最後の手段として最高裁に上告したのですが、上告は棄却されました。棄却理由として最高裁第二小法廷は以下のように述べています。


1.上告について

 民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは、民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告理由は、理由の不備・食違いをいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。

2.上告受理申立てについて

 本件申立ての理由によれば、本件は、民訴法318条1項により受理すべきものとは認められない。

 

 事実誤認や単なる法令違反では最高裁に上告できないということなのです。日本では三審制度なので、地裁の判決に不服なら、高裁へ、高裁の判決に不服ならば、最高裁に持って行けるとばかり思っていました。ここでも私は誤った思い込みをしていた、あるいは思い込みをさせられていた事を思い知らされました。


 私にとって不公平で人間の理に反する東京地裁の判決がすべてであった訳です。東京地裁で私の事案を担当したのは3人の裁判官でした。3人の合議によって判決が下されるので、これは一見民主的な手続きであると思ってしまいますが、実質はそうではないようです。先程述べた弁論準備会議に出て来るのは3人の裁判官の内、裁判長と一番若そうなもう一人の裁判官のみです。私の事例では序列の真ん中の裁判官は弁論準備会議には一度も出てきませんでした。

この真ん中の裁判官は、私の事案の中味は何も勉強してはいないだろうと想像できます。私の雇った弁護士によると、通例こういった場合には、一番若い裁判官が判決文の原稿を書くのだそうです。そして書いた判決文を上司である裁判長に見せて、それを裁判長が承認すれば、それが最終的なその裁判の判決になります。裁判長が気に入らなければ、書き直しを命じられるでしょう。




 私の事例では裁判長は東京地裁民事第14部の部長でもありました。民事第14部というのは、医療裁判を専門とする部です。部の統一見解として、「医者だって一生懸命やっているのだから、いじめたら可哀想だ」という意識が強ければ、この部の出す判決文はみな医者よりの判決になってしまうでしょう。どこの人間の組織でそうあるように、人事上不利な取り扱いを受けたくなければ、若い部員は部長のいう事に逆らえないのです。


 東京地裁民事第14部だけではなく、東京地裁全体が、全国の地裁すべてが、全国にいくつかある高裁もすべて、ひょっとしたら最高裁までも同じ意識で医療裁判をやっているかも知れません。「医者だって一生懸命やっているのだから、いじめたら可哀想だ」。裁判官も官僚組織です。出世したかったら、人事上不利な扱いを受けたくなかったら、皆、上司の言う事を聞かざるを得ないのです。裁判官人事に法務省がからんでいるのであれば、法務省の影響力も無視できません。また法務大臣は政治家ですから、日本医師会や日本製薬工業協会といった外部の利益団体の声に大きな影響を受けています。


 地裁であっても、裁判官の判決が日本国家としての最終決定です。国民は不服であっても如何ともなりません。三審制というのは実は虚構でしかありません。国民は裁判官を裁くことはできません。なんという裁判官がどんな判決を下したか、自分の絡んだ裁判でなければ、普通それも知ることはありません。また自分の裁判で国民は裁判官を選ぶ権利もありません。割り振られた裁判官の判決に従うしかありません。衆議院選挙があると最高裁判事の国民審査という制度がありますが、どの判事が過去にどんな判決を下したのか、国民は何も知らされないまま、最高裁判事の良否を決めなくてはなりません。それは余りにも形骸化しています。日本の裁判制度は民主主義とは程遠いものです。


 警察、検察、裁判所といった政府の司法部門は、法に基づく取り締まりによって、危険な行為や不正な行為から国民の命、健康、財産を守るのが本来の機能です。現在の日本では、何か別の思惑で司法が動いていて司法が本来の機能を果たしていないことが多いようです。


 裁判所が医師に対してより厳格な態度をとれば、医師も診療や処方についてより慎重になります。裁判所が医師の無謀で無節制な処方に対する抑止力として働くのです。年間自殺者数約27,000人、異状死約150,000(いずれも平成25年)という数字が大きく下がる筈です。

 私の民事医療裁判を担当した東京地裁の3人の裁判官は以下の人達です。

 裁判長 高橋 譲 (東京地方裁判所民事第14部部長)

 裁判官 榮 岳夫

 裁判官 中町 翔



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 ゆうさんの会

 8月7日(金)

10:3014:30 時間を調整出来ますので、ご希望の方はお知らせ下さい。

場所その他これまで同様です。

 ゆうさんに参加申し込みのメールを入れておいてください。

 pieta2kids@gmail.com

 私も少し遅れますが、参加の予定でいます。