あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
久しぶりに、今日は体験談をお伝えします。
42歳、既婚の女性(仮にN子さん)からのメールです。
「ブログを拝見させて頂いております。
今年の7月に断薬がおわり、今は精神的な離脱症状に苦しんでおります。
薬を飲む前は、とても明るくて外出が好きだったのですが、今は外に出る気力が全く出てきません。
10月に実家に戻ってきたのですが、両親に生活面で助けてもらい、実家ではトイレとお風呂とご飯だけという廃人生活です。
抗うつ剤を飲む前は全くこのような症状はなかったのに、止めた途端うつ病のような症状が出てしまいました。
主治医に話したところ、薬を飲んでいるうちにうつ病になる人がいると言われました。そう言いながら医師は抗うつ剤を出し、私はその後一切病院には行ってません。
主人や義母からは病院に行くよう言われましたが、行けば行くほどひどくなるので行ったふり、薬を飲んだふりをしています。薬害について説明しましたが理解できないようです。」
N子さんは東京で結婚生活を送っていたが、減・断薬による離脱症状にご主人の理解が得られないため、実家に戻ってきている。
現在、断薬しておよそ半年。N子さんを悩ませている症状は……、
・感情がない――テレビを見ても、音楽を聴いても、楽しいと思えない。怒りと悲しみは感じるが、楽しい喜びを感じらない。
・笑えない――常に無表情。
・言葉が出てこない――特に、名詞が出てこないため「あれ」「これ」という言い方になる。言葉が出ないため、ほとんどしゃべらなくなってしまった。
かてて加えて、N子さんはアトピーとしての治療でストロイドを使用され、現在は重度のステロイド依存症を抱えているという。ステロイドを止めるにも激しいリバウンドがあり、向精神薬とステロイド剤という二重苦をいま抱えている。
入口は緊張感からソラナックス処方
そもそものN子さんが向精神薬を飲むことになったのは、今から20年ほど前(N子さん23歳のとき)のこと。当時勤めていた会社で3分間スピーチをすることになり、そのとき緊張感から声が震えて恥ずかしい思いをしたため、友だちのアドバイスに従って心療内科を受診したのがきっかけだった。
診断は「不安症」とのことで、ソラナックス(頓服)が処方された。
3分間スピーチのたび、N 子さんはソラナックスを飲んで対応してきた。
が、その後、いろいろな場面で緊張することが増えていった。人と話すだけで緊張したり、美容院や買い物時の何気ないおしゃべりでも緊張するようになった。そして、そのたびにソラナックスで対応してきた。
そして、アトピーもちょうどこの頃発症。精神薬と同時期にステロイドによる治療が始まった。
緊張のたびにソラナックスを服用し、1日に0・4㎎を2錠、3錠……。6~8錠飲む日もあり、最高で10錠飲まなければいられないこともあった。(飲み始めて10年近く経過していた。常用量依存である)。
そして、ある日のこと、外出先でものすごい不安感に襲われた。あまりの不安感に怖くなり、その後、出社不能となった。退社を余儀なくされ、N子さんは東京から実家のあるある地方都市に戻ることにした。
薬が増えていく
しかし、実家に帰ってもソラナックスを手放すことができず、頓服で飲み続け、何とか不安感をやり過ごしていた。アトピーは地元の大学病院に通院し、ステロイド治療が続く。この大学病院の教授によってかなり強いステロイド剤を使われてしまった。その副作用がいまも顔に出ている(N子さんの表現を借りれば「顔がぐちゃぐちゃ」)という。
地元で就職したものの、運悪く人前で話す業務を任され、緊張感に困り果てたN子さんは心療内科を受診した。本当なら、このとき会社を辞めればよかったのだ、とN子さん。
医師はルボックス(1錠)を処方した。医師が言うには「副作用が少ない薬」とのことだった。飲んでも何の効果も感じなかったが、N子さんは真面目に飲み続けた。
そして、33歳、知り合った男性と結婚。と同時に、また東京に行くことになった。
以下、N子さんからのメールを紹介する。
「専業主婦で、マンション暮らしでしたが、外に出るとすごく不安になりました。誰かに話しかけられるのではないかと思うと、買い物にも行けません。
社会生活が難しくなり、ネットで調べると「社会不安障害」のことが書いてありました。ちゃんと治療法もあり、治る病気と書いてありました。私も社会不安障害なのかと思い、主人と相談して、大学病院に行きました。(注・ちなみに東京女子医大病院)。
そこで、「社会不安障害」と診断され、1日1錠のルボックスでは足りないということで、徐々に増やされていきました。最終的に最大量まで増やされました。
しかし、体感としては、何も変わりませんでした。
その後、別の都心の心療内科に通うようになりましたが、やはり不安感が常にあり、相談したところ、薬がまた増やされました。
最終的に断薬前に飲んでいた薬は以下のとおりです。
朝=リボトリール 1錠
ワイパックス 2錠
昼=ワイパックス 2錠
夜=ワイパックス 2錠
ジェイゾロフト 確か120ミリぐらい?
