サインバルタの小児うつへの臨床試験

塩野義製薬の現在進行形の「開発商品」一覧です。

https://www.shionogi.co.jp/company/g0l2sg0000004msm-att/pipeline.pdf

 

 この中の「ビバンセ」(小児ADHD)の承認が先送りされたことはお伝えしましたが、小児うつに対する抗うつ薬の試験――「サインバルタ(デュロキセチン塩酸塩)」という商品名が明記してあります。

 この治験に関しては、今年3月、治験参加者を募る広告が新聞折り込みに入り、その後、私からシオノギに電話を入れていろいろ聞きました(電話をしたのは2018320日)。その時点では回答者の口から「サインバルタ」という名前は決して出なかったのです(ガイドラインがあるとか、あらかじめ薬剤名を伝えてしまうと治験にバイアスがかかるとか、あるいはそれが薬の宣伝になってしまうとか言っていました)。

 それが今回は「サインバルタ」という商品名を出しています。

3月時点での担当者の話では、

「サインバルタの第3相試験は、201911月までに148例の登録を終えて実施する予定」とのことでした。あと1年弱。

 さらに担当者はこう言って胸を張って見せたのです。

「アメリカはじめいくつかの国で、この薬剤に関して子どもへの治験を行った結果、すでに安全性と有効性が確認されるという結果が出ています。また、医療関係者から子どもに使える薬剤開発の要望も強く、今回、わが社は厚生労働省の承認を得て、この治験を行うことにしました」

 

 しかし、日本では小児への抗うつ薬投与は厚生労働省から各製薬会社に向けて、添付文書に「効果が確認できなかった」「自殺リスクが増大する」を明記するよう指示が出ているものです。

さらに、「日本うつ病学会治療ガイドライン Ⅱ.うつ病(DSM-5/ 大うつ病性障害 2016

の「児童思春期のうつ病」の中で(ガイドラインp.51)子どもに有効無効とされる抗うつ薬の一覧が発表され、そこにサインバルタの名前があります。

http://www.secretariat.ne.jp/jsmd/mood_disorder/img/160731.pdf

 

 サインバルタ(デュロキセチン)の治験回数は一度だけですが(効果が認められなかった)、一度だけで「効果が認められた」ものもあり、このあたり、かなり「入り込める余地がある」と感じます。だから、サインバルタももう一度トライしているということなのでしょう。

臨床試験は「確率」ですから、下手な鉄砲数うち当たる。何度か繰り返すうちに、「当たり」も出るということです。

 なぜ、いまさら子どもにサインバルタ?

 塩野義製薬は大阪府とともに、〈「生きにくさ」を抱える人々が、個人の持つ本来の能力を発揮していただくためのサポートを行っております。その具現化に向けて「子どもの未来支援」に関する事業連携など、様々な取り組みを行っております。〉とのこと。

 http://www.shionogi.co.jp/company/news/2017/qdv9fu0000013p1t-att/170125.pdf

製薬会社がこのような活動をするということは、販促活動の一環でしょう。でなければ、わざわざ製薬会社が「子どもの未来」にかかわろうとするわけがない。