4月にこの病棟に来て、初めての日に受け持った、私の最初の患者さん。
3人のうち一人はすぐに退院して、もう一人はしばらくして外科に転科になりました。
残った一人の患者さんには、毎日会いに行ってお話を聞いて、診察させてもらっていました。
上の先生の指示じゃなく、初めて自分で考えて動いたのも、この患者さんでした。
新しく入院してくる患者さんが増えても、お互い最初から受け持っていたこともあって、やっぱりなんだか特別な存在でした。
奥さんもすごくいい人で、こんなになにもできない私に、いつも
「先生ありがとうございます、よろしくお願いしますね」
って言ってくれて、こっちが申し訳ないくらいでした。
その患者さんが、数日前、亡くなりました。
病気がわかってから1ヶ月も経っていないのに、本当に早くに。
もう末期だってことも、病状が悪くなってきたことも、家族もご本人も知っていたけれど、医者であるはずの私でさえ、もう少しどうにかなるかも・・・と願っていました。
病院から呼ばれて、病室に着いたときにはもう、上の先生が確認した直後でした。
ご家族の泣いている姿を見ると、冷静でいなきゃいけないことはわかっていても、やっぱり涙がとまりませんでした。
私の最初の患者さん。
最初にお見送りした患者さん。