息子が訴えられた

最後に、現在進行形の裁判の話題についてお知らせする。

この事件は、「の〇え病院」が直接「被告」になっているわけではないものの、訴えられたのはこの病院の息子医師(院長が父親、副院長が母親)なのだ。


概要は以下のとおりである。

この病院に隣接する市にお住いの30代の男性(仮にAさんとする)。

平成23年頃から、職場のパワハラが原因でうつ病となり、精神科を受診した。そこで出された薬を飲んでも不眠が改善されなかったため、別のあるクリニックを受診したところ、抗精神病薬のセロクエル(25㎎の半錠が眠剤として)が処方された。それで眠れるようになったものの、Aさんは副作用から「躁転」を起こしてしまった。

Aさんのそうしたハイテンションの状態が産業医の目に留まり、産業医から当時の主治医に連絡がいき、受診の結果、診断がうつ病から双極性障害へと変更になった。よくある薬剤による状態を、いま流行の双極性障害に診断しなおすというものだ。

医師はAさんが双極性障害であるとの診断書を会社に提出した。そして、入院を強く勧めてきたが、Aさんは入院のデメリットを考えて頑なに拒否。結果、治療関係がこじれ、双方の同意のもと診療関係を終了させた。

結果的にセロクエルの断薬となり、したがって副作用の躁状態もなくなって、現在では以前と同じような状態にもどっているという。

しかし、双極性障害の診断はそのまま残ったため、Aさんは産業医と合意のうえでセカンドオピニオンとして〇〇医療センターを受診した。

結果は、双極性障害の否定にまでは至らなかった。また、会社として求めていた「就労不能の診断」にも至らなかった。しかし、強制入院の必要性は明白に否定された。

会社にはそういう内容の診断書が送付されたが、Aさんはさらにサードオピニオンとして、自ら希望して久留米大学病院を受診した。平成24年4月のことだ。

 そして、この診察を担当したのが、事件の被告となる「の〇え病院」の院長副院長夫妻の息子、久留米大学病院勤務の医師である。

 Aさんとしてはサードオピニオンとして「診断のみ」を依頼していたつもりだった。しかし、この医師は強引に「治療」にまで踏み込んできた。

 医師はAさんに入院を勧めてきたのだ。そして、GW間近であることを理由に、自分の勤務先である久留米大学病院ではなく、親の経営する「の〇え病院」への入院を勧めてきたのである。Aさんはきっぱりと断った。

 この一度めの診察には社保健師とともに受診したが、2度めは家族からのヒアリングが必要とのことから、Aさんが弟を指名して一緒に受診した。

当日。診察の際、医師は弟さんだけを診察室に呼び入れた。そして、家の電話番号を聞き出そうとする医師の声が診察室の外にいたAさんの耳に入った。Aさんは、この件については話が違うこと、聞き出した情報の削除と今後家族には関わらないよう強く抗議をした。

そして、3回目の診察をGW明けに行うこととして、この日の診察は終了した。




 ところが、である。

 その後、この医師は、Aさんに無断で会社の保健師と父親を久留米大学病院に呼び出し、Aさんがすぐにも自殺の危険があるかのように不安を煽り、久留米大学病院はGW前でベッドの空きがないため、自分の両親が経営する「の〇え病院」にすぐにでも連れていくように父親に指示したのである。

父親は、ともかく本人に会ってから判断すると答えた。しかし、医師はこれでもうAさんを入院させることができたと思ったのか、誰の承諾もないまま会社宛に「双極性障害により就労不能」の診断書を提出してしまったのだ。(刑法134条秘密漏示罪、医師責任賠償保険においても免責事項とされる行為である)。

後日この件をAさんが父親に確認すると、診断書の発行に関しては承諾していない、それどころか、一切の連絡を受けていないという。また、会社の保健師に確認しても、同様の答えだった。

しかし、この医師は、弁護士を通じて、父親の承諾があったとの虚偽の主張を、具体的な父親の発言を捏造して返答してきたのだ。

また、提出された診断書だが、Aさんはその費用も一切請求されていないという。



しかし、会社に診断書が提出されたことで、GW明けにAさんが出勤すると、休業命令書により強制的に会社から追い出される形で休業を命じられることになった。当日もきちんと仕事をこなしていたにもかかわらずだ。

その後、Aさんは久留米大学病院に弁明を求めたが、解決の見込みがないため、弁護士を依頼して話し合いの場を設けた。しかし、それでも埒が明かないために裁判という形をとることになったのである。




事件の経緯はざっとこのようなものだ。

まったく信じられない展開だが、医師の権限で出された診断書である。

Aさんは、会社を平成24年4月から休職させられていて、この診断を認めない限りは傷病手当金も受給できない状態となった。

そこで復職を求めた仮処分申請を福岡地裁に出し、結果的に退職金を含めた解決金で和解が成立した。

また、その後、ハローワークを通じでAさんは再就職を果たしている。もちろん、前職のトラブルや、裁判のことは秘密にしているが、失業給付受給の際の離職票で病気理由の退職であることが分かるため、就業可能の診断書を求められた。不法行為で出された診断書が、ここでも社会生活を脅かしかけたが、裁判で係争中の旨伝えると、現場裁量にて失業給付受給と求職が可能となったという経緯である。

もとをただせば薬の副作用からの躁転、それを双極性障害とされて、その診断を覆すためのセカンドオピニオンを求めるための行為だった。ところが、あたかも「飛んで火にいる夏の虫」のごとく、受診した患者をそのまま「双極性障害患者」として入院させようと、違法行為をしてまで企むとは……。本当に医師がやることだろうか。しかも親の経営する病院に入院させようというのである。

正直、開いた口が塞がらないが、この裁判の行方もまた、現実にどうなることかと思わず危惧の念が湧いてしまうのは、前回、司法の腐敗を伝えているからである。

ともかく、Aさんとしては、精神医療におけるこのような「犯罪」に対して市民が関心を寄せているということを裁判官に示すためにも多くの人に裁判を傍聴してほしいと願っている。以下、裁判の詳細についてお知らせする。





■裁判証拠調べスケジュール

平成27年3月20日(金)
福岡地方裁判所  損害賠償請求事件

原告 :――――
被告 :久留米大学 
    久留米大学病院 勤務医 堀川直希医師


10:30 原告(Aさん)の父親の証人尋問
    主尋問 25分 反対尋問25分


11:30 ~休憩


13:10 原告に対する当事者尋問
    主尋問45分 反対尋問45
14:45 被告(堀川医師)
    主尋問45分 反対尋問45