以前のエントリでも紹介した「りんごさん」
http://ameblo.jp/momo-kako/entry-10757860792.html
2007年7月、ご主人が借金を苦に自殺未遂をし、それがきっかけで軽いうつ状態になり精神科を受診したその後の「りんごさん」の薬物治療について、詳しい報告が寄せられましたので、掲載します。
ここ3年ほどの間に起こった出来事です。
読んでみて、まず医師の薬の知識のなさを感じます。知識がないからなのでしょう。「いい薬だから」と――この言葉を信じて、いったいどれほどの人があとでひどい目に合ってきたことでしょう――副作用などまったくないかのごとくの言い様。結果、不調を訴えても、決して副作用と認めません。さらには、中途半端で、いい加減な薬の知識の披露。そして患者は、精神的な不調、体の不調――めまい、震え、アカシジア、食欲低下、さらには、ポリープができる、尿が出なくなる、生理が止まる……。
「りんごさん」の経験したことは、現在の精神医療のマイナス面をすべて集めた、一つの縮図のようでもあります。
さまざまな薬とじつに多くの副作用
「(精神科を受診し)最初に処方されたのは、3種類の抗うつ薬とベゲタミンB(塩酸クロルプロマジン、塩酸プロメタジン、フェノバルビタール配合薬)だった。言われるまま飲み続けて、翌年(2008年)のお正月、じっとしていられず、歩き回るようになり、救急搬送された。しかし、受診した医師は、それをアカシジアとは説明せず、黙って薬を処方し、それを飲んだところ症状はおさまったものの、薬を切らすと同じ症状になると考え、精神科への通院をかかさないようになった。
そして、デプロメール(フルボキサミン)、デパス(エチゾラム)、胃薬、センノサイド(便秘薬)を処方され、しばらくすると便秘がひどくなり、市販の便秘薬、コーラック以外では出なくなってしまった。
また、喉に違和感、胃に不快感を覚え、食欲低下。そこで内科を受診して漢方薬を処方されたが治らずに、精神科へ差し戻される。
そこでまたしても、デプロメール、セロクエル(クエチアピン・メジャートランキライザー)、 デパス、オメプラゾン(胃潰瘍治療薬)、タガメット(胃潰瘍治療薬)が処方された。(その後、デプロメールは自分で断薬した。)
異常な食欲と喉の渇きが半年間続き、体重が増えたことを主治医に伝えたが、医師は「セロクエルの副作用だけど、いい薬だから」と言い、その後、多少眠れるようになり、喉の違和感もなくなったので、医師は「セロクエルで良くなった」と内科の医師に報告した。
しかし、内科の医師は医学書でセロクエルを検索してわかったのだろう。
「そんなこわい薬、私なら出せない~」と言っていた。その言葉に首を傾げながらも軽く受け流した私は、通院しながらセロクエルを飲み続けて10ヵ月が過ぎたころ。立っていられないほどの倦怠感と冷や汗、吐き気に襲われ、内科で何度も点滴をするようになった。
そして精神科では、軽い眠剤ではもう効かなくなっていたので、「デパスをもっと処方してほしい」と言うと、「デパス中毒になる」と言われ、それなら入院したいと言ったところ、それも断られた。
数日後、足のむずむず、イライラ感が生じたため、医師がアキネトン(抗パ剤、副作用止め)、トリプタノール(アミトリプチリン・三環系抗うつ薬・最強と言われている)を処方。そうすると、尿がまったく出なくなり、泌尿器科で2、3日はカテーテルを挿入したまま尿を出すことになった。ナースに「何を飲んだの? 腎不全で死んでしまうよ」と言われ、主治医にそれを伝えたところ、アキネトン、トリプタノールをすぐに断薬。しかし、その後も他の薬は減薬しながらも、まだなにも疑うことなく飲み続けていた。
2009年2月。通院して1年ちょっと過ぎたころ、今度は生理がこなくなり婦人科へ。
「精神薬なんて飲んでるからじゃない?」と薄ら笑いされ、気分が悪くなり、自分でセロクエルを減薬することに。すぐに生理がきたが、貧血がひどくなり、冷え性、頻尿にもなり、落ち着かない状態が続く。
6月、左肩が痛くてあがらなくなり、痛み止めの注射をうつようになる。そうすると 足がむずむずしはじめ、吐き気がして、胃の調子も悪く、胃カメラを2回飲み、調べると胆嚢にポリープができていた。
この頃になってようやく精神薬に少し疑いをもちはじめる。自分で減薬をしてみたが、そうするとまったく眠れなくなり、断薬を断念。
6月末、身体が下に引きずられる感覚と、足の震え、目の痙攣、窒息感。それで救急車を呼び 、泣きながら自分から入院させてほしいと医師に懇願したときは、もう私のからだは薬から逃げられないからだになっていました。
ランドセン処方
入院中は主治医が変り、医師が言うには「入院前に飲んでいた薬の副作用だからアキネトンで治るよ」とのこと。それから、いくつか質問され「あなたは死にませんね? 死なないと約束して下さい」としつこく言われ、催眠術にかけられたように「死にません」と答えていた。
入院1日目、薬が切れたらまた眠れなくなったが、看護師が薬を持ってきたので「飲みたくない」と大きな声で言うと、「飲めないなら入院するな」と逆ギレされた。それで結局無理やり飲まされた薬も効かず朝を迎えて、すぐに主治医を呼んで「薬の調整をきちんとしてほしい」と伝える。
主治医は私より年齢はかなり若い。
「パキシルどう? 離脱がきつく自殺願望がでる時もあるけど、よく処方される薬だから飲んでみる?」
「パキシルは飲みたくない」
「じゃあ、ランドセンは? いい薬だし、よく眠れるよ」
私は眠れない苦しみから、つい「飲んでみます」と答えてしまった。
あとは私の飲んでいた薬の話になり、そのとき主治医から「セロクエルはