(1のつづき)



閉鎖病棟の患者

しかし実際、ランドセンはすぐに効いて、驚くほどよく眠れ、便秘も治った。

個室にいた私は退屈になり、いろいろな部屋へ足を運ぶように。私がいると元気になるとみんなに言われ、看護師からは早く退院させたい患者だと思われていたようだ。

そのうちに、掃除をしてくれる女性と親しくなったが、彼女が言うには「こんなところに長くいたら廃人になるよ」。その後もいろいろな話を聞かせてもらった。

閉鎖病棟の恐ろしさは薬漬け。そして衰弱して死ぬまで出られないだろうと思われるような人を何人も見た。

例えば、昼間、扉を開けている病室から見た若い女性。やせ細り、はずれたおむつを這いながら震える手で拾おうとしている。車椅子に乗せられても、身体のバランスを崩し、車椅子ごと倒れてしまう。何をするにも看護師の付き添いが必要だった。会話はほとんどできない様子だったが、表情はいつもやさしかった。

震える手でスプーンを持つことくらいしかできなくなっている身体。患者に何が起こっているのかたぶん医師よりよくわかっているはずの看護師も、ろれつが回らない、手が震える患者に対して薬のせいでこうなっているとは決して言わず、むずむず足にはただ湿布を当てるだけ。

閉鎖病棟は、今考えても、実に恐ろしい。今もあんな病棟があると思うとたまらない気持ちになる。




過呼吸、パニック障害、三半規管の異常?

退院数日前から眠くて朝起きるのが苦痛になった。午後も息苦しく、看護師が言うには「過呼吸だから薬を出す」と。なぜ? とは思っても、看護師はどうしても飲ませようとする。

次の日、足がむずむずし、主治医に言っても薬の副作用とは信じないので、次からは口を開けて飲まされた薬を飲み込まず部屋で吐くようにしたら、むずむず足は治った。看護師から「毎日薬は飲み続けるように」と言われ、処方された薬を持って退院。



退院数日後の朝、喘息のような息苦しさと、下着も着けられないほどの足の震え。身体が宙に浮くような不快感があり、パソコンで調べると、薬の重い副作用とわかる。主治医に話すと「そういう症状は薬ではならない。過呼吸、パニック障害だ」と言われ、PZC(ペルフェナジン、抗精神病薬)を処方された。

飲むと、身体が右に傾き、それを伝えると「三半規管がおかしいからだ。薬のせいではない」と言われ、それで内科の先生の紹介で別の精神科へ行くと、デプロメールを処方された。断薬してきた薬を飲むのは恐くてできず(自分で減薬、断薬したときは、離脱症状がきつく、耳鳴り、激しい動悸を経験した)、すがる思いで都会に住む叔母の元へ行き、内科の先生の診察を受ける。

医師からは「悪性症候群かもしれない」と言われて、叔母に付き添われ救急で精神科の診察を受けることになった。



今まで飲んできた薬と症状を話し、叔母が「入院することはできますか?」と聞くと、「叔母さんは甘やかしすぎです、薬ではこうはならない。震え、息苦しさはセルシンの筋注で治る。あとは薬を飲むしかない」と言われた。

しかし、セルシンもベンゾ系。ランドセンで本当にひどい目にあっていた私は恐くなり「アキネトンの筋注にかえてください」。

しかし、注射をされて数時間後、グイグイ後ろに腰が引かれ、「助けて~」と叫び倒れた私を見た叔母の表情は恐怖に歪んでいた。結局叔母には不安を与え、負担をかけてしまっただけで、薬のことはわかってもらえず、精神科に行かなければよかったと気がついた時はもう遅かった。

その後、いろいろパソコンで薬について調べるほど、精神科医に薬の知識がないことがわかり、憎しみがわいてきたが、もう涙も出なくなりました。




断薬

その後は、元の主治医に処方された薬を断薬することはできず、薬は増え続け、食べると吐いてしまうことが繰り返され、体重は減り続けた。

何度も自殺を考え、また外出すると人を殺したくなり、無意識に包丁を手にしてしまう自分が恐くなり、ついに断薬を決意。

数々の離脱症状に耐えて耐えて、2009年12月に断薬。

断薬して1年たちますが、今、外出はほとんどできない廃人です。身体の震え、痺れが治ることはありません。

薬を飲むのは自己責任の部分もあるかもしれませんが、それにしてもランドセンは本当に恐ろしい薬です。離脱症状はこの世のものとも思えません。「ランドセン 離脱」で検索したら2chの記事がみつかりました。2chなど読んだこともない私でしたが、スレを立てた方(アカシジアに抗パ剤ではなく、ランドセンを勧められ、その離脱症状にのたうちまわる人です)の文章には身も凍る思い。ベンゾ系の中では最強で、離脱=地獄です。ベゲタミンより恐ろしいです。

私は今48歳ですが、20歳を過ぎた頃から精神的な甘え弱さもあるのですが、過去に二度、精神科へ通院しています。20歳と37歳の時です。

20歳になった頃、何をしてもうまくいかなくなり、気分も落ち着かず、精神科の敷居は高かったのですが、古びた民家のような小さな医院で入りやすく受診しました。

薬を3日分ほど処方され 一度飲んだだけで気分も落ち着き、あとは捨てたのを覚えています。

その医院もネットで検索すると、数年前に複数の医師がいる大きくてきれいな医院になってしまったこと、今は恐ろしく感じます。

精神科に行くことは昔と違い、恥かしいと思うこともありません。しかし、「眠れないときはひとりで悩まず一度受診を~」――とんでもない恐ろしいコピーです。

37歳の時は胃潰瘍の薬を飲んで、アカシジアのような症状が出たので精神科を受診しました。ベゲタミンBを処方され、2日間眠くて何もすることが出来ず、同じ病院に通院したことのある知り合いと「あの病院の薬を飲むと起きていられないね」と笑いながら話していた頃は、薬をすぐに捨てていたのでまだ救われていました。

そして、45歳のとき、精神科を受診して、こんな状態になりました。薬の怖さを知らせず飲み続けさせてジワジワと薬漬けにするような製薬会社が儲けていると思うと、本当に許せない気持ちでいっぱいです。」