ところが――。

 このエントリからちょうど2年たった今年の6月22日のこと。私はケイトさんから次のようなメールをいただいたのである。


「ご無沙汰しています。けいとです。減薬を始めて2年間、殆ど寝たきりで絶望しかない日々でしたが、今月始めに、突然起き上がることができました。ロヒプノール単剤0.05mgにまで減らして14日目の出来事でした。

2年ぶりに車の運転をしながら涙がでました。

家中の片付け、料理……体の揺れ、痺れを我慢しながらですが、一通りできるようになりました。当事者としても信じられないことで、待ち焦がれていた回復の兆しとはいえ半信半疑でご報告が遅くなりました。

時々、意識が遠のくようなこともあり、服薬前の生活はできていません。体中に湿布を貼って散歩の距離を延ばし、睡眠が取れるよう、体力回復するよう努めています。ウトウトと意識を失えば、また夜の睡眠が浅くなり、状態が悪くなると分かっていますので、昼間どんなに眠くても動き回る、回遊魚のような毎日です。


心療内科に行かなければこんな体にはならずに、別な人生、もっと有意義な努力をできたと思うと気が遠くなりそうです。まだまだ辛いですが、回復したいです。

かこさんのブログで薬害に気付かせていただきました。本当にありがとうございます。もう駄目かと思いましたけど、戻って来ることが出来るかもしれません。まだ、諦めないでがんばります。」



このメールを読んだときは、本当に私もうれしく、思わず声を出してしまったほど。

 さらに7月31日にはこんなメールが届いた。



「けいとです。62日に、2年間あまりの寝たきり状態から起き上がり、22日から、復職訓練を受けました。歩き始めたばかりで体中痛かったですが、動き回ると揺れや痺れが軽減し、復職を諦めきれませんでした。3年間休業すると失職になります。本当にギリギリのタイミングでした。

周りも危うがりましたが、何とか訓練を終え、今、結果を待っています。

日常生活が送れることだけでも幸せですが、仕事に戻れたら、夢のような気がします。取り返せるものは全て取り返したいです。それだけ、失ったものが大きいです。寝たきりの間に、私の家庭は壊れました。(略)

いつか、かこさんにお目にかかる機会があったらなあと夢見ています。ブログを続けるのは相当なご苦労だと思います。ご活動にいつも感謝しています。暑い日が続きますから、お体にお気をつけて。」





これに対して、私から「けいとさんのこの回復の体験をブログに公開してもよいですか」というメールを出したところ、さっそく返事があった。



「2年前、ブログで取り上げていただいた頃、私は死んでもおかしくない状態でした。

その後一気断薬をしようとして、丸二ヶ月間、一睡もできなかったです。その間ずっと、かこさんの「少しずつ良くなる」「時間が味方する」「(飲んだ期間が)たった5年です、きっと良くなる」という言葉にどんなに励まされたかしれません。

また、エントリについたコメント欄でもたくさん励ましていただきました。「薬が原因と気づいたのだから減らして、必ず良くなる……」。

少しも良くならない毎日に本当にウンザリしながら、頂いたコメントのスクリーンショットを、泣きながら眺めていました。いつも横になっているしかなかった日々でした。

復職が決まったら、あの時アドバイスくださった方々に、コメント欄でお礼を書かせていただこうと思っていました。かこさんがブログで書いてくださるなら、過去エントリのコメント欄より読んでいただける可能性が高くなると思います。よろしくお願いします。」

 

 けいとさんとしては復職がはっきり決まるまでは……との思いが強いようだった。

 当然である。薬害であるにもかかわらず、いざ復職となると世間の対応に疑心暗鬼になる気持ちはよく理解できる。

 私もちょっとどきどきしながらけいとさんからの復職決定の連絡を待った。

 しかし、私が勝手に予想していた日を過ぎても連絡が来ない。ダメだったのか? だとしたら、どういう言葉をかけて慰めよう……などと考えていた矢先、次のようなメールが届いた。

「けいとです。復職の通知が届きました。やっとかこさんにご報告できます。

今、職場から携帯で打っていて、メルアドが違いますが本人です。こんな私の存在が、減薬に耐える誰かの励みになれたらと思います。

コメント欄で、私を励ましてくださった皆さんに、後ほどお礼を書きたいです。まだ色々症状が残り、ロヒプノール002mgからの断薬もありますので、慎重にいきます。でも、大声で叫びたいくらい嬉しいです。」





 そして、2年前のあのエントリにけいとさんからのコメントがついたのだった。8月13日のことだ。

「このエントリで取り上げていただいたK子ことけいとです。

減薬をはじめてから2年以上寝たきりでした。その間、ここでアドバイスいただいた「時間がかかっても、必ず良くなる」という言葉にどれほど支えられたか……。

6月初めに起き上がれるようになり、家事も運転も少しずつできるようになりました。歩きはじめは、手足の浮腫みと痛みに、湿布を貼りまくりでしたが、歩ける嬉しさで散歩の距離を伸ばしていきました。

体の揺れ、痺れも少しずつ軽減し、薬はとうとうロヒプノール0.02mgまで減らせました。慎重に断薬したいと思います。

2年以上、地獄をみました。その後にこんな回復ができるとは思ってもみませんでした。

今月、復職します。スタートラインに立てた事に感謝して、頑張ります。

見ず知らずの私にエールを送って下さった方々、本当にありがとうございます。

かこさん、このサイトを運営してくださってありがとうございます。

今も減薬、断薬に耐えておられるみなさん。私も色々な症状が残り、まだまだ途上の身です。ただ、生きましょう。毒されて傷んだ体ですが、きっとまだ使えます。捨てようと思ったこともあったのですが、後にも先にも私が持てるのはこの体だけです。この体を捨てないで、生きましょう。」





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 ゆうさんの会のお知らせ

 いつもなら9月の第一金曜日ですが、この日、残念ながら場所の確保が出来なかったとのこと。

 変わって、第2金曜日、9月11日、午前11時から、小岩近くのファミレスで会を開くそうです。

 お申込みはゆうさんまで。

 pieta2kids@gmail.com