2月28日に、神保町の「書泉グランデ」で私と共にトークイベントに出席してくださる女性(深山さん)の体験を紹介します。

彼女が、昨年、大阪精神医療人権センターの「人権センターニュース8月号」に、ご自身で書かれた文章です。以下、ご本人の許可を得て掲載します。

それにしても「医療保護入院制度」・・・こうなると当事者はもうどうしようもありません。もがけばもがくほどに拘束の締め付けが強くなり、鎮静剤を点滴でガンガン入れられる。この状況において当然の「反応」であっても、精神病院という場では「病気」にされてしまいます。これが「医療」でしょうか。医療という名の「人権侵害」以外の何ものでもないのではないでしょうか。あまりにひどい……。

 

 

医療保護入院を経験して

~医療保護入院制度の廃止を求めます~

 

1 不当な入院に至る経緯

私は子供の頃から、両親と姉に虐待され続けてきました。

平成24年1月に、主人が自殺した事の精神的身体的負担で、思考に問題はありませんでしたが、言葉がゆっくりにしか話せなくなってしまいました。

そこで姉に精神科に連れて行かれ、理由が示される事なく即入院となりました。しかもいきなり鍵付きの個室(保護室)に入れられました。

そのような状況で主人のお葬式に行く事も許されず その後も何ら説明がないまま24時間点滴で意識朦朧にされ、私の意思も自由も奪われました。

点滴が抜けた後は、身体5点拘束され身動きひとつできず、トイレもさせて貰えず侮辱的な扱いをされ、褥瘡ができる程、自由を奪われました。

 

2 入院中の出来事

身体拘束が解除後も入院中は携帯電話を姉に取り上げられ、治療方針によって病棟の公衆電話から姉以外には電話を禁じられ、外部との連絡手段を一切奪われました。

都道府県知事への処遇改善請求や退院請求の権利があったにもかかわらず、都道府県知事への電話でさえ、私が姉以外に電話をかけるのは危険だからとという不合理な理由で妨害され、同制度は、何ら機能を果たしていないと感じました。

入院者の人権を守るための権利でさえも、「治療方針」の名のもとに奪うとは、精神科医療の濫用です。

また、入院時は思考能力には問題なく 一時的に言葉が、ゆっくりに、なっただけでしたが、入院中の24時間点滴や、説明が無いまま大量の薬を強制的に飲まされ薬漬けにされたことで、幻聴幻覚も出現し、すっかり思考能力も判断力も奪われ、字も書けなくなって歩行困難にもなりました。

この状態は明らかに入院時より悪化しました。

 

3 医療保護入院の問題点

医療保護入院では治療方針が精神科医と家族によって決められてしまい、そこに入院者本人の意思や希望は何も聞き入れられません。

ですから、仮に、悪意のある家族(保護者)が精神医療を使ってしまえば、犯罪行為でもなんでもやりたい放題になってしまうことが可能となります。このことは、私の身に実際に起きたことで、精神科医療の実態です。

また 不当な身体拘束に対して納得できず、抵抗すれば「病識がない」、「治療を拒否した」、「感情コントロールが出来ない」などとされ、さらに拘束がきつくなってしまうという理不尽な状況でした。私は、看護師と助産師の資格を有していますが、人権侵害であり、治療をするための病院ではなく、収容所であると感じました。

本来、心の安心・安全をもたらすべき精神医療が、実は「不安と恐怖で人を支配する場」だと思いました。

身体拘束以外の場面でも、人間としての扱いは受けず、精神科病院の医療とは程遠い人権無視の状況は、一人の人間の尊厳に関わる問題であり、決して許されるものではありません。

にもかかわらずこの様な精神科医療が「医療だから…」ということで放置されています。

また、「保護者」(家族)が必ずしも入院者の利益を考えて居るわけではありません。私は、入院中に家族に主人の死亡保険金の2500万円を盗まれ、車を勝手に売却され、生命保険も不当に契約されてしまいました

家族が医療保護入院を悪用すれば、「入院という名の下の監禁」ができてしまい、犯罪に悪用出来てしまう制度とは 社会的にも大問題だと思います。

退院後も大量の薬で薬漬けにされていて 自分では何も問題対処出来ず、また思考能力・判断力・体力も落ちており、仕事にも就けず将来への不安も大きく、人生滅茶苦茶で絶望的になり、何度も死にたくなる日々でした。

「医師の主観による根拠のない診断」や「家庭裁判所による無責任な保護者の選任」は決して許されることではありません。これらは、「精神科医は正しい判断をする、一方で精神疾患のある者は正しい判断ができない」という偏見、差別意識が原因であり、この原因がさらに精神障害、精神疾患に対する差別、偏見を助長しています。また、一度入院させられると、他害のおそれがあるとして、安易に措置入院となってしまうこともあり、著しい人権侵害です。

 

4 絶望の毎日

そのような状況の中で、私の安心安全はないと絶望し、この後自殺未遂を図りました。もちろんこの自殺は「精神疾患」に起因するものではありません。

精神医療機関において 不必要・不当な強制入院が横行しており、身体拘束や薬漬け、虐待、拷問が日々繰り返されているのではないか、人権が尊重されていない精神医療の現状があるのではないかと思います。

医療保護入院が入院者の利益になるわけではない、その人の人生を滅茶苦茶にしてしまうという問題を多くの人に知ってほしいと思っています。私は、医療保護入院制度の廃止を求めたいと思います。

 

 

トークイベント詳細

 https://www.shosen.co.jp/event/93085/?fbclid=IwAR0a-vnMz7hDc-Z9ZWDDdiP8Q9cqJiSdUcvXcXf4GmmAjxxcEYpqJoTHFXc