うつ病キャンペーンのときに受診

私は福祉系の大学を卒業し、療育センターに就職し、上司は児童精神科医だったこともあり、精神科を受診することに何の迷いも疑いもありませんでした。

また、私が精神科を受診してみようと思ったきっかけは、その頃(平成13年)テレビや雑誌でやたらと鬱病についてや、気軽に精神科を受診しましょうという感じの特集を多くやっていたことにあります。

この時は、病院の掲示板にも精神科受診を勧めるものがやたらと貼ってありました。

 

精神科では何か症状を言えば、どんどん薬が出るし、薬もコロコロと変わり、飲んでいた薬を急に切るなんてことはよくありました。

 私は精神科で医師や薬剤師などから薬の説明をされたことはありません。

だけど、医師や薬剤師から

「この薬は比較的安全で多く使われている」という言葉はしばしば耳にしました。

 

精神科でおかしいと思うことは、精神科を受診するとだいたい「育ってきた環境に問題があった」と言われることです。それは親の育て方に問題があったと言っているようなものです。

 私の親もそうでしたが、精神科医の言葉に親も苦しめられましたし、親にも精神科を受診しろと勧める医師が多くいました。

 薬のせいで子どもが壊れていくのを支える親は本当に大変です。薬で苦しめられている本人と同じくらい大変だと私は思います。

 本来であれば、精神科のスタッフが患者やその家族の相談にのり支えるべきだと思いますが、精神科は患者をおかしくしておき、その家族までもおかしくしておいて何も助けてはくれません。

 相談すれば、薬が増えたり、入院となり薬漬けにされ、ますますおかしくされてしまうことが多く、家庭で抱え込むしかないという感じになってしまいます。

私は精神科にかかったがために、壊れてしまった家庭を多く知っています。

それに、私と同じ頃精神科に入院していた知り合いの多くは、今は精神科を受診していないし、薬を飲んでいませんが、普通に生き生きと暮らしています。そして、

 「薬をやめてからビックリするくらい調子がいいんだよね」と皆が言います。

このことが薬は必要ではなかったということを物語っていると思います。

  実際にこういう人が多くいるのに、その人達に目を向けようともせず、何も変わらない精神科領域は異常としか思えません。

 

 私は小さい頃から夢だった仕事につけて、普通だったら一番楽しいであろう20代~10年程の記憶がありませんし、その時代におかしくされてしまったので楽しむこともできませんでした。

 自分が壊れていく恐怖は言葉では言い表せない程でしたし、精神科を受診してしまったことで、自分は普通ではなくなってしまった、信用も失い、ある種の「烙印」をおされたようでした。

 

訪問看護師の偏見

一番キツかったのは、一般人より理解があるであろう医療者のひどすぎる偏見ですが、医師や看護師のほか、ここ数年(今もです)、在宅生活で訪問看護師やリハビリのセラピストの偏見に傷ついています。

私が精神科に通院中は、精神特化の訪問看護ステーションに来ていただいていました。ここの看護師さんは、精神の患者に対しての偏見はみられず、私が誤診だと認められて精神科を終了になった時には一緒になって喜んでくださる素晴らしい看護師さんでした。

精神科を終了したので、精神特化のステーションとは契約解除し、一般的な訪問看護ステーションに変わりました。

 新しいステーションに指示書を書いて下さった医師は、リハビリでお世話になっている整形の医師で素晴らしい先生です。その先生が気をきかしてくれて、「あえて統合失調症とは書かず、精神科受診歴はあるが医師との話し合いのもと精神科は終了となったということだけさらっと書いたよ」と連絡をくださいました。

そのおかげで新しい訪問看護師とも上手くいっていました。

しかし、1ヶ月程して担当看護師の態度が急変し、

 「統合失調症なんだから精神科の通院は続けるべき!」と言われたのです。

どうやら、訪問看護師が私に内緒で例の大学病院の精神科に情報提供を求めて、統合失調症と診断されていたということを知ったようでした。

きっとこの病院のことなので、統合失調症は誤診だったとの情報までは出さなかったのだと思います。

 担当看護師に精神科の通院は続けろ!と言われた時、私は看護師に誤診だったことを説明して精神科は拒否しましたが、担当看護師が訪問を終えて帰り、しばらくすると、ここのステーションの管理者の看護師から電話がかかって来ました。

そして、

 「最初24時間対応で契約したが、24時間契約は解除させてもらう。あと今後一切あなたの電話の対応はしません。何かあれば担当看護師にメールで言ってください」

と言われました。

あまりに一方的なので管理者クレームを言い、こういう扱いになった理由を聞くと、

「依存心が強く、人の気を引くため仮病を使うこともあるため、24時間契約は外した。あと依存心が強く、電話を頻繁にかけてくることを避けるためにメール対応にした」

と言われたのです。

ここのステーションとの関わりは、この時まだ1ヶ月で、訪問回数は4回でした。4回で依存心が強いなどわからないだろし、私は1回しかステーションに電話をしていませんでした。全てあの大学病院からの情報だけを鵜呑みにし、こうした扱いにされたのです。

