先日の読売オンライン(3月31日)に、以下のような記事がありました。

<精神疾患の社会負担11兆…過剰な投薬も影響?>http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110331-OYT1T00608.htm

順天堂大学などの調査によると、精神疾患のために生じる医療費や労働力損失などの社会的コストが、年間11兆円に上る、というのです。

これは、小見出しにもある通り、過剰な投薬が影響していることは言うまでもありません。


向精神薬に限りませんが、日本の、医療費に占める薬剤比率は、31%にものぼります。

ちなみに、フランスは19.9%、ドイツ17.1%、イギリス16.4%、アメリカ11.3%。つまり日本の医療はいかに薬漬け医療かということです。


記事にはこうあります。

過剰な投薬など不適切な治療で病気が長引く患者も多く、コストを押し上げているとみられる。東日本巨大地震の影響でうつ病やストレス性疾患を患う人の増加が懸念されており、患者への早期で適切なケアはもちろん、精神医療のあり方も見直しが求められそうだ。

調査は、同大医学部の横山和仁教授(衛生学)らが、厚生労働省の補助事業として実施。2008年度の統計資料などから〈1〉医療費の総額〈2〉うつ病で仕事が手に着かないなどの生産性低下による損失額〈3〉介護する家族の労働コスト――などを推計して合計。

年間の社会的コストを最大で11兆3756億円と算出した。病気別の医療費で一番多かったのが幻覚や妄想が起きる統合失調症で1兆980億円。約80万人の患者がいるとされ、長期入院の人が多い。うつ病などの気分障害が、3101億円で続いた。


 過剰な投薬など不適切な治療で病気が長引く患者も多く

 とありますが、ということは、問題の本質はすでにわかっているということです。

 それにしても、「不適切な治療で病気が長引く」――これを文字通り解釈すれば、医療ミスということではないでしょうか。

 ここまで書いて、なぜそのこと自体を問題として追及しないのか、よくわかりませんが。

 そして、11兆円の損失です。

 医療費の31%が薬剤によるものですから、そして、それが「病気を長引かせる」のですから、どうすればいいかは明白だと思います。

 さらに、統合失調症は80万人いて、長期入院患者が多いのも医療費を押し上げている要因だと書かれています。

 日本の精神科病院入院日数は世界一です。なぜ長期入院になるのか……。そこにも多くの問題が隠されています。


 この調査は厚生労働省の補助事業として実施したとあります。ならば、もう問題の在り処はわかっているということです。そして、そのために何をなすべきかも当然わかっているはずだと思い(たいです)。