石郷岡事件は、結局、検察が最高裁への上告を断念し、控訴審判決が確定しました。
つまり、准看護師二名のうちの一人・・・患者を押さえつけた准看護師は一審判決通り「無罪」。
患者を踏みつけたとされた准看護師は、一審で「暴行罪」の判決でしたが、すでに3年の公訴時効が成立しているため一審を破棄して「免訴」です。
これが確定したということです。
つまり、精神病院においては、暴れる患者(しかもそれ以前の准看護師の行為に抵抗しただけ)を力づくで押さえる行為は「業務(看護)行為」であるということが裁判で認められたということです。
一方、病院内で「暴行」があった(二回患者を蹴っている)ことは認めています。また患者の首の骨が折れたのも、あの保護室内であることも認めています。
にもかかわらず、誰にもお咎めなし。誰も、罰せられない、謝らない。
みなさんはこうした事態をどう感じるでしょうか。
ご意見をうかがえればと思います。
私はこの「事件」について本を書き、そろそろ仕上がります。その完成間近での控訴審判決でした。(内心では差し戻しの判決が出るのでは、と期待していましたが)。
「石郷岡病院事件」というものが、判決によってかなり薄められてしまった印象です。
この段階になって、そもそもあれを「事件」と呼んでいいものかどうか? 石郷岡病院の名前を出すことの是非は?
弁護士とも相談しながら、決めています。
しかし、私の主眼は裁判の成り行きだけにとどまらず、当事者「陽さん」がなぜあの保護室にたどり着くことになったのか、それを一つ一つ紐解いていくことでした。彼の治療歴をたどることで、「真実」に多少近づけるのではないか。精神病院の内情とはどのようなものなのか、薬物治療の実態は? 本当に病気だったのか、薬の副作用を軽視していないだろうか。そんな疑問を抱きながら、文章を紡いでいきました。
このままいけば、来年1月中旬ころの発売になると思います。