先日、「子どもと精神医療」について知人の方が開いている勉強会でお話する機会をいただきました。今日は、そのときに使った数字をいくつか紹介したいと思います。
現在、精神医療のターゲットは子どもと老人です。
とくに「子ども」の場合、発達障害への投薬を始め、かなり露骨な精神医療側の接近があります(先日お伝えした「子どものうつへの治験」は本当に看過できない問題です)。
まず、第3回NDBオープンデータから。その中の「外来(院外)性年齢別薬効分類別数量」。これによって平成28年4月~平成29年3月までの1年間で、何歳の人にどのような薬がどれくらい処方されているかがわかります。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177221_00002.html
ちなみに向精神薬のほとんどの添付文書には「小児への処方」という欄に
「「6歳未満の患者における有効性及び安全性は確立していない。」
の文言があります。
にもかかわらず、オープンデータによると、「0~4歳児」にも向精神薬がかなり投与されていることがわかります。
セルシン……ベンゾ系抗不安薬
レキソタン……ベンゾ系抗不安薬
エビリファイ……抗精神病薬。双極性障害のうつと躁。自閉症児の易刺激性にも適応。
リスパダール……抗精神病薬。自閉症児の易刺激性にも適応。
ストラテラ……ADHD薬
また、ADHDの薬とされるコンサータの処方状況は以下の通りです。
さすがにコンサータは「0~4歳」への投与は、このデータには出ていませんでした。が、「5~9歳」では百万錠単位で処方されています。
目をこすりながら、それぞれの数字を合計したものが、この表です。
コンサータ18㎎と27㎎、5~9歳男女合わせておよそ400万錠です。年齢を14歳までにすると、合計で1000万錠以上になります。
ちなみに、一年前(平成27年度)のオープンデータでは、そもそも「コンサータ27㎎」の処方は記載がなく、コンサータ18㎎だけで、5~9歳でおよそ200万錠、14歳までで、550万錠です。つまり、処方錠数は27年から28年の一年間で倍に膨れ上がっているのです。29年度の数字はまだ出ていませんが、おそらく右肩上がりになっているでしょう。
こうした数字をどう見るかは、それぞれでしょう。アメリカの処方状況に比べればまだましと見るか、(以下、少々古い数字ですが、アメリカのメチルフェニデートの消費量はダントツです。)ただ、それをいま日本が追っているようにも思えて仕方がありません。
アメリカでメチルフェニデートが大量に処方された結果、増加したのが「双極性障害」という「病気」です。1995年~2003年までになんと40倍に増加したと『TIME』は伝えています。
メチルフェニデートの消費量 約85%がアメリカ合衆国で消費されている。
単位は100万錠(国連による統計)(Wikipediaより)
ちなみに、メチルフェニデートは依存性が問題となり処方が禁止されているリタリンの成分であり、コンサータはその徐放剤です。徐放なので、1日1錠の服用で12時間効果が持続するといわれています。また、徐放剤のため依存形成されにくいとされていますが、処方には制限があり、登録制になっています。
血中に入ったメチルフェニデートがどう作用するかといえば、中枢神経に速やかに移行する性質を持っています。そして、シナプスにおけるドーパミン濃度の急上昇と快感をもたらします。その結果、活動性が増し、覚醒感を感じ、集中力が増します。メチルフェニデートにより二次的に大脳皮質でのアセチルコリン(興奮性の神経伝達物質)の遊離が増加し、躁状態を示します。徐放剤でないメチルフェニデートでは、経口投与後、効果は20分で現れ、約3時間持続するとされていますが、反復使用により速やかに耐性が形成され、薬用量を増やさなければ、同等の効果が得られなくなります。(参考 Wikipedia)