★★★

「では、こちら2週間後の返却でお願いします。


・・・・・・あ、もし期限内に返却がご無理なようでしたら、お電話かネットで申し込み頂けば更に2週間延長も可能です。」


そういって予約していた本と一緒に、図書館のパンフレットが差し出された。


それにしても-----相変わらず堅苦しい喋り方だなぁ・・・・・


『へ~~、そんなシステムあるんだぁ?ありがとう、助かるよ。


あっ!ごめんっ、時間外だけど、ちょっとだけ見てっていいかな?調べたい事があって。

今、ちょっと探してる本があるんだよね?」


こんな機会でもないとなかなかゆっくり図書館なんて来れないから、オレはついでに無理なお願いをしてみた。



「構いませんよ?私、まだやる仕事がたくさん残ってますから・・・・。あ、電気つけますね?」


意外にも彼女はアッサリと了承してくれて、暗くなった図書館に灯りがつけられた。


「どうぞ、ごゆっくり。」


そんな彼女の言葉に図々しくも甘える形で、オレは時間外の図書館に足を踏み入れた。


誰も居ない貸し切りの館内は、不気味なくらい静かで、物音一つしない。


彼女がカチャカチャとキーボードを叩く音と、オレがパラパラと本をめくる音だけが静かな空間に響く。





どれくらい経ったのか・・・・・・・・・・・・・・

いつの間にかオレは、何冊かの本を机に積み上げて、本に没頭していた。



「探し物は見つかりましたか?」



フワリとコーヒーの香ばしい香りが鼻をくすぐり、目の前にコーヒーカップが置かれた。


「どうぞ。一息入れませんか?」


見上げると彼女が柔らかく微笑みながら、オレを見つめていた。


なぜか、そんな彼女にドキッとした。


なんだ??これ?


『あっ、ありがとう。・・っつうか、すいません、つい没頭しちゃったわ』


彼女は、もう一つのカップを置くと、オレの向かい側に腰を下ろして、眼鏡を外すとコーヒーを一口すすった。

何だか、そんな仕草にさえ、見てはいけないものを見てしまった気がして、思わず目を反らした。



「・・・“過去の地震についての動向と対策”・・・・・・・・・・・・・何だか難しそうな本ですね?


櫻井さんってもしかして・・・・・学者さんか何かですか??」


積み上げた本から一冊抜き取ると、彼女はパラパラとそれをめくった。



『えっ??あ・・・いや、全然!!そんなんじゃ・・・。ちょっとニュース原稿に・・・・ね。』


・・・・・・学者か・・・・・・・・・オレ、全然そんな風じゃねぇと思うんだけど。



「ニュース?!じゃぁ、記者さんとかライターさんなんですか?!すごいですねっ!」



『んっ?・・・・・・・まぁ、そんなとこ・・・・かな?」



いちいち説明すんのも面倒で、今更わざわざ芸能人扱いされんのも嫌だから、オレは言葉を濁した。


記者か、ライターってか?!・・・・・・オレの事、ホントに知らねぇのな。


こんな奴がまだ居たなんて・・・・・・・・・・・・・・・・



なんか面白れ~~の。



★★★

翔さんの事、知らないんですって(^m^)ふふふ・・・・

彼女は天然なんでしょうか??それとも?


少しづつ距離がちぢまって行ってますね。この先どうなるかなぁ??