アカシジアについて、メールをいただきました。

 この方(40代の女性)の場合、エビリファイがきっかけになったといいます。

 まずは経過をお伝えします。

 

「子どもの不登校や同僚の死、仕事のプレッシャーなどからうつ的になり、休職することになりました。今は休職2年めです。

うつ病とのことで、処方は最初、抗うつ薬のレクサプロが出ました。しかし、服用すると気持ちが悪くなり、我慢できずに医師に告げると、次はイフェクサーが出ました。一度だけ飲んだのですが、動悸がひどく、眠れなくなりました。そうすると今度は抗うつ薬ではなく、マイスリーソラナックスが処方されました。

しばらく服用すると体調が少し改善、マイスリーは必要なくなりました。

が、その後医師は、私が抗うつ薬を飲んで胃腸に症状が出たためだと思いますが、ドグマチールを「胃薬だから大丈夫」ということで処方しました。

ドグマチールとソラナックスを2週間試しましたが、あまり良くならず、それどころかなんだかそわそわする気もしたので主治医に伝えたところ、「不安が強いからまずは不安に強い体質を作ろう」ということで、メイラックス(ジェネリックのジメトックス)の処方となりました。

ネットで検索すると、この薬はベンゾジアゼピン系で、長期服用で依存するとあったので、早めに断薬をと思い、3ヶ月くらい飲んでから減薬をはじめ、4ヶ月くらいで断薬したと思います。

その時はすんなり断薬できました。調子がすっかり戻ったわけではなかったですが、胃の不快感と気力が湧かない、体調が悪い感じはあったものの、それでも普通に生活していました。

休職1年が経ち、そろそろ復職を考え始め、産業医の勧めで、リワークに参加しました。そこで、薬の重要性をさんざん言われ、信じ込んでしまったのです。復職への焦りもあったと思います。主治医が処方した、アメルというジェイゾロフトのジェネリックを服薬してしまいました。半錠です。しかし、以前抗うつ薬を飲んだ時と同じように、また動悸で眠れなくなりました。

そのことを主治医に告げると、次に処方されたのがエビリファイです。

エビリファイは統合失調症の薬なので、さすがに私も心配になり、セカンドオピニオンで他の医師にも意見を聞いてみたのですが、「エビリファイは良い薬」とのこと。それで、最初は1mgの半錠を10日間、「子どもの量だから大丈夫」と言われました。その後、1㎎にして1週間です。そこで限界になり3日間飲まず、次の診察で「やめたい」と言いました。しかし「まだもう少し飲んでみて」と言われ、再度半錠を3日飲み、いよいよギブアップしました。

すると今度は主治医はリボトリールを処方。「不安を抑えてまた治療方針を考えよう」とのことでした。

リボトリールは1週間くらい飲みましたが、あまりに強力で、また、吐き気をもよおしたため、これも1週間でギブアップ。

するとその後、2日くらいしてアカシジアが出現しました。まったく眠れない。起きている間は歩くのを止められず、座ることもできません。夜は横になっても足は布団やベッドを蹴飛ばし、かろうじてマイスリーで2、3時間寝る程度……。

死にたかったです。この異変に主人もさすがに驚き、自殺しないように入院する病院を探しました。でも入院は怖くなりやめました。そのかわり、なんとか眠るためにミルタザピン(リフレックス)を飲み、ソラナックスでアカシジアを緩和したいと、主治医に言いました。

入院を検討して回った病院で処方するならリフレックスと言われたからです。

主治医はエビリファイとリボトリールの影響を認めず、鬱が悪化したと言い張りましたが、私の申し出どおりに薬を出しました。

それが昨年の6月くらいで、そこから3ヶ月は、ほとんど寝たきりでした。リフレックスもはやくやめたくて、少しずつ減らし、半錠にしましたが、そこで、恐怖感というか気持ちの落ち込みがひどくなり、主治医にも言われ3/4に戻したところです。しかし、1錠までは怖くて戻せません。

それと、ソラナックス(0.4㎎)2錠を少しずつ減薬し、今はほぼ0にしているのも焦燥感の原因かもしれません。

焦燥感を耐えるために体に力が入り、特に左足や胃に力が入り、あちこち痛くなります。自分でも今後どうしていいか分からず、主治医への信頼感もないため、つらい毎日です。

頭がまったく働かない。好きだった料理もすごく簡単なものしか作れない。歩き回るのが止まらない……家族のことを考えるとつらいです。

あの時エビリファイさえ飲まなければと思うと、後悔しきれません。

エビリファイとリボトリール、どちらも簡単に服用してはいけないと皆さんに伝えたいです。

今はミルタザピンを飲んでいて、まだまだ断薬までは程遠いです。もちろん自分自身の責任ですが、今の状態がつらすぎて……どうすればいいのかの指針もなく……でも、何とか生きたいです。

 

なぜこんなに薬を変えるのか

 この女性はとくに抗うつ薬に敏感に反応しています。しかも、最初は1錠ではなく、半錠から始めているにもかかわらず、副作用が強く出て、飲めない状態になっています。すると医師は薬を変えます。ドグマチールやエビリファイなどメジャーも使って、飲めないというと、無理やり飲ませようとさえしています。

 これは患者さんの症状を薬だけで何とかしようとする、医師の側の「薬物(療法)依存症」の状態です。

 どの薬も合わずに、症状が改善しないのに、こう次から次へと薬を変えて(短い期間に10種類の向精神薬)、どれかヒットすると考えているのでしょうか。医師は一生懸命「治療」している、その結果がこういうことだとしたら、医師の薬への考え方が甘いというか、乱暴というか……。

そもそも抗不安薬で「不安に強い体質」が作れるのでしょうか?

 そして、他の医師の言葉――「エビリファイは良い薬」。

 また、薬で悪化しているとは認めず「鬱が悪化した」と言い張るのも、よくある医師のパターンです。

 

 単剤、少量でも、こういう被害は出ます。

 そういうことを知らず、認めず、なんでも一律に「治療」をしようとする。

 それはおそらく医師が、これまでの患者さんから何も学んでこなかったからでしょう。同様の状態に陥った患者さんにも、おそらく医師は「鬱が悪化したため」で片づけてしまったのです。だから、いくら患者さんをたくさん診ても、なんの情報も積み重ならず、同じ過ちを繰り返す。

 しかし、飲まされた当事者の体調はそうそう簡単に元には戻りません。

 本当につらい毎日、不安な日々。

 自分たちが処方している薬はときに破壊的な力を持つものであることをいまいちど再認識してほしいです。