【映画】風立ちぬ | Going my way ☆

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風立ちぬ公式HP

http://kazetachinu.jp/



昨日ジブリ最新作『風立ちぬ』観てきました。
色々な意味で想像を大きく裏切られました。
震災・戦争・病気・貧困・生と死、劇場予告だけで涙した私は
大号泣・・と思っていたのですがそんなこともなく。


暗く混沌とした時代を決してお涙頂戴なストーリーに仕上げず
時代に翻弄されながらも、子どもの頃の夢をただ純粋に追い続ける
二郎と支える菜穂子。
とにかく美しく切ないお話でした。



実は実在の人物がモデルとなるのはジブリの長編作品では
初めての事なんだそうです。


昨日は娘のクラスのお友達ファミリーと大人数で観に行ったため
後方の並び席が予約とれず前から3列目。
タイトルどおり様々な『風』が吹くのですが
画面からその風を自分でも受けているかのような大迫力でした。
雲・風・そして風をうけてなびく木々や草の緑が
本当に美しく表現されていて感動。



二郎の職場でのシーンも仕事人としては憧れる部分も多かったです。
良きものづくりの邁進するエンジニア達。
互いに刺激し合い、ライバルであり親友である同期との会話。
褒めることはなくても、自分の仕事ぶりをしっかり見極めてくれている上司の姿。
アイデアや意見をぶつけ合う自主勉強会。
どれも時代の勢いを感じるようでした。



登場人物は少ないのですが、誰ひとり無駄がなく皆いい味だしてました。

二郎と菜穂子のシーンで一番好きだったのは真夜中祝言を挙げる場面。
雪が舞い散る中、二郎のもとに静々と強い決意を持って
歩んでくる菜穂子の美しさに涙腺決壊・・でした。。

私が一番気になったのが、子どもの頃から大人になっても
二郎の夢の中に度々登場する
イタリアの飛行機製作者カプローニ。



『まだ君の風はふいているか?』
『風は立っているかね?』
『力を尽くしているかね?』
と二郎に問いかけるカプローニ。
中でも『創造的人生の持ち時間は10年。芸術家も設計家も同じだ』
という言葉。

『人生の持ち時間は10年』仕事でも恋愛でも勉強でも
自分の人生の中で力を尽くし後悔なく邁進できる時間は10年。
とても深く心に染み入る言葉でした。



そしてネット上で酷評されていた二郎の庵野秀明監督。
私は全然OKでしたよ~!
それどころか、あの時代の中で純粋に夢を追いかけ
人を愛し続けた二郎の声には庵野監督以外にはいないのでは?
と思ったほどでした。

中でも一番「これは庵野監督にしか表現できないのでは?!」
と思ったのが、帰宅後菜穂子が布団に入ってやすんでいる横で
菜穂子の手を繋ぎながら仕事を続けるシーン。
ネット上ではこちらも最後、肺を患ってる菜穂子の横で
二郎がタバコを吸ってしまうことで、またま物議をかもしだしてますが
(私も正直、タバコ吸っちゃうんだ!とビックリしましたが^^;)
その前の菜穂子と二郎の会話のやり取りは庵野監督お見事です☆




最後の最後までゼロ戦を登場させず、震災や戦争の悲惨さを
明確に表現しなかった宮崎駿監督。
しかしラストシーンで描いたゼロ戦達の残骸。
その中を歩きながら再び登場したカプローニに
「君の10年はどうだったかね?力を尽くしたかね?」
との問いに
「ええ。でもゼロ戦は一機も戻ってくることはありませんでした・・」
と答えた二郎。
それだけで戦争の悲惨さ、ただ美しい飛行機を造ることにすべてを捧げた
10年間の結晶が、兵器として利用され多くの命を奪うことに繋がる結果
になってしまったことを、誰よりも二郎本人が悔いているのではないか
そんなことを感じました。



先日宮崎駿監督がインタビューで
「アニメーションは美しい夢」
「私にとってアニメーションは夢なのに、今は夢ではないビジネスの手段になる場合が多い」
と答えている記事を拝見したことを思い出し
同じく、子どもの頃飛行機に憧れ、酷い近眼にコンプレックスを持ち
操縦士になることは出来ずに、設計士の道を選ぶ二郎。
ただただ美しい飛行機を作ることだけが彼の夢だったにも関わらず
時代の波に揉まれ、戦闘機を作らざるをえなかった二郎に
監督は自分の姿を重ね合わせていたのだろうなぁ。。
と思いました。



そして気になる子ども達の反応ですが
昨日は年長の娘とジブリ作品では『紅の豚』が一番好き☆
という渋い好みのクラスのお友達(男児)
そして小学生のお兄ちゃん、全員最後までじーーーっと
画面に食い入るように見ていましたよ^^

何のテロップもなく時代が次々に流れていくのですが、
子どもだった二郎が大人へと変化するシーンを私より先に気付いた娘^^;
カプローニが登場するラストシーンも
「ママこれは夢の中のお話でしょ!?」と明確に答え
駿監督の世界観にしっかり食いついてた娘。


『風立ちぬ』は大人のお話、子どもには難しいと言われてますが
子ども達は難しいなりに色々なことを感じ取ってくれたように思いました。
一緒に観れて良かったなぁ~と思います^^



そして最後に流れるユーミン
荒井由美時代の名曲『ひこうき雲』
映画の世界観とぴったりでこの作品のために
作られた挿入歌のようでした。


『風立ちぬ』は恐らく万人受けする作品ではなく
ノスタルジーや庵野監督の声など
受け入れられるかどうか?で大きく評価が変わる作品かなと感じました。
宮崎駿監督の遺作になるのでは?と言われている『風立ちぬ』
美しいアニメーションと監督の世界観、切なくも美しい映画を
娘と一緒に共有できて楽しい一日となりました^^