読売新聞の「医療ルネサンス」に連載されていた「うつ病からの回復」。最終回の114日の記事をここに少し引用します。

 記者と医師との一問一答形式。回答者は慶応大学精神・神経科教授、三村将さん

 

(記者) 10人に1人がうつ病といわれています。

(三村さん)(略)病気の認知度も高まり、「自分はうつかな」と思って医療機関を受診する人も増えています。一方、患者数は受診者数を基にした推計なので、未受診の人が潜在的に多くいると思われます。

(記者) 治療法は?

(三村さん) うつ病はセロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質の機能低下が関連していると考えられます。これらの神経伝達物質に作用する薬を服用するのが基本です。効果が見られない場合、別の薬に切り替えたり、別の薬を追加したりすることもあります。

 薬は根治療法ではありません。軽症の場合は薬を使わず、考え方や行動を修正する認知行動療法を行うこともあります。薬で改善しないときには脳の神経を刺激する磁気刺激療法や通電療法などを組み合わせます。神経のネットワークに生じている障害を改善してバランスを取り戻そうとするものです。

(後略)

 

「専門家」への聴取といった記事です。〇〇ガンには、こういう治療法があります、というのと同じやり方です。そして、これは厚生労働省やうつ病学会が認めるうつ病の治療法でもあります。いわゆる「標準治療」といわれるものです。

しかし、精神科の「標準治療」がどれほど病気を治しているかというデータはありません。

治療によってさまざま不都合な状態に陥ったという例は、この「標準治療」の中で起こっていることが多々あります。

大学で学ぶ精神医学、その通りの治療を行うこと、それ自体が精神医療の被害を生んでいうということも多々あります。

しかし、医師たちは大学で学んだ通りのこと、標準治療しか行いません。

モノアミン仮説による抗うつ薬の投与。その薬がダメなら、変薬、あるいは増薬。それでもだめならTMS(磁気刺激治療)やECT(電気ショック療法)を足していく。このやり方が標準治療というのが日本の精神医療の現実なのです。そして、それを行っている限り、誰からも訴えられることはありません。

 

この記事は、大新聞読売のことですから、ものすごい数の人が読んだと思われます。精神の「専門家」といわれる精神科医の回答ですから、精神科、心療内科への受診者数を、この記事が押し上げたかもしれません。

安易に精神科の受診を促すような記事や本(精神科にかかればこんないいことがあるといったような本)には警戒が必要です。その警戒心を少しでも抱いてもらえればと、このブログを続けています。

一面的な情報を「専門家」と言われる人たちから聴取して、それをそのまま流すような記事がある限り、同じ手法で、被害にあった人たちの情報を流すのが、バランスというものかもしれません。読者をどこに誘導するのかという点で、マスコミの責任は重いです。