毎日だるくてだるくて、死ぬまで薬を飲むことに不安を感じたので、断薬することにしました。自分一人で考えての減・断薬です。(注・アシュトンマニュアルを参考にしながら、まずベンゾから断薬、その後抗うつ薬を断薬した言う)。
2014年10月頃から始めて、2015年7月に断薬に至りました。
減薬時にいろいろな離脱症状が起こりましたが、断薬後が一番辛いです。
今、断薬5ヶ月ちょっとですが、身体面では、音が響く、光が眩しい、脳が捻られるような感じがする、などなど。
精神面では、無感情、無表情、楽しめない、喜べない、話せない、計算できない、一人で外出できない、何かやろうとしても頭が真っ白で何もできない、我慢できない、何をすればいいか分からない、などなど沢山あります。
自分が獣になったような気がします。
怒りを抑えられなかったり、食べたい衝動が抑えられず、手でご飯を食べたり……ありえないです。
向精神薬の離脱症状とステロイド剤の副作用(脱ステへの不安)
向精神薬の離脱症状に加え、ステロイド剤に対する恐怖が強く、生きているのが辛いです。
ステロイド剤の副作用で顔がぐちゃぐちゃなのも、外出したくない、死にたい気持ちに拍車をかけています。
今、八方塞りで一寸先は闇です。
まさかこの年でこんな風になり、人生がめちゃくちゃ。主人には離脱症状のことが理解できないみたいで(薬を飲め、鬱を治せと言われます)、主人を東京に残し私は実家に帰ってきました。
離婚は時間の問題かもしれません、しゃべらない、笑わない私が許せないみたいで。
もう少しで43ですが、離婚して、この鬱症状でどうやって生きていけばいいか苦しくなります。
今は両親の年金で食べさせてもらっています。両親がいなくなったらどうなるんだろう。先が不安で考えただけで死にたくなります。
抗鬱剤とステロイド剤を使用する前の私は、健康でした。
私のせいで、主人も死にたい人生めちゃくちゃだと言うようになりました。離婚して主人を楽にしてあげたい。
私は断薬とステロイドで苦しみながら死ねばいいと思ってます。」
かなり悲観的なN 子さんのメールに、私からは、まだ断薬して間もないこと、半年では離脱症状は苦しいが、それは時間とともに絶対によくなっていくことなどを伝えた。
孤立している状態なので何とか会に参加できないかと思ったのだが、電車に乗れない(電車やバスに乗ると気が狂いそうになりますと言う)ため、しばらくはそれも難しそうだ。
ただ、今は辛くて、一生このままなのかと思ってしまいがちだが、そんなことはない。
時間はかかるかもしれないが(それもまた当事者にとっては辛いところだが)、それでもよくなっていく……とはいうものの、そこまで家族が待てない、理解できない、それが当事者をさらに追い詰め、辛くさせている。
脱ステロイド
さらにN子さんが抱えているステロイドの問題。
アトピー治療とうつ病治療は非常によく似た構図をもっている。
ステロイド剤によってアトピーがつくられ、抗うつ薬によってうつ病がつくられていくという構図。
離脱症状(リバウンド)という問題も同様だ。(ステロイドをやめたから、アトピーが再発(悪化)した、という医師の言い方は、まさに精神科の言い分と同様である)。さらに、医師による薬剤の使い方に問題があるという点も共通している。(薬の説明がほとんどない。これを塗れば(飲めば)治りますよという一方的な処方の仕方。そして、改善しなければ、薬を増やす、強いものに変えていくというやり方)。
日本皮膚科学会のステロイドに対する過敏なまでの反応。
皮膚科にしろ精神科にしろ、日本の医療界の振る舞い方の共通点に唖然とするばかりである。
脱ステロイドについては私はほとんど情報を持っていない。もし、体験者がいましたら、伝えていただければと思います。N子さんも現在は向精神薬の離脱症状で精一杯。なので、ステロイドの減薬は今の離脱症状が落ち着いてからのほうがいいと思うのですが、何か情報がありましたら、よろしくお願いいたします。