止めた。

「ないない!すっげえ綺麗なトコでしたよ?
思ったより劇場が狭くてさ、客席との距離がハンパねぇの!めちゃくちゃ緊張しそうだよ!」

聞かれてもない事をベラベラと喋ってしまう。

『ハハハ…そりゃ良かったな!』

そういって翔くんは、何の疑いもないように大きく笑った。

どこかでホッとしている自分が居て、ちょっと焦った。

翔くんに嘘ついた自分に胸がチクッと痛んだ。

★★★

あらら?
言わないの?!