★★★
side 潤
『あっ!! ちょっ! 待てって!』
オレの顔見るなり、慌てて逃げようとした彼女の手首を思わずガシッと掴んでいた。
「やっ・・・!ちょっと・・・離してっ・・・・ください・・・」
必死でオレから・・・いや、翔くんから逃げようとする彼女。
『なんでっ?どうして急に居なくなったりすんだよ?どんだけ翔くんがアンタの事 心配したと思ってんの?!』
気が付いたらオレは声を荒げていた。
「あのっ・・・・ここじゃ、ちょっと・・・・・中でも・・・いいですか?」
『あっ・・・・ごめん、つい・・・・』
そんなオレに観念したのか、あまりにオレが興奮してるのを見兼ねたのか、
彼女が図書館の中へと、オレを案内した。
『へーー、すげぇ・・・・中も こども仕様なんだね?』
さっきまでの苛々が嘘みたいに、中に入るとスーッとおさまって来たのを感じる。
館内に入ると まるでそこは 絵本の中にでも出てきそうな
メルヘンたっぷりの空間で、
空にはバルーンが浮かんでいたり、床にも緑色のじゅうたんが敷いてあったり、
もちろん壁紙や天井も いろんな動物のプリントがされて可愛くなっていた。
「あ・・・・松本さん、コーヒーでいいですか?」
『えっ?あぁ、ありがとう。 あっ、ねぇ・・・ここって誰も働いてないの??』
グルッと周りを見回してみたけど、人の影はなくて、 この広い空間にオレと彼女だけ。
しかも、翔くんが1年かけて探しても見つけられなかった彼女を、オレあっないくらい早く見つけちゃってるし。
「あの・・・・櫻井さんには、言わないでいてもらえませんか?」
彼女はオレの返事には答えず、テーブルにコーヒーを置くと、自分の分も向かい側に置いて腰をかけた。
真っ直ぐにオレを見つめる彼女の瞳は、前に翔くんと図書館のもう一人と4人で会った時と印象が違って見えた。
髪を切ったせいや、眼鏡が変わっただけじゃない・・・なんだろう・・・彼女が醸し出している空気みたいなものが、
すごく冷たく冷やかに感じる。
『どうして?翔くんがめっちゃ探してんの知ってんのに、黙ってる訳ないでしょ?』
オレは彼女に言った。
「櫻井さんには・・・私の事なんて忘れて、幸せになって欲しいんです。」
ちょっと涙目になりながら彼女はそうハッキリ言った。
『勝手だな・・・』
「えっ・・・・・?」
『アンタって、すげぇ勝手だな?
嘘ついてでも、翔くんに近づきたかった癖に、それがバレたら もう終り??
アンタの事、理解しようとして 苦しんで、それでも好きだから信じたいって、
アンタを探しまわってる翔くんの気持ちは、どうでもいい訳??
そんなの勝手過ぎんだろ!』
ずっと翔くんをこの一年そばで見てきたオレは、気付いたら彼女に キツイ言葉を浴びせていた。
『好きだったんじゃねぇのかよ?! 大好きだったんだろ?翔くんのこと。 』
あーーーー、もうオレ止まんねぇよ。 何言ってんの?!
こんなおせっかい、どうかしてるぜ。
「だって私は・・・・・・」
そう言って言葉を詰まらせて泣きだしてしまった彼女を目の前にして、何にももう言えなくなってしまった。
『そうやって、いつまでも逃げてる気?? そんなんじゃいつまで経っても本当の幸せなんて訪れないんじゃねぇの?』
オレはポケットからハンカチを取り出すと、彼女の前に置いた。
『もう一度 ちゃんと向き合った方がいいんじゃないの? このままじゃ、どっち取ったって苦しいだけじゃん』
そんなの寂しいよ?
そういいかけて、やめた。
『そんじゃ、帰ります。』
何も解決しないまま・・・・気持ちが揺れ動いたまま、
オレは図書館をあとにした。
このままで・・・・いいはずなんて、ないじゃん。
★★★
潤くん、ちょっとイラついちゃったww
お腹減ってるからね(笑)←そうじゃないw
やっぱ言っちゃう???翔くんにチクっちゃう?
あーーーー、どうなんのーーー????
って、私か(笑)