 私は管理者と担当看護師に、あまりに酷い扱いだから契約解除して欲しいと言いました。そして、管理者からケアマネに

「しばらく、訪問は中止ということにします」

と連絡がきたと聞き、このまま断る方向にもっていけばいいとホッとしていました。

しかし次の日、看護師が何事もなかったように訪問して来たのです。

ここの管理者と担当看護師は、私が何度訪問を断っても、気がおかしい人の言ってることだから……と私の意見は無視して訪問を続けていることがわかり、私は訪問して来ても居留守を使い部屋に入れないようにしました。ようやく来なくなりました。

 謝罪の言葉も、訪問をやめますという連絡も何もありませんでした。

あまりにひどいので、市の苦情相談にも言い、本社にクレームの手紙を送りましたが、何の返事もきませんでした。

かなり大手の訪問看護ステーションでしたが、人権侵害とも言える扱いでした。

 

あまりにレベルが低い・・・

ここの扱いがあまりにひどかったこともあり、次の訪問看護ステーションは探さず、半年程訪看無しで生活していました。でも、さすがに困ることもあり、新しい訪問看護ステーションと契約しました。この時は、知人が利用していたステーションが来てくれることになりました。

 指示書は、また整形の医師が書いてくれました。今回は、精神科受診歴も書かずにいてくれました。そのため、看護師やセラピストとすごく上手くやれていました。

 訪問を開始してから3ヶ月程経った時に、薬を嫌がる理由をしつこく看護師に聞かれたので、私はしぶしぶ精神科にかかっていた時のことを話しました。

その話を聞いた看護師が、次の訪問から態度が急変しました。

 口調がキツくなり、関わりたくないような感じになったのです。

すぐに私は訪問を断りました。そして、看護師に私の思っていたことを正直に話しました。私も腹が立ってカッとなってしまい、かなり喧嘩腰で話してしまいましたが、最後に看護師に、「私の言っていることが間違っていたら何でも言ってください」

と言いましたが、看護師は何も言いませんでした。顔がムスっとし怒っているのがわかりました。そして、看護師が

「訪問は終了でいいんですよね?」

と聞かれたので、「はい!」と答えると、最後に部屋を出る時に

「死なないで下さいね!」と言い帰っていきました。

 (今、こうやって文字にするだけでも不愉快になります)

 

 病院に行くことが少なくなり、嫌な思いをすることも減ると思っていただけに、在宅生活を支える訪問看護師の対応にすごくショックを受けました。

今入ってもらってる訪問看護ステーションには、私からは何も言わないようにしています。看護師に以前、過去のことについて聞かないのか? と聞いたら、

「過去のことは、はっきり言ってどうでもいい。私は、今のあなたを診ているし、あなたの未来について考えていくんだから」と言われました。だから、看護師からも何も聞かれません。そういう関係で、今は上手くいっています。

 

 しかし、このようなことはよくあることなので、今後もし新しい医療者と関わる時には、精神科受診歴があることは言わないようにしようと心に決めました。ましてや統合失調症なんて絶対に言いません。

 

 私は、心が折れそうになった時に、今の主治医に今までのことを話しました。

そうしたら、

「それは辛かったね。私から診ても、あなたは精神科に行く必要はない。そういうバカな奴らとは関わらないようにすればいい。そういう奴らは、どれだけ話してもわからないから、関わるだけ時間の無駄だよ。ちゃんとわかってくれる医療者だけと関わればいい」

と言われて、ズタズタになっていた心が少し楽になりました。

 

********

 Yさんが経験したことは、受診から入院、そして病名による偏見(とくに医療者による)と、精神科に関わる多くの人が経験する、その縮図のようである。

 あまりに安易につけられた診断名。それが書類上ずっとついて回り、医療者の偏見する心を刺激して、さまざまな、信じがたいような言動をぶつけられることになる。

 入院中の看護師の劣悪な看護、いやこんなのは「看護」などでは絶対になく、おそらくその看護師が抱える日常的なストレスのはけ口という、明らかな虐待行為である。

 あまりに低い意識と知識と精神。

 そのくせ「医療者」という高みから患者を見下す傾向がある。

 最後に登場する医師の「バカな奴ら」という言葉で切り捨てるには、あまりに悪質である医療関係者たち。

 精神科にかかることでPTSDを抱えることになる人がどれほど多いことか。

 精神医療というシステムそのものが患者を作っているという現実がある。

(もちろんそうでない医療関係者もいます、そんなことはわかっています)。