ここのところ、かかわりのある方の状態があまり良い方向に向かっていない例が重なり、少々心が重いです。

減薬、断薬の難しさを痛感。

ベンゾに限らず、抗うつ薬の厄介さも。

 

前のエントリーで紹介したベンゾの奇異反応に苦しむKさん。その後、メールをいただいたのですが、残念ながら状態がさらに悪化してしまったとのことです。

以下、メールです。

 

「回復に向けて頑張ってまいりましたが、私の病状が悪化してしまい、生きる事が難しいほど辛い状況となってしまいました。

興奮と衝動が更に上がり、悲しい時や不安な時に笑ってしまい、更に睡眠を取ろうとするとアドレナリンラッシュ状態で発狂気味に起こされ、凄まじいアカシジアのような発作、また解離状態で興奮、錯乱し笑いながら暴れ、完全に自失した状態になってしまいました。

心身ともに疲れ果て、非常に苦しいです。

再服薬も考えましたが、断薬後7ヶ月経っており化学物質にも過敏になっている為、おそらく難しいかと思います。

このような私の現状が参考になるよう、更に皆さんが薬に手を出さないよう、また離脱症状に耐えられない場合はすぐに再服薬するよう、啓蒙いただけると幸いです。

私自身が症状から回復して啓蒙したかったのですが、叶わず悔しい限りです。

生きていることがここまで苦しくなるとは想像もしなかったことです。」

 

生きていることがここまで苦しくなるとは想像もしなかった……。

同じ言葉をもう一人の方からも聞きました。

長年、抗うつ薬の減薬(数回の失敗を重ねながら)に取り組んできた方ですが、ここにきて、どうにも耐え難い状態となり、薬をもどしてもよくならず、どうにもこうにも……。ついに入院を決意しました。

 

向精神薬の怖さは、まず個人差が大きいことです。しかし、医師は「こんな量で」ととりあってくれません。したがって、患者さんは行き場を失い(理解者もなく)孤立しがちです。

また、たとえ周囲に理解してもらっても、Kさんのようなケースでは、短期の服用、常用量でも、想像を絶する状態に陥ることもあります。こうなると、回復のために何をすればいいのか、アドバイスも難しい状況となります。

 

また、一番大きな問題は、言わずと知れた、減薬の難しさでしょう。

うまく行っていると思っても、ちょっとしたことをきっかけに離脱症状が激しく出て、結局薬がもどったり、さらに増えてしまったり……。そういうことを繰り返すことで、薬に対する感受性が過敏となり、減薬はさらに難しくなっていきます。

薬が体にどういう作用を及ぼすのか、長期の服薬のリスクなど、医療関係者の考えは少し甘いところがあるようにも感じます。

「処方薬依存」ということで(違法薬物とは違い)治療の対象とはなりにくいという現実も向精神薬にはあります。

 本来なら「処方薬物依存」という分野をもう少し専門的に精神医療界で扱ってほしい。薬を飲んでいて(減薬して)出てきた症状を「もともとの症状」として、さらに「治療の対象」としてしまう精神医療では、「処方薬依存」に陥っている人を救えません。安心して入院もできなければ(下手に入院をすれば、他の病名がつき、さらに薬が増える可能性もあり)、医師に相談もできず、当事者は孤立するばかりです。

「専門家」と言われる方たちの本当の意味での「専門性」を深めてほしいと切に願います。

 

 

 以下はコンボ(地域精神保健福祉機構)主催のベンゾに関する講演会(第76回コンボ亭)です。どこまで問題の本質に迫れるか……との思いはありますが、オンラインでの参加ですので、興味のある方はぜひどうぞ。

 

 ベンゾジアゼピンQ&A きちんと知って薬をつきあう

https://www.comhbo.net/?page_id=31187&utm_source=mm&utm_medium=email

 

  茶話会のご案内

 11月20日の茶話会ですが、まだ席があります。

 どうぞお気軽にご参加ください。