★★★
楽屋でみんなと一緒に居る事にたえかねて、オレは屋上に来て空を眺めていた。
流れてゆく雲は、もうすっかり秋の空で、オレがこうやっている間もどんどん形を変えていく。
こうやって変わっていく空を眺めていると、自分がすごくちっぽけな気がして、
こんなところで立ち止まって、こんなどうしようもない自分に嫌気がさしてくる。
『・・・・なにやってんだよ、オレ・・・・』
屋上の手すりにつかまって、おそるおそる眼窩に広がる景色をそっと覗く。
何度こうして見ても、足がすくむ。
手すりを掴んだ手に汗がにじんで、足がガクガクと震え出す。
4人に連れられて、強化合宿と銘打って行ったオレの高所恐怖症 克服計画は、あっけなく無意味に終わった。
「こんなとこで何やってんの?」
そんなオレに、かけられた声に なんか、少しだけホッとした。
『んーーー、さぼり・・・・』
オレは振り向きもせずに、ぶっきらぼうに答える。
「ふぅ~ん。 あ、じゃあ、オレもサボろーーっと。」
その声の主は、近くにあったベンチにゴロンと寝転がると、大きく伸びをした。
・・・つぅか、今・・・放っといて欲しいんだけど。 マジで。
『あのねーー、だから~、今オレにかまわない・・・・で・・・・・?』
って!!!!寝てるし!!
その一瞬の隙に、もうベンチではス―ス―と寝息を立てて眠ってる。
まったく、この人だけは・・・・・・・
金髪の髪に、ちょっと黒が混じってきて、それがサラサラと風に揺れた。
どれぐらい、そこでそうしていたか・・・・・
オレは思いの丈を、まるで独り言みたいに呟いていた。
『もう、オレさ・・・・・ダメかも・・・・・』
寝ているリーダーに声をかけた。
『なんかさ・・・・・もう解んねぇよ・・・・・女なんて、もういいや・・・・』
はぁーーーっと大きな溜息が出た。
ホント、もういいや・・・・・
もう、どうだっていい。
「ホントにそれでいいの??」
目を閉じたままのリーダーが口を開いた。
『えっ!??』
「今のままじゃ、後悔すんじゃねぇの?」
よっ!!と、勢いをつけて身体を起こすと、へへっ・・・・って顔をクシャっとして笑う。
この笑顔に今までどんだけ癒されてきただろう。
「ちゃんと気持ち、まだ伝えてないんでしょ??」
『そうだけど・・・・・でも・・・・・・オレ、嘘つかれてて・・・・』
オレが話してる間も、リーダーは両手を四角くカメラみたいにして空に向けて、
眩しそうに片目を閉じたりなんかして・・・・
「あーーー、いいなぁ、この空。 書きてぇーーーー!」
人の話を聞いてんのか聞いてねぇのか、
まったく自由な人だなww
RRRRRRRRRRRRRR~♪
「あ・・・呼ばれてるみたいだよ?」
ポケットから携帯を取り出すと、電話には出ずにピッと保留ボタンを押した。
「行こっかぁ??」
そういって笑ったリーダーに、すっかり心癒されていた。
ちょっとだけ、光が見えたような気がした。
★★★
智くんの笑顔。
やっぱり癒されちゃうよね?
山コンビでした~♪♪