精神医療の現実: 処方薬依存からの再生の物語/萬書房
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お知らせ

12月21日の茶話会ですが、世話人の長谷川さんがコメント欄に書かれていたように、参加申し込みを締め切りました。また、2月にも予定していますので、どうぞご検討ください。




体験談

昔の記事のコメント欄に体験談を投稿してくれた方がいました。しかし、その場所では多くの人の目にとまらないと思い、エントリとして紹介させていただくことにします。

以下、男性(52歳)の体験談です。


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はじめまして。先日、偶然このサイトを見つけて、たくさんある記事のうちの一部を拝見させて頂きました、森の熊と申します。

実は私は平成3年頃から平成20年頃までの約17年間、精神科治療薬を服用し続けてきました。

そして平成20年の2月頃、自らの意思ですべての薬を断薬しました。断薬後1年間くらいはひどい離脱症状と戦いました。

薬をやめようと考えたときは、服用し続ける怖さのみが先にたって、その後の辛さや怖さなど考えもしませんでしたが、薬の副作用と断薬の怖さについて、身につまされるような思いで、ブログいくつかの記事を読ませて頂いています。


私が体験した精神科治療薬の副作用は、「横紋筋融解症」というもので、体の筋肉の一部が融けて血液や尿に流れ出し、命の危険にさらされるという副作用でした。その他にも、不眠、悪夢、自殺願望、無気力感、喜怒哀楽の喪失、肥満などもありましたが、当時かかっていた精神科医はそのどれも副作用とは認めませんでした。

しかし不思議なことに、薬をやめて断薬の苦しみを乗り越えた後の生活では、横紋筋融解症、不眠、悪夢、自殺願望、無気力感、喜怒哀楽の喪失、肥満などの不安はまったくないんですよね。

精神医療の現状は酷いものだと、記事を読ませて頂いて改めて感じました。



精神科治療薬の服用が始まったのは平成3年(当時29歳)のことで、断薬をしたのが平成20年(当時46歳)のことでした。

その間に服用した治療薬は覚えている範囲で、デパス・ドグマチール・サイレース・ソラナックス・ロヒプロール・ベンザリン・ベゲタミンB・レンドルミン・ルボックスなどです(他にもありました)。

薬の副作用と考えるのは、服用前になかった症状が出たからです。まず、パニック症状・離人症・現実感のなさ・不眠症の悪化・パジャマだけでなく布団も枕も濡らすほどの大量の寝汗で目を覚ます・就寝中、寝室の外から寝室の引き戸に近づく得体の知れない者の気配に目を覚ます・就寝中、枕元にいる黒い人の気配に目を覚ます・悶々と続く自殺願望・人気のある所には出られない、などの症状が次から次へと出てきました。

これらのことを診察時に医師に話したら、副作用とは認めず、お決まりの薬の変更、もしくは薬の増量でした。話などほとんど聞いてはもらえませんでした。


そんな中、横紋筋融解症の副作用で緊急入院したのは平成12年のことです。緊急入院した先の病院は通っていた精神科(開業医)とはまったく別の総合病院でした。その総合病院での検査の結果、病気の原因は、精神科で処方された薬であると特定されました。

その総合病院を退院したあと、精神科の診察時に医師に、総合病院での検査結果を伝えたところ、医師からは「市販のドリンク剤が横紋筋融解症の原因です」という漫画のような答えが返ってきました。

しかし、この頃にはすでに薬なしの生活は出来ない心身の状態になっていましたから、一時期は他院に変わったりしながらも、相変わらず薬の服用を続けていました。他院に変わったものの結局もとの精神科に戻ったのです。


服薬を続けるなか、横紋筋融解症の副作用がある精神科治療薬についてネットで調べるうちに減薬を決めました。精神科の医師には、ネットで薬について調べたことは伏せて減薬を申し出たところ「それではこの薬を服用してください」と、それまで服用したことのない薬を処方されました。

しかし、その薬を飲むと激しい吐き気・激しい疲労感・などが現れ布団からは起き上がれない状態になりました。とても次の診察予約日には行けそうにない状態でしたので、精神科に電話して、新しく処方された薬を飲んだあとの状態とともに、次の診察予約日には行けそうにないことを電話口の女性スタッフに伝えたところ、「薬の服用は続けてください!!」と、ひどく冷たい一言ですまされました。私はこの瞬間に断薬を決意しました。



しかし、断薬は簡単なことではありませんでした。しばらくの間は寝込むほどでした。一人住まいの生活ですから余計に辛かったです。

少し元気を取り戻したころ、神社に詣でて「基本的には自分自身の努力で薬を断ちます。が、どうか見守っていて下さい」と、断薬を誓ったりもしました。また、カメラを片手に自然の中を汗まみれになるまで歩き回ったりもしました(下手な写真を撮るためです)。心の整理をつけるために心理カウンセリングを受けたりもしました。そうしている間に少しずつ元気を取り戻していきました。




今でも時々眠れそうにない夜がありますが、そんな夜は「眠れなければ無理に眠らなくていい。今夜眠れなければ明日の夜はいつも以上にぐっすり眠れる!!」……。腹を決めれば不思議と眠りにつけます。

