以下は、ADHDと診断するためのアルゴリズムです(DSM-5による)。
ADHDと診断するためには、じつはこれだけの段階を踏む必要がありますが、これ、実行されているでしょうか。
下手をすると、一番上から、一気に一番下までいって、受診したその日に投薬なんてケースもかなりあるようです。
さらに以下は、ADHDの治療、支援の基本的な流れを示した図ですが、これによると薬物療法は第一選択ではありません。(環境調整、心理社会的な方面からの支援が第一選択です)。
しかし、それでも改善がない場合、第二段階として、薬物療法が使われることになります。
一方で、こうした流れを見ていると、ADHDという「障害」は何が何でも「改善しなければならない状態」といった「圧力」のようなものを感じてきます。あれやって、これやって、それでもだめならあれとこれをやってみる……。
そもそも一番最初の「ADHDの確定診断」が、どこまで信頼できるものなのか?
ADHDに限らず、精神科の診断において「確定診断」はかなりハードルが高いものです。なぜなら精神科の診断は科学的に裏付けることができないから。数値で明示できない、画像にも現れない。あるのは、チェックリストという操作的な診断基準(DSM とICD)、心理検査、あとは医師の感触(?)でしょうか。
そのあたりのことをよくよく考えると、やはり安易な薬物の使用は、当事者にとってかなりリスクの高いものになります。まして、長期の服薬については、「安全である」という研究は一つもありません。
現在服薬されている人、これから服薬を考えている人。
いま一度、ADHDの診断と投薬について、立ち止まって考えてみてはと思います。

