減断薬してくれる医療機関

減薬をされている方からしばしば尋ねられるのは、薬をやめさせてくれる医療機関を知りませんかということです。これには答えるのに窮します。「ない」と言い切ってしまうのはもしかしたら「嘘」になるかもしれないけれど、ではどこそこの病院(医師)に行けば絶対に大丈夫と言い切れるところは、やはりないからです。

『精神医療の現実 処方薬依存からの再生の物語』の中で書いたことですが、医療機関で減断薬(ベンゾや抗うつ薬の)を成功させるということは、やはりモチベーションの問題だろうと感じています。

 本に登場する、アルコール依存症を対象にしている病院でベンゾと抗うつ薬の減・断薬を行った柳田さんという女性。彼女が主治医に「先生のおかげで減薬が進んでいる」とお礼を述べたときのことです。医師は、「病院がよかったわけではない。まして治療方針がよかったわけでもない。あなたの何とかしたいという気持ちがすべてです」と言っています(本書113頁)。

 これは医師の本音だろうと思います。減薬は医師がやるものではなく(減薬方法のアドバイスはできても)、実行して、それに耐えていくのは患者本人ですから。

 もちろん医師と患者の相性もあるでしょう。が、最終的には当事者の「決意の固さ」がものを言う……。

 本当に厳しい現実ですが。

(ただし、これは混乱しないように書いておきますが、ベンゾや抗うつ薬の減・断薬と、統合失調症という診断に対して処方されている抗精神病薬の減・断薬はちょっと話が違います。)


離脱症状の緩和方法

 それからもう一つ、よく尋ねられるのは、離脱症状の緩和方法です。

 漢方、サプリメント、マッサージ、鍼灸、バッチフラワーエッセンス、カイロプラクティック……いろいろ方法はあろうかと思います。もちろん、その人の体質に合う合わないが関係します。

 絶大な効果はなくても、ともかく手軽に試せること……は必要かもしれません。何かをやっているということで得られる安心感は馬鹿にしたものではありません。一時的に楽になれる方法でもいいのです。結局、そうやって時間稼ぎをすることが大切です。


 また、こうした具体的な方法に加えて、やはりここでも「心構え」が大切なような気もします。根性論とはまた別の(もちろん根性は必要ですが)、一種の生まれ変わりのような転回が。これまでの人生でやってきた方法とは別の方法を身に着けるとか、物事の受け止め方をこれまでのやり方と変えてみるとか……。

 以前このブログでも紹介した常葉まり子さんという方が書いた『向精神薬の減薬・断薬メンタルサポートハンドブック』(2011年3月発行)という本があります。

 自費出版で、決まった数しか印刷していないので、今は絶版。アマゾンで調べたら、現在3万円で一冊だけ出品されています(定価は1050円)。

 たった66頁の本が3万円。正直、それだけの価値があるのかと思いますが、減・断薬に伴う離脱症状に苦しむ人にとっては「これしかない」という思いが、手に入らなければ入らないだけ余計に膨らんでいくのでしょう。その気持ちはわからなくもありません。

 そして、離脱症状を抱える人はそれだけ孤独でもあるのでしょう。自分と同じ経過をたどる人に親近感を覚える。その人がどうなっていったか知りたいと思う。自分の減薬に対する心構えは間違っていないのか、日々の生活は?

 辛い日常の中、おそらく疑問ばかりを抱いているのでしょう。少しでも参考になる情報がほしい。当然の気持ちと思います。

 このブログはおそらく今現在苦しんでいる人が多く読まれていると思います。断薬し、健康を取り戻した人は自然、離れていく。

 それでも、もしこれを読んで、自身にとって離脱症状真っ盛りのとき、「これ」が良かったというものがありましたら、伝えていただければと思います。

 近々、過去の記事も含めて、参考になるような情報をまとめてみたいと考えています。

 ご協力、お願いいたします。