暑い一週間の幕開けですね。
顔晴っていきましょう♪


今日は気持ちを新たに世の女性に「何を省くか」より「どうバランスよく食べるか」を考えることが自身の未来といずれ対面するベイビーとって良い選択だということをお話してきました。


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東京都では妊婦の救急搬送の受け入れ拒否が一時期大問題となり、その主な原因となったのが都内のNICUがすでに満床であるという現実でした。
都では医師不足以外に、NICUでの治療必要性が高まる2500グラム未満の低出生体重児の増加を指摘しています。


都の調査では、平成2年の都内の低出生体重児数は6583人だったのに対し、平成18年には約1.5倍の9564人まで増加。全国最多にのぼっています。この背景にはやはり高齢出産の増加があります。


もちろん高齢出産だけでなく、岡山大病院産科婦人科長の平松祐司教授は、無理なダイエットでやせすぎの20代の妊婦について触れ「お母さんからの栄養が足りなければ、胎児に補給される栄養も少なくなる。その結果、低体重の子供が生まれやすくなる」と指摘しています。


とくに東京都は痩せ女性が多いですね。


母体の栄養状態と赤ちゃんの発育には関係があるのかと聞かれたら迷うことなくYesですが、私たちは低出生体重児を減らすために日本でそれを研究し、実証するためのチームでもあります。


ただ、米国やオランダではダイエットではなくマクロビオティック実践者の赤ちゃんの栄養状態を対象にした研究がすでに行われています(※1)
マクロビそのものの良し悪しではなく、母親が痩せ傾向にあることや貧血を含めて栄養状態に偏りが生じやすいという理由ではダイエット症候群の女性たちによく似ているため、注目しています。


オランダで出産したマクロビ家庭の赤ちゃんの95%にあたる53名に対して混合縦断的研究を行った研究結果では、マクロビ家庭で生まれた体重2500未満の赤ちゃんは4.3%で、オランダ人全体の2.0%に比べ有意に多かったことが報告されています。


さらに、栄養障害の認められた赤ちゃん(27名)に対し、介入試験を行い、50品目のマクロビ食品および母乳についても栄養素濃度を測定した結果、マクロビ児は総エネルギー摂取量・タンパク質摂取量・カルシウム・ビタミンB2・ビタミンB12摂取が対照群に比べかなり低く、鉄摂取が高いにもかかわらずマクロビ児の15%に鉄欠乏が見られ、対照群には鉄欠乏は見られなかったそうです。


また、気になるのは夏ではマクロビ児の無症状のくる病率は17%(対照群は0%)、症状のあるくる病率28%と合わせて45%、冬季はトータルでマクロビ児のくる病率は90%にもなったことです。


血清中25-ヒドロキシビタミンD濃度の低さと食事中に含まれる食物繊維の摂取の多さが血清中カルシウム濃度の低さおよびくる病の症状発現の一因となっていたことが報告されていますが、これは決して仮説ではなくて米国でも日本でもすでに実例として報告されていることなんですね。


ビタミンDの原材料はコレステロールですから、過度なダイエットや食事制限で体内の栄養状態に影響する因子をいたずらに減らすべきではありません(産後ダイエットを含めて)


結果として妊娠・出産にリスクが生じれば幸せの絶頂であるはずの家族にとって悲しいお産になってしまう可能性があるだけでなく、NICUでの治療には常に高額な医療費を費やしていることも忘れてはいけないと思います。


糖質制限であれマクロビであれ、制限食というのは目的をもって行う分には有効だと思っています。それにより諸症状が改善することももちろんあるでしょう。なので、否定派ではありません。


ただ、妊娠前の女性や育児中の家庭の日常食として取り入れるべきかは是非を問う必要があり、すでに20代女性の痩せ問題・ダイエット意識の低年齢化・高齢出産出産社会・低出生体重児増加・NICU満床・新生児ビタミンD欠乏症etc…という、これでもかという難題を妊娠・出産において抱え込んでいる国において予防医療を推奨する身としては


「女性の皆さん、まずしっかり食べてください」


この言葉から始めなくてはいけません。
上記のオランダの研究では低出生体重児の割合が多かった被験者には総エネルギー摂取不足が見られたと報告されていますが、マクロビやダイエット意識に関わらず日本女性のエネルギー摂取状況には終戦直後を下回り(※2)、 とくに20代女性は他の世代(50代1937kcal)と比較しても明らかに低い(1612kcal)です。これは朝食欠食も要因。


避けられない高齢出産時代を迎えたからこそダイエット法や食事法についてはよくよく考えなくてはいけませんし、これからは痩せる<引き締める!
+α 20代女性の喫煙率の増加問題には社会全体で取り組んでいかなくてはいけません。


どんな命も回避できるリスクは回避し、この世に誕生するのに最大限の祝福をもって迎えてあげたいと願う私たちなのです。


All the best wishes for your new babyキラキラ
-Baby Book-


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※1 PC Dagnelie and WA van Staveren. Macrobiotic nutrition and child health: results of a population-based, mixed-longitudinal cohort study in The Netherlands. American Journal of Clinical Nutrition, Vol 59, 1187S-1196S
・Zen macrobiotic diets. The Journal of the American Medical Association. 218:397, 1971.
・Nutritional Aspects of Vegetarianism, Health Foods, and Fad Diets(Zen Macrobiotic Dietary Problems in Infancy )
Committee on Nutrition. PEDIATRICS Vol. 59 No. 3 March 1977, pp. 460-464
・De Graaf T; Van de Bovenkamp P; Van Staveren WA; Willems MAW:The composition of cereal-water porridges as given to macrobiotically fed infants.
01. Nov.1987 / Voeding / Vol. 48 / Archiv-Nr: GO1987110001
van den Berg H, Daqnelie PC, van Staveren WA. Vitamin B12 and seaweed, Lancet. 1988 Jan 30;1(8579):242-3.
・DR Miller, BL Specker, ML Ho, and EJ Norman. Vitamin B12 status in a macrobiotic community.The American Journal of Clinical Nutrition 1991; 53: 524-9.
※2 平成22年度「国民健康・栄養調査」