元気になったものの……病気の再発か?

 ちょうどその頃のことです。去年の夏、高2になった長女が「大学見学会についてきて欲しい」と言いだし、しばらくぶりに、一日かけて2人で外出しました。

 この時、私は、かこさんブログに出会ったところで、全部を読み通している最中でした。

 そのころの、自分らしさを取り戻してきたという実感は、まさか症状の悪化ではないかと不安を抱いていた時期でもあります。

 偶然駅で、長女が中2だった時の担任の先生と一緒になり、車内でずっとおしゃべりをしました。

 別れ際に、「心配してたけど、大田さん、もう大丈夫。これからもお元気で」と、先生は仰ってくださいました。

 長女は、ただ「よかったね」とだけいいましたが、私は、とてもうれしかった。

 12月に入り、つまらないことが原因で旦那様に、「今、私は怒っている」と告げ、喧嘩になりそうになりました。

 この時、旦那様は、「近頃なんだか、危なくなる前の状態に似てきた。怒りっぽいし、気をつけたほうがいい」といいました。

 以前の私だったら、「そんなことない」と反論してしまったことでしょうが、もう二度とあんなことは御免こうむりたいので、

「あら、そう。じゃ、気を付けるね」と答え、喧嘩にならずに済みました。

 あわせて、①自分が元気になったと実感していること

      ②かこさんブログと出会ったこと

      ③精神薬の副作用と離脱症状について知ったこと

      ④断薬して約1年たったこと

      ⑤二度と薬は飲みたくないことなどを、話しました。

 旦那様は、「薬のことは、先生に相談したほうがいいのではないか?」と答えました。

 旦那様もやはり、夏を過ぎたころからの私の様子をみて、症状が悪化したのではないか?と疑っていたようです。

 正直なところ、土・日一緒の時、先に休む私を見ていれば、服薬せずに寝ていることは、きっとわかっているものだと判断していましたが、さすがに、そこまで見られてはいなかったのでした。

 しかし、かえってそのおかげで、断薬成功に至ったのかもしれません。

「薬について、先生に相談して」と言われ、「わかった」と答えて先に休みましたが、次に日の朝に、「薬の件は聞かなかったことにして、しばらく様子を見てほしい」と伝えたら、「わかった」と答えてくれました。

 主治医にも旦那様にも断薬したことを黙ってきていましたが、旦那様に告白したことにより、主治医に相談しないといけなくなったので、私は困りました。


 やってきた2ヶ月に一度の診察の日、

 主= 「どうです? 元気に過ごせてますか?」

 私= 「はい、おかげさまで元気に過ごせています。最近、腸活にはまり、毎食大根おろし食べて、ヨーグルトを夜食べて、腸活体操してたら、まあよく出るようになりまして……、もうマグラックスはいらないようです」

 主= 「それは、よかったですね。ではマグラックスはとめましょう」

 私= 「それは、ありがとうございます。でも、まだ時々親指が人差し指に勝手にくっついたり、涙が勝手に出たり、ひどい筋肉痛がでたりします。もしかしたら、年齢的な現象かもしれませんが、薬のせいともいえなくはないので、できたら、少し減らせませんか?」

 主= 「うーん、安定しているようにみえるので、減らさないほうがいいですが……。そう仰るのなら、エビリファイ6㎜gから3㎎にして様子をみましょう。このくらいになるとね、かえって指が震えたりといった症状が出るかもしれませんから、何かの時は、すぐ受診してください。あと、薬が減ることで、症状が悪化するかもしれないので、ご自身が発病したときのことを思い出して、似た現象が現れた時も受診してください」

 こうして、処方は、現在エビリフアイ3㎎のみとなりました。

 もちろん、一切手をつけずに捨てました。

 きっと、旦那様の希望どおり(既に断薬済みであることについて)の相談内容ではありませんが、確かに薬についての相談はしました。罪悪感がないと書いたら嘘になりますが、仕方がありません。

 自分の身を自分で守ることが、家族を守り、迷惑をかけずに済むことにつながるからです。

 もし服薬したら真っ先に自分が困り、家族や周りにも迷惑をかけてしまうことになるからです。


再発防止に向けて

 一方で、再発はもっと困りますから、

  ①自分を客観視する

  ②人の意見に耳を傾ける

  ③何事も急がずにコツコツ時間をかけて行う

  ④快食快眠快運動を心がける

  ⑤1人で背負込まずに周りに助けを求める を、心がけていこうと思っています。


 最後になりますが、最近、自分の心境に更なる変化が起きましたので、書きくわえさせていただきます。

 つい、先日、小4の下の子が所属するスポーツ少年団において、来年度の役員決めがあり、

私は、新小5のなんと代表の座を、あみだくじで引いてしまいました。

 すでに、読み聞かせの代表をすることが決まっていて、他の役割は受けないほうが良いだろうと思っていたのにです。

 発病前に、自分ではできると思って、そういう役割を同時にいくつも引き受けた結果、うまく回せなくなり壊れてしまい、精神病院に入ったのですから、私は、一瞬で恐怖の階段に突き落とされたかのように感じてしまいました。