不眠についてですが、薬を服用し始める前は、「眠ろうとしても眠れない」という状態でした。服薬してしばらくは、薬を飲む前と同じように「眠ろうとして眠れない」状態でした。しかし、服用開始後しばらくの期間が経過してからは、「眠れない」のではなくて「眠らない」、いや、「眠るという概念が欠如」していきました。

断薬後の苦しみを抜けてからは、夜の11時を過ぎてから起きていることが難しいほどよく眠れています。

本当にあの精神科の薬というのは何なのだろうかと今更ながらに思います。一部の心ない医師たちは・一部の心ない製薬会社は・一部の心ない厚労省の役人は、人の健康を奪ってまで・人の人格を奪ってまで、金儲けをしたいんでしょうね。

自分は精神科治療薬だけでなく、一般内科で処方された風邪薬の副作用でも一度命の危険に晒されたことがあります。怖いのは精神治療薬だけではなく、処方薬そのものに怖い副作用が隠されているのかも知れませんね。

長いコメントになってしまいました。




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 この男性、森の熊さんは、コメントの中で、平成12年に離婚したこと、また、「うつ病生活を送っている自分のことを人間として扱ってくれた人(妻を含めて、親兄弟)は身近にはいなかった」と書いています。

闘病中、いや、薬の副作用との闘いのなかで、孤立していったということでしょう。そして、離脱症状は「一人住まいの生活で余計に辛かった」と、さらりと書いていますが、男性が17年という歳月の中で失ったものは決して小さいものではなかったことがよくわかります。




横紋筋融解症という副作用

ここでいう、「横紋筋融解症」というのは、厚生労働省が出している「重篤副作用疾患別対応マニュアル」にはこう書かれています。

1.横紋筋融解症とは?

横紋筋融解症は、骨格筋の細胞が融解、壊死することにより、筋肉の痛みや脱力などを生じる病態をいいます。その際、血液中に流出した大量の筋肉の成分(ミオグロビン)により、腎臓の尿細管がダメージを受ける結果、急性腎不全を引き起こすことがあります。また、まれに呼吸筋が障害され、呼吸困難になる場合があります。

横紋筋融解症は多臓器不全などを併発して生命に危険が及んだり、回復しても重篤な障害を残したりする可能性のある危険な副作用です。すみやかな対応(服用中止、輸液療法、血液透析など)により腎機能の保護をはかり、回復の可能性を高める必要があります。

原因医薬品としては、さまざまな種類の医薬品があげられますが、使用頻度の高い医薬品では高脂血症薬やく、抗生物質(ニューキノロン系)などが知られています。

2.早期発見と早期対応のポイント

「手足・肩・腰・その他の筋肉が痛む、」「手足がしびれる」、「手足に力がはいらない」、「こわばる」、「全身がだるい」、「尿の色が赤褐色になる」などの症状に気づいた場合で、医薬品を服用している場合には、放置せずにすみやかに医師・薬剤師に相談してください。

また、医療機関を受診する際には、服用している医薬品の種類、服用からどのくらいたっているのかなどを医師に知らせてください。




 ここには書かれていませんが、その他、向精神薬にもこの副作用をもつものがあります。

 森の熊さんが飲んでいた薬として書かれているものの中でいえば、まず「ベゲタミン」です。

それぞれの薬の添付文書を開くと、下段に「重篤副作用疾患別対応マニュアル」という項目があり、そこにさまざまな重篤副作用があげられています。

 以下、参考までにベゲタミンの添付文書です。 

http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1179100F1032_1_07/



 さらに、厚生労働省が挙げている重篤副作用は、横紋筋融解症の他、以下のものがあります。

 

低血糖   高血糖   痙攣・てんかん  角膜混濁  新生児薬物離脱症候群

血栓症(血栓塞栓症、塞栓症、梗塞)  心室頻拍  アカシジア  ジスキネジア

悪性症候群   麻痺性イレウス   網膜・視路障害  血小板減少症

無顆粒球症(顆粒球減少症、好中球減少症)   薬剤性貧血  再生不良性貧血

薬物性肝障害   薬剤性過敏症症候群   中毒性表皮壊死症(中毒性表皮壊死融解症)

スティーブンス・ジョンソン症候群  アナフィラキシー  急性腎不全  セロトニン症候群  急性好酸球性肺炎




 他にもあるかもしれません。

そして、これらが数多く記載されているのは、やはり抗精神病薬です。ジプレキサ、セレネース等々。また、パキシルや古いタイプの抗うつ薬(アナフラニール等)にも重篤副作用がかなりの数明記され、「横紋筋融解症」も含まれています。

 しかし、この男性の主治医は、横紋筋融解症の原因を「市販のドリンク剤」と主張しました。この因果関係についてはよくわかりませんが、この副作用の治療をした総合病院の医師が、原因を精神科の薬と断定しているのです。にもかかわらず、精神科医の対応は、それを認めるどころか、責任を患者本人へと転嫁するようなものです。

 向精神薬には、ときに命に係わる副作用を持つものがあります。が、それを扱う医師の意識は、とてもそれに追いついているようには思えません。

 過剰な心配をする必要はありませんが、自分が飲んでいる薬にはどのような重篤な副作用があるのか、ある程度知っておいたほうが、自衛のためにもいいでしょう。何といっても、このケースのように精神科の医師はまったくあてにならないわけですから。