★★★

「あのっ・・・・・ちょっと・・・離して・・・下さい・・・///」


掴んだ手が、ちょっと震えていた。


『デート、してもらえる? ちゃんと返事もらえるまで、今日は離さないからね?』


そう、今日こそはちゃんと返事もらうんだ。


「ホントに・・・・あの・・・・私・・・・・・・・・・・・・・」


俯いたまま、オレと目を合わせようともしないで、真っ赤に頬を染めている。







――― ***さ~ん?!***さん、どこですか~? お電話で~す!


静かな館内に響き渡るような大声が、耳に飛び込んできて、

その声に驚いた彼女が、サッと力強くオレの手を振りほどいた。


「はっ、はぁい!ここ!今、行きます!」


彼女はちょっと遠慮がちに返事をして、オレに軽く会釈すると、そのままカウンターに小走りで戻って行った。


・・・・・・・・・・・・オレ、やっちまったか?!


純情そうな彼女に、いきなり手を握るとか・・・・・・・・こないだに続き、ダメなんじゃね??



彼女が取ろうとしていた本棚から、一冊の本を抜き出すと、オレはその本を手にとってパラパラとめくった。


確かにそれは、オレが興味のある本だった。





《 櫻~井さんっ♪ 》


ふと、後ろで声がして・・・・・振り返ると、もう一人の司書さんが意味深な笑みを浮かべて笑ってた。


『あっ・・・・!え・・・っと・・・』


《 うふふ・・・見~ちゃった♪ 好きなんですかぁ?***さんの事。 こんなトコで、イケませんねぇ?》


う~わっ!!サイアクだっ!

よりによって、この女に見られるなんて!!


《 今、サイアク・・・って思ってます??ふふふ・・・・櫻井さんも、やっぱり普通の男の人なんですね?》


あ~、面倒くせぇ~!オレの一番苦手なタイプの女。

オレは彼女を無視するように、本を手にその場を去ろうとした。


《 ダメですよ?彼女なら。 ***さんなら、諦めた方がいいかも。》


『はっ?それどういう意味?!あんたには関係ねぇだろ?』


思わず声をあげていた。


《 シーッ!あんまり大きな声、出さないで下さいよ?   


***さんね、たぶん、彼氏居るんですよ。それも結構 長く付き合ってる感じで・・・。

でも紹介してくれないんですよね~?写真も見せてくれないし。・・・なんか怪しくないですか?》


『彼氏っ?!・・・怪しい・・・って、それもしかして・・・・不倫・・・とか、そういう??』


《 えぇ、たぶん。もうそろそろ結婚しても良い歳だから、お見合いとかも勧められたりしてるみたいなんですけどね?

頑なに断り続けてるし。・・・私が思うに、そうだと思うんですよね~?

かなりガード、固いですしね?彼女。》


ふふふ・・・・と、愉しそうに笑ってる。


『べっ、別に・・・!君には関係ないでしょ?放っとけよ!』


プイッと、そっぽ向いて歩きだそうとしたオレに、彼女の声が追いかけて来る。


《 何なら私、協力してあげてもいいですよ?》


その言葉に、ちょっとだけオレの気持ちが揺らいだ。


こうなったら・・・・あのガードの固い彼女を、何としても堕としたい・・・って、ここまできたらどこか意地になっていたのかもしれない。



★★★

あらっ???やっぱりジャマが入っちゃいましたね?(笑)

しかも、何だかまた雲行き怪しい感じ・・・・ww


彼女の誘いにノッちゃうの??