体験談の募集を受けて、多くの方からメールをいただいています。
順次、公開していく予定でいます。
さて、日曜日(4月19日)には大阪での茶話会がありました。神戸に引き続き、20名弱の参加者があり、みなさんからそれぞれの体験談をうかがうことができました。
お子さんの問題も複数うかがいました。発達障害、ご家族の苦労。さらに中学生の子どもに対する不適切な投薬による大きな被害。幸いいまは峠を越えて、少しずつ光が見え始めているようですが、子どもへのあまりに安易な投薬は犯罪行為(医療による虐待)に等しいものです。
あるいは、断薬後何年たってもまだ症状がすっきりしない方も複数いらっしゃいました。さらに、精神科以外(なんと歯科)からの抗うつ薬の処方によるたいへんな被害の話。また、ごく少量の薬でアカシジアを発症。誰からも(家族はもちろん医師でさえ)理解されないという孤独感をずっと抱き続けてきた方――。
そういう数々の話から見えてくるのは、精神科医のある一つの態度です。患者の訴えに、「そんなはずがない」とまずは目の前の患者を否定する態度です。
副作用を訴えても「そんなはずはない」「みんなこれより多い量を飲んでも普通にやっている」と。
だから、何なのでしょう? 「普通はこうだ」と言われても、その人にとっては何の益にもなりません。それに、たとえみんなはそうでも(本当にみんながそうなのかどうかもはっきりしません。「一人」そうだったから、医師の中では「みんな」になっているだけかもしれないのです)、この私はそうではないということは、精神科の治療ではよくあることです。精神科薬は個々への作用に大きな差があることはよく知られていることです。それを考えれば、まずは患者の訴えに耳を傾けるのが、精神科医の務めだろうし、腕の磨き所と思います。画一的な投薬でなんでも解決できるのなら、精神科医などいりませんが、画一的な投薬しかできない彼らは、彼ら自身で自らの存在意義を否定しているようなものなのです。
うまくいった事例の尺度をどの事例にもあてはめて、そこから外れる人は、外れる人のほうが悪いみたいな言い方は、何の解決にもならないばかりか、患者(家族)をさらなる孤独に追いやるだけです。
ともあれ、神戸、大阪と開催してよかったと思います。次回はまったく未定ですが、これが最初で最後とはならない予定です。
また、大阪で小規模ながらこれからも集まろうという話が少し持ち上がっています。大阪の会をお世話してくださった「ゆずさん」に連絡を取りたい方、あるいは出席された方で連絡先の交換を聞きそびれてしまったという方、私あてメールをいただければ仲介いたしますので、問い合わせてください。 kakosan3@gmail.com
東京の茶話会(医療を考える会)もさらに参加者を募ります。
4月26日(日)午後1時半から
新宿区落合近辺の会議室
食育について考える時間を設けてます(長谷川さんがお話しくださいます)。
今回は参加者少なめですので、じっくりお話が聞けると思います。
参加費 500円
参加希望の方は、簡単な自己紹介などをつけて
長谷川さんまで kiyohisa0108@withe.ne.jp
ゆうさんの会
日時 5月1日金曜日 10:30~14:30
場所 JR小岩付近の公共施設 ( 参加申し込みの方宛に詳細をお送りします。)
参加費 施設使用料として300円
対象 お子さんを精神科医療に繋げた経験をお持ちのお母さん、
入退室自由です。
私自身、
同じ悩みのお母さん同士、息抜きが出来たらと思います。
繋がる事しか出来ませんが、よろしくお願いします。
下記連絡先 U(ゆう)までHNで良いので、
聖マリアンナ大学病院、精神保健指定医不正問題
ご存じの方も多いと思いますが、最近、精神保健指定医に関してちょっとしたニュースがありました。
聖マリアンナ医科大学病院は、同大の勤務医が提出した精神保健指定医資格の申請書類に不正行為があり、厚生労働省が指定医11人とその指導医9人の計20人の資格取消を決めた。
これを受けて今日(21日)の読売新聞の社説は、こう述べています。
不正の常態化は見過ごせない 医療に携わる者としての倫理観の欠如に、あきれるばかりだ。 不適切な診察や治療が行われていなかったのか、徹底した調査が必要である。 (中略) (精神保健指定医は)患者の行動を制限する強い権限を持つため、精神保健福祉法に基づき、厚生労働相が十分な知識と経験を持つ医師を指定する仕組みになっている。 虚偽申請は、資格制度の趣旨を蔑ないがしろにする行為である。 (中略) 指定医の申請には、精神科医として3年以上の実務経験と、診断した8症例以上のリポートを提出することが必要だ。11人は先輩医師のリポートの一部を書き換え、自らが診断したように見せかけて申請していた。極めて悪質だ。 看過できないのは、リポートの使い回しが常態化していたことだ。病院側は、医師間でデータの受け渡しが行われていたと認めた。指導医のチェック機能も働かなかった。深刻な事態である。 (中略) 精神科医療の信頼回復には、指定医の厳格な審査が不可欠だ。 |
