発達障害にTMS治療を行っているクリニックがあるようです。
TMSとは経頭蓋磁気刺激療法のことですが、発達障害に適応はありません。
写真は高知新聞の記事です。
「発達障害 高額治療誘導 根拠乏しい磁気刺激 専門医批判」
との見出しのとおり、
TMSは自由診療(一部保険診療)ですから、高額です。発達障害と診断し、不安を煽り、そこに付け込むように、「薬に頼らない治療」として何十万円ものTSM治療をちらつかせて、ローンを組ませる。もう一度書きますが、TMSは発達障害への適応がありません。
しかし、 「発達障害 TMS治療」で検索すると、いくつものクリニックがヒットします。
https://doctors-interview.jp/treatment/3323
↑上記医師は、はっきりこう言っています。「TMS治療はうつ病の治療法として認知されていますが、当院では発達障害と、発達障害が原因で起こる疾患やうつ特性などに対して治療を行っています。具体的には、ADHD、ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー)の大きく2つが挙げられ、二次障害としての学習障害や感覚過敏、不安障害、パニック障害、うつ特性などにも有効です。」
しかし、日本精神神経学会では以下のように注意喚起をしているのです。
rTMS(反復経頭蓋磁気刺激装置)の適正使用について【注意喚起】
2020年9月19日
公益社団法人日本精神神経学会 理事長 神庭 重信
当学会では、rTMS(反復経頭蓋磁気刺激装置)に関する適正使用指針を発表しております。
それには「対象疾患は、既存の抗うつ薬による十分な薬物療法によっても、期待される治療効果が認められない 中等症以上の成人(18 歳以上)のうつ病」と示されています。 rTMS 治療は、抗うつ薬による十分な薬物療法によっても、期待された治療効果が得られない成人患者(18 歳以上)にのみ、慎重に実施されるべきです。
18歳未満の若年者への安全性は確認されておらず、子どもの脳の発達に与える影響等は不明です。
発達障害圏の疾患(自閉症、ADHD、アスペルガー障害など)やそれに関連する症状、あるいは不安解消や集中力や記憶力の増進などに対する効果は、海外においても確認されていません。
日本精神神経学会がわざわざ注意喚起を記しているTMSですが、発達障害に限らず、大人のうつ病にもどれほどの効果があるのか、体験者の話を聞くと、少々首を傾げたくなります。
精神医療とはそんなあやふやな治療法で解決しようとする世界です。だから、医師もそのあやふやさに便乗するように、適応になっていない治療法を採用しやすいのだろうと思います。
こういう流れでいくと、そのうち「発達障害に電気ショック」という方向も出てくることでしょう。それくらい精神医療は「良心」を失いつつあるといえます。
精神医療に限らず、現代の医療は科学ではなく、政治と経済で成り立っている世界です。とくに精神医療は治療効果の成否がはっきりでませんので、やりたい放題になりやすい。
お子さんのさまざまな状態に困り切っている親に対して、発達障害という診断のもと、こういう高額治療を提供する医療。それは決して患者本位の医療ではありません。くれぐれも騙されませんように。