「この私にできるだろうか」と。

「同じ過ちを犯したりしないか」と。

 しかし、一方で、

 「そろそろ、なんでも自分のペースでやってごらん。貴重な経験を活かす時が来た。慌てず、ゆっくりこつこつと、目標に向かって進んで行きなさい」と、神様とは書きませんが、とにかく、誰かに、そう肩を押してもらったような思いも湧いてきました。

 そして、ちょっと大袈裟かもしれませんが、自分の生きている理由・生まれてきた理由・役割・一生かけてするべきことなどがわかったように感じられてきました。

 それは、あの時みた妄想が、けして無関係ではない……のかもしれません。

「自分の生き方を示し、参考にしてもらい、未来に託し、繋ぐ」ことです。

 妻として、母親として、スポーツのコーチとして、読み聞かせのおばちゃんとして、スポーツ少年団の1保護者として、精神病の経験者として、家族や周囲の方々のご協力を仰ぎ、いただき、感謝しながら、己も成長していくということです。

 説明・文章ともに拙く、かなり抽象的できっとわかりにくいでしょうが、どうぞお許しください。

 とにかく、自分なりのモチベーションをもつことができたので、怖がらずに勇気をもって役割をうけようと決心しました。

「新たなる自分として堂々と生きていっていいのだという自信」を、実際に行動に移すチャンスがやってきたのだと思います。

 これまで、年末から数回にわたり、長ーいメールにお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

 かこさんブログにメールをすることで、自分の人生をよく振り返ることができました。

 入院するに至るまでの自分のものの捉え方の偏りや、傾向について知れましたし、なんといっても、家族や周りの方々にどれだけ支えられてきたのか、ということ。

 感謝するわけや幸せを感じる理由は、見落としていただけで、そこいらじゅうに転がっていること。人生における自分の役割に気付けたり、生きる勇気が湧いて来たり……と、ありがたいことばかりでした。本当にどうもありがとうございました。」


「いい+加減に」

 フル回転に、多くのことをこなし、すべてを完璧に……そして疲労がたまって精神的にアンバランスになってしまう……というパターンをわりによく耳にします。

 その場合、多くは「統合失調症」という診断が下され、薬物療法が施され、一生服薬……という方向に流れがちで、ケースとしては悲惨なケースになりやすい。

 大田さんの場合、主治医の最初の診断は「ほぼ統合失調症」、その後「一過性の精神障害」と「一過性」が付きました。

 そして、自分の体調を見極めながら、減・断薬をして1年経過。

 一つには、よく主治医が「一過性」という見方をしたと思います。それに呼応するように、大田さん自身、自分の「特性」に気づき、同じことを繰り返さないよう、さまざま対処しながら減薬をしていったのです。

 私のブログを見て、減・断薬に踏み切ろうと考える(大田さんの場合は事後確認でしたが)人もいると思います。しかし、たとえ「統合失調症と診断されていても統合失調症ではないかもしれない人」でも、「ただ薬をやめればいい」というものではありません。

 大田さんも自らを戒めているように、「発病」にはそれなりの原因、理由があるはずです。それを振り返ることなく、気づくことなく、改善もせず、「すべては薬が悪いから」「薬さえやめればよくなる」との考えで減・断薬をしても、たぶんうまくいかないでしょう。同じ状況、同じ環境になれば、また同じ状態に陥ってしまいます。

 必要なのは、やはり「自分を知ること」。「発病」までの経過をよくよく振り返り、何が自分を追い詰めたか、自分の考え方の癖、行動の癖を知り、同じような状態にならないように予防をすることです。

 病を得て、大田さんは自分の中で大きく成長できたように感じます。病が自分自身を振り返る一つのきっかけにもなりました。

 大田さんのような生真面目で何事にも一生懸命に取り組んでしまう結果、精神的に追い詰められてしまいがちな人に対しては、次のように言うといいかもしれません。

「もっといい加減に」「テキトーに」「ほどほどに」。

 いい加減は、「いい」+「加減」なのです。つまり、いいお湯加減、バランスが取れているという意味です。「テキトー」は「適当」なのです。

 全力疾走だけでは疲れるのは当然です。それでも「全力疾走」してしまいがちな人は、そういう自分であることをまず知ること。そして、どこかで「諦める」ことも人間、必要ということかもしれません。

 今後は、時期を見計らって主治医に断薬していることを告げ、精神医療から完全に離れていってほしいと願います。