この文章中にあるように「不適切な診察や治療」は、この資格不正問題に限らず、精神医療現場では「常態化」していると思うので、正直、こんな不正くらいで驚くことはないような気もするが、ここまで「露骨」に資格をないがしろにされた厚労省としては黙ってはいられないだろう。
一方、私には、この不正事件は、精神科(聖マリアンナ大学病院の場合、神経精神科)の「心のありよう」をよく表しているようにも感じられた。要するに、たとえ精神保健指定医の資格を持ってはいても、大して特別な「能力」があるわけではなく、「医療保護入院」「措置入院」決定など所詮だれがやってもそう変わりはない。しかし、精神科医として持っておいた方が何かと便利な資格ではあるので(診療報酬も上乗せできるし)、そこはまあ「適当」に要件を満たしたものをそろえて申請して、取れるものは取っておこうという、厚労省も患者もなめきった姿勢である。
実際「精神保健指定医」が下した「不適切」な医療保護入院の事例はたくさん存在する。不穏でもなんでもないが、涙を流しただけでそのまま入院になってしまったという女性のケース。入院が嫌だと抵抗すればするほど、「異常」のレッテルを貼られて、その場で看護師に押さえつけられて注射、入院というケースもたくさんある。もちろん、ここでその決断を下しているのが「精神保健指定医」という資格を持つ医師なわけだが、やはりこうした「医療保護入院」が「適切な医療」だったとは思えない。
そもそもの有資格者がこのレベルなので、不正をして取得しようとした人たち本人に対する「憤り」は私の中でそれほどヒートアップしないのだが、こういう不正行為を平気でやってしまうこの病院の「心のありよう」(常態化)には激しい憤りを感じる。なぜなら、そういう「心のありよう」がそのまま治療に対する姿勢に反映していると思えるからだ。
読売新板の社説の最後ではこう言っている。
「精神科医療の信頼回復には、指定医の厳格な審査が不可欠だ。」
しかし、この問題は腐りきった精神医療の氷山の一角がたまたま目に見える形で表に出てきただけのことで、指定医の厳格な審査など、精神科医療の信頼回復のためには、正直二の次三の次のような気もするのだ。
しかし、精神科が国や世間や患者をなめきって、こういうボロをこれからもたくさん出してくれると、精神科というものに対する世間の意識も多少変わってくるのかもしれない。
これを機会にこの病院のホームページをじっくり見てみた。
この聖マリアンナ医科大学病院というところは、いわゆる子どもへの早期介入(精神病発病危険状態(At Risk Mental State:ARMS)に対する早期介入の効果に関する研究)や、うつ病と電気ショック療法の研究などを行っている病院である。
そして、ご丁寧にもHPには、修正型電気けいれん療法(入院)をどれくらい実施しているかの数字が羅列されている。平成21年度 336回・平成22年度367回・平成23年度429回・平成24年度441回・平成25年度445回と、確実に増加していることだけはわかるのだが、これではたんに「実施しました」の証拠にしかならない(ということがわからないのだろうか?) これだけやって、どういう効果がどれくらいの人にあったかがわかって初めて意味のある情報のはずである。
また、面白いことに治験に関してもたくさん実施されているので、参考のため引用しておきます。どういう製薬会社とどういうお付き合いをしているのか、なんとなくわかります。
・大日本住友製薬株式会社の依頼によるSM-13496(ルラシドン)の双極1.型障害患者を対象とした二重盲検並行群間比較試験
・大塚製薬株式会社の依頼による大うつ病性障害患者を対象としたASC-01((アリピプラゾール・セルトラリン)の第3.相試験
・大塚製薬株式会社の依頼によるアリピプラゾール(エビリファイ)の統合失調症の小児患者を対象とした短期投与試験
・大塚製薬株式会社の依頼によるアリピプラゾールの統合失調症の小児患者を対象とした長期投与試験
・大塚製薬株式会社の依頼によるOPC-14597(アリピプラゾール)の双極1.型障害患者を対象とした第3.相非盲検試験
・大塚製薬株式会社の依頼による統合失調症患者を対象としたOPC-34712(ブレクスピプラゾール)の第2./3.相試験
・大塚製薬株式会社の依頼による統合失調症患者を対象としたOPC-34712の長期投与試験
・田辺三菱製薬による統合失調症患者を対象としたMP-214(一般名Cariprazineカリプラジン)の第2./3.相試験
・田辺三菱製薬による統合失調症患者を対象としたMP-214(一般名Cariprazine)の継続長期投与試験
つまり、ここに入院すると、大人はもちろん、小さい子どもに対してもまずは治験を持ちかけられ、こんがらがった症状には電気ショック療法が勧められるということだ。大学病院とはそういうところである。