★★★
オレの言葉に、彼女はちょっと微笑んだあと、う~ん…と考えるポーズをして、おもむろに席を立ち上がった。

「ちょっとお客様、ご案内しますので、カウンター、お願いします。」

彼女はもう一人の司書にそう告げると、図書館の奥へとオレを誘導した。

「どうぞ、こちらへ……」

本の焼けた匂いと、新しい木の匂いが混じる、何とも言えない香り。

この独特の香りも、図書館が好きな理由の一つかもしれない。

BGMも何もない、ただパラパラと本をめくる音や、筆記用具がノートを滑る音。

こんなに静かな空間は、あまり家では作れない。

彼女に導かれるまま、図書館の奥へと歩く…

どこ行くつもりだ…?
オススメ本、教えてって…言っただけなのに…。


「えっ…と、確かこの辺に…。櫻井さんが好きそうな本、見つけたんですけど……あれ…どこ行ったかなぁ…」

もうカウンターからずいぶん離れて、図書館の一番奥の本棚に二人きり。

高い本棚が、いい具合に壁になってて、周りからは閉ざされた空間になっていた。

そんなオレの緊張さえ知らず、一冊の本を探しつづけてる彼女が、何だか健気にさえ思えた。



『あのさ……』

オレは唐突だけど、彼女に返事を聞いてみる事にした。

『こないだの…返事………』

「あっ!あった!ありましたっ♪」

言いかけたオレの言葉を遮るように、飛び込んだ彼女の言葉…

えいっ…っと背伸びして、棚の上の方にある本に手を伸ばしてる彼女の手に、そっと自分の手を重ねてみる。

『ねぇ…そんな本、いいからさ?こないだの返事、聞かせてよ?』

ビックリして、目を真ん丸にしてる彼女を真っ直ぐに見つめてそっとつぶやいた。

「さっ…櫻井…さん??///ちょっ…と、あの……?」


今日こそ、返事、聞かせてもらうよ?


★★★

図書館の奥に二人きり……
意外と人目に付かなくて、何かドキドキしますよ♡

ちょっと経験談、入れてみたりして(笑)

さぁ、返事。聞かせてね?