私は精神科を受診し、精神科で処方された薬によって人生を台無しにされました。

 薬によって自分が壊れていく様は、ものすごく怖くて、とにかく早く普通に戻りたい一心で通院を続け、医師の言う通りに薬を飲み続けました。

 

ストレスから体調不良、そして受診

17年ほど前のことです。

私は仕事のストレスで体調を崩し、鬱っぽかったので軽い気持ちで精神科を受診しました。初診でいくつかの薬を処方され、飲み始めてすぐにおかしくなったのです。初診から半年くらいで、廃人になり入院。その後も入・退院を繰り返しました。

精神科病院への入院については前に書きました。そこで、保護室に隔離されたり、身体拘束も経験しました。

 

精神科の治療を続ける過程で、ある日、精神科医から、

「今後生きていく上で統合失調症と診断しておいた方がいいと思う」

と言われました。そのときに「統合失調症」と診断されてしまったのです。

もちろん、その時、私も家族も「えっ!?」と驚き、疑問に思いました。しかし、私は薬で頭が回らず、言葉が出ないし、家族は医師に反論ができなかったと後で聞きました。

 私は今までに一度も統合失調症のような幻聴・幻覚といった症状は出たことはありませんでしたので、統合失調症と診断されたことに納得がいきませんでしたが、もはやどうすることもできませんでした。

 

その後、統合失調症と診断した病院が嫌になり大学病院に転院しました。

 大学病院の精神科医に誤診だったと認めてもらい、精神科医との話し合いのもと精神科の通院も終了となりました。

 結局、薬を完全にやめるのと統合失調症が誤診だったことを認めてもらうのに15年かかりました。

 

誤診と認められても・・・

 私には持病があり、同じ大学病院の他科にもかかっていますが、誤診だと認められてからもカルテには未だに「統合失調症」と書かれたままです。

そのため、他科の医師はあからさまに私を嫌がります。診察拒否されたことも何度もありますし、持病が悪化して入院しないといけない状態になると今でも精神科病棟に入院することになります。

また、この大学病院に何度か他院に紹介状を書いてもらったことがありますが、診断名は「統合失調症」とあり、誤診だったとの説明は一切ありません。そのため、他院の医師からも嫌がられ、診察拒否されることが多いです。

運良く診察までいっても、関わりたくない患者が来たみたいな感じで、「うちでは診れない」と断られます。

 私や家族が誤診だったと説明しても、紹介状に統合失調症と書かれているので信じてもらえません。

 

 薬を完全にやめて3年になりますが、やめてからは精神疾患のような症状は全く無く調子が良いですし、すごく良く眠れます。

 薬をやめてから色々な医師に診てもらっていますが、精神疾患を疑われたり、精神科の受診を勧められたことは一度もありません。

 薬を飲んでいなくても精神疾患の症状が出ないということが統合失調症ではなかったという証明になっています。

 

一度つけられたレッテルの重み

 私が誤診だったと認めてもらうことにこだわった理由は、統合失調症というだけでひどい不当な扱いを受けるからでした。

そしてそれは医師、看護師、セラピストなどの医療職の人の精神科受診歴のある患者に対する偏見がものすごくひどいことを身をもって経験したからです。

 

 体調が悪いので、病院に行き待合室にいると、診察室の奥の方から

「あ~精神科の患者か……」と医師と看護師が嫌そうに言っている声が聞こえるな~と思ったら、次の瞬間、診察拒否されたり、運良く診察室に入れてもらえても、患者の訴えなんて一切聞かず、

「気持ちの問題だから精神科に行って!」と言われたりします。

 体調が悪くて病院に行ったのに、きちんと診てもらうことも、検査もしてもらえず、嘘つき呼ばわりされ、ただただ悔しくて涙しながら家に帰る気持ちがわかるでしょうか?

 病院で医師から拒否されるということは、生きてる意味がないと言われている気がしてしまうのは私だけでしょうか?

