今日はある記事を紹介します。

 

精神科入院、「縮減」も削除  2022年5月30日(共同通信)

 

精神科病院の医師が家族らの同意を得て患者を強制的に入院させる「医療保護入院」制度について、厚生労働省は30日、「将来的な継続を前提とせず」「縮減」との文言を有識者検討会の報告書案から削除した。当初は「将来的な廃止」と盛り込んでいたが、方針をさらに後退させた形だ。日本精神科病院協会(日精協)が反発したことなどが要因とみられる。

 検討会は6月9日にも報告書をまとめる予定。医療保護入院は精神科の入院患者の半数近くを占め、長期入院が問題になっているほか、国際的に人権侵害との批判が出ている。

 

 医療保護入院を悪用した事例が後を絶たない現実。この3月には「将来的な廃止も視野に入れ縮小する考え」だった厚労省が、日精協の反対にあい、コロッと態度を変えました。

 

 日本経済新聞の記事によると、表現は次のように変わっていったようです。

3月「将来的な廃止も視野に縮小に向け検討」

4月「将来的な継続を前提とせず、縮減に向け検討」

5月「将来的な見直しについて検討」

 

 何が怖くて、何をさぐりながら、誰がこういう表現を考えていくのか、思えば気の毒になってきます。

 医療保護入院廃止に反対したのは日本精神科病院協会(日精協)ですが、その親玉は山崎學氏。日経の記事によれば、彼はこう発言したとあります。

 

「同制度を廃止したら、精神医療は完全に壊れる」

 

(ちなみに私は医療保護入院制度によって、完全に人生が壊れてしまった人を複数人知っています。)

 

 しかし厚労省はこの脅しに屈したわけです。脅しはこの山崎という方の常套手段でもありますが。

 厚労省がどっちを向いて仕事をしているのか、この事実がよく示しています。

 

参考までに。

今年7月末にのNHKのETV特集「ドキュメント精神科病院×新型コロナ」番組内で、山崎会長は以下のようにコメントしています。

 

「精神科医療というのはね、僕はよく言うんですけど、医療を提供しているだけじゃなくて、社会の秩序を担保しているんですよ。街で暴れている人とか、そういう人を全部ちゃんと引き受けているので。医療と社会秩序を両方精神科医療に任せておいて、この(診療報酬)点数なんですかって言っているわけ。一般医療は、だって医療するだけじゃないですか。こっちは保安までも全部やっているわけでしょう、精神科医療って。(入院を)断っていたらどこもとらないし、一番困るのは警察だと思うよ。警察と保健所が困るだけだよね」

 

 この方については以下の記事が興味深いです。

https://kp-jinken.org/2021/09/17/%e6%97%a5%e7%b2%be%e5%8d%94%e4%bc%9a%e9%95%b7%e3%83%bb%e5%b1%b1%e5%b4%8e%e5%ad%b8%e3%81%95%e3%82%93%e3%81%ae%e3%80%8c%e3%80%9d%e6%82%aa%e5%bd%b9%e3%80%9f%e3%81%ae%e8%83%b8%e3%81%ae%e5%86%85%e3%80%8d/

 

https://toyokeizai.net/articles/-/456826?page=6