昨年12月にこんな記事を紹介しました。

 そして、こうした傾向に釘をさすように、4日、日本児童青年精神医学会が、18歳未満の若年層に対し、頭部を磁気で刺激する「経頭蓋磁気刺激治療(TMS)」を施すことは「非倫理的で危険性を伴う」と批判する声明を発表した模様です。

 「非倫理的で危険」と学会声明 子どもへの頭部磁気治療で(共同通信) - Yahoo!ニュース

 

 この声明文の中では「TMSは頭痛のほか、けいれん発作が発現することもあり、決して副作用のない治療法ではない」と指摘しています。

 ということは、子どもに限らず、成人にも、同様の副作用があるということでもあります(もちろん、そういうことには絶対に触れませんが)。

 また、声明では、TSMについて、「低侵襲的に大脳皮質や皮質下の活動を修飾することができる技術」としています。

 つまり、低いとはいえ、脳に侵襲的な影響を及ぼすということです。

 しかし、TSMの流れは薬物治療に対する患者サイドの不信感から「薬を使わないうつ病治療」という名目で喧伝されてきた部分もあります。

 ご都合主義的に、そのときそのときによって、治療法を「安全、危険」と言い分けるやり方は、今回のようにたとえその趣旨が「批判」だとしても、そもそもの時点で声明に価値を見出すことができないほどの不信感を私たちはすでに精神医学会に抱いてしまっています。

 なぜ、TSMだけ「危険」であるとして取り上げるのか。

 子どもへの向精神薬の処方について、なぜこのような批判をしないのか。

 添付文書が示す適応(どの病気に使ってよいか)を無視し、適応年齢(何歳以下は安全性が確立していないという注意書き)を無視して、これまでどれほどの薬が適応外的に子どもたちに処方されてきたのか。

 おそらく、製薬会社への遠慮(利益相反の医師がいっぱいます)から、この分野については目をつむり、TSMなら遠慮なく批判できるとばかりに、こうした声明を出してきたものと思われます。(ちなみに、同学会の代表理事である岡田俊氏の2021年の製薬会社からの謝礼等の合計は、2,659,316円です。)

 

 

 もちろんTSMなどとんでもない。

 でも、学会の声明そのものもなんだか胡散臭いです。