 

こういった経験から、私はひどい医療不信に陥りました。そのため、よっぽどのことでない限り、今では病院には行きません。医療職の人にはもちろん、普通の一般の人達にも精神科受診歴があるということは話さない(隠す)ようになりました。

 

 精神科の医師が安易に診断し、薬漬けにしたせいで、私は一生不当な扱いを受けることになってしまいましたし、身体障害者にもなってしまいました。

医療職の人はもちろん、家族や親族からも不当な扱いを受けることになりました。

一番辛いのは、社会から信用してもらえなくなったこと、友達がいなくなったことです。

 

 私は誤診だったと認めてもらってからは、特に精神科の薬と呼ばれる類いのものは飲みたくないと医師には言っています。向精神薬の怖さを知っていることはもちろん、そういう薬が処方されていると医師にやっぱり精神疾患があると思われてしまうからです。

 

 私は、世の中の人に精神科の門は軽い気持ちでくぐらないで欲しいと強く強く言いたいです。

そして、今でも医師、看護師、セラピストなどの医療職のほとんどは精神疾患に対する偏見がひどすぎますし、向精神薬についての知識に関して無知な人がほとんどです。

 医学が進んでいる中、日本の精神科領域の医師、看護師など医療職員の質の低さには失望しかありません。

 

薬の副作用

薬ですが、精神科初診の平成13年~平成27年まで飲んでいました。

 具体的な薬の内容は、裁判など考えていなかったため、記録を残していませんが、精神科で出せる薬はほぼ全て飲んだと思います。

一番多く飲んでいた時は、寝る前に20錠ありました。

 私は薬を飲み始めてすぐに体がおかしくなって、痙攣して全身硬直、意識消失する発作が起きるようになりました。

どれだけ検査をしても、「原因不明」で、「ヒステリー」と言われました。

「命に関わる状態ではないから放っておいても大丈夫。関心をひきたくてやってるんでしょ? もうやめたら?」

そんな言葉をいっぱい言われました。

しかし、減薬していくうちに発作は減り、今では全くおきません。

だから、薬のせいだったと私は思っています。

 

 私も親も、おかしくなったのは薬のせいだというのはわかっていましたが、医師も看護師も減薬すらダメだと言い、

 「とにかく処方されている薬は飲まなければいけない」と言われ続けました。

 私は薬を飲んだり飲まなかったりした時期があったこともあり、わりと大胆に減薬しても、離脱症状は軽い方だったと思います。

 

最後の処方はH27年7月で、就寝前

ロヒプノール1mg×2T

ブロチゾラムOD0.25mg    1T

 

 じつは、離脱症状ということを知ったのは薬をやめた3年程前のことでした。昔は、そういった情報すらありませんでしたから、私の体で起こっていた異変が全て薬のせいだとわかった時、すごくスッキリしたのと、ホッと安心したのを覚えています。

 私はベンゾの離脱症状は、体の痛み(痛みを言い表すのが難しいのですが、筋肉痛や神経痛とは違う痛さなのです)でした。痛みは辛かったですが、やはり私の離脱症状は軽い方だったと思います。そして、その痛みは年々和らぎ、今では1年に2回程起きるだけになりました。

 

 様々な離脱症状について、日本の精神科医は薬によってひきおこされた症状だとは全く思っていません。

 精神科医でさえこういうふうだから、内科医や整形外科医でもベンゾなどはさらっと普通に処方しているのです。

 医師は、薬でそんなことが起こるはずがないと信じきっているし、自分の知識は間違っていないという異常に高いプライドから、患者が医師の考えとは違うことを言うと機嫌が悪くなる、そういう医師がほとんどでした。

 知らないうちにベンゾを飲んでしまっていたということが多々ありましたから、今では薬をもらうと自分で薬剤情報を調べるようになりました。そして、はじめてかかる医師には「精神科で出される類いの薬は拒否」と必ず言うようになりました。

 

 実は、整形外科で痛み止めとして処方されて5年程使い続けていた「ノルスパンテープ」が向精神薬だということに1年前に気がつき減薬し、先月やめることができました。

 医師は痛み止めだと言っただけで,向精神薬とは一度も言われたことがありませんでした。

 今では薬は下剤しか飲んでいません。今までのことがあるので、どうしても飲まないといけない薬以外は飲まないようにしていますし、今の主治医は私のことをよく理解して下さっているので薬を簡単には勧めてきません。だから、今の主治医は安心です。

 

ある医師の言葉が転機に

 私が精神科の薬をやめられたのと、精神科受診を終了出来たのは、ある神経内科の医師の一言でした。

「あなたの困っている症状は、精神科の薬から来てるもの。精神科の薬をやめなければ治らない」

その後の精神科受診で精神科の医師が

「神経内科の医師に薬をやめろと言われると、私達は出すわけにはいかない」

と言って、今まで処方していた薬を、突然出してくれなくなりました。私の場合、薬は減らしてきていて、その時は少量の薬しか出ていなかったし、実際には飲んでいなかった状態だったので急にやめても大丈夫でしたが、普通の人にこんなことをしたら問題だと思いました。

ともかく、薬をやめても精神的に不安定にならない、むしろやめてからの方が調子がよいということで、医師が統合失調症ではないし、精神科の通院も終了してよいと言ったのです。

 神経内科の医師の一言がなければ、私は精神科とは縁を切れなかったと思うので、それだけは良かったと心から思います。

 普通の人は、医師が処方する薬に対して何の疑いももたずに、むしろ医師が処方したと安心して飲む人がほとんどです。

向精神薬についての説明は、医師や看護師、薬剤師からもない場合がほとんどで、医療者はみな「安全な薬」だと思い込んでいるため、患者にも「安全な薬だから大丈夫」と言ってしまっているのです。

 本当に怖いことだと思います。

 

 医学が進歩している中、日本の精神科領域は昔のまま何も変わっていない。そのため、医療者の偏見もひどいんだと思います。日本の精神科領域は異常です。

 向精神薬で体がおかしくなっても、日本の医療者は何も助けてくれません。だからこそ、自分の身は自分で守る必要があるのです。

 

副作用による事故

私が身体障害を負った理由ですが、精神科で処方された薬のせいです。

 精神科で処方された通りに薬を飲んでいた時に、地に足がついていないような感じで、ふらつきもひどかったのですが、そんな時に自宅の階段から転落して脊髄損傷になりました。

それが平成23年のことです。

この事故のあとから、本格的に自分で薬を減らしはじめました。

 今は脊髄損傷による四肢麻痺で車椅子生活です。

それとジストニア、脊髄損傷の後遺症があります。

 (私のジストニアの症状は、向精神薬によってなったものではなく、脊髄損傷による後遺症で脊髄が異常信号を出してしまうためにおきていると言われています。)

 

 私が通院した大学病院、この病院のスタッフは最低の対応でした。

 最近わかったことなのですが、脊髄損傷になった原因は、私が「自宅二階から飛び降りたため」となっていたのです。

 私も親も、そんなこと一言も言ってないのでビックリしました。

今の主治医にこの大学病院の情報に誤りがあること、正しい情報に直してもらうにはどうしたら良いかを聞きましたが、「やるだけ無駄だと思う」と言われました。

私もそんな予感はしていましたから、大学病院に何かを言うのは諦めました。この病院は、私のことを「気がおかしい人」扱いなので、何を言っても聞いてすらもらえません。

 

精神科の受診歴があるだけで、医師は変な色眼鏡で患者をみます。そして、統合失調症という診断がついてしまうと普通の人のようには接してくれません。言うことも聞いてもらえないし、言っていることも信じてもらえない、人間扱いをされなくなり信用してもらえなくなります。

そして一度診断が下ると、私のようにそれが誤診だったと認められても、結局一生変な色眼鏡で見られてしまうのです。

医療者の精神科に対するひどい偏見は、医学生の教育に問題があると思いますし、現場の医師が古い教育の知識や考えのままで患者を見下しているからダメなんだと思います。

 

 なんであの時、精神科の門をくぐってしまったのか? という後悔は一生続くと思っています。

 私は、多くの人に精神科の真実を知ってもらいたいです。

 私のようなことになった人がいること、精神科を終了してもひどい偏見があること、一般人よりも医療者の偏見の方がはるかにひどいという事実、このような実際にある問題を知る必要が一般人にはあると思います。

 精神科でおかしくなって苦しい状態になっても、医療者は助けてはくれないのが現実です。だからこそ、真実を知って欲しい。そして、安易に精神科の門をくぐらないで欲しい。

 私は、こう強く思っています。

そして、日本の精神科の領域が良い方向に変わることを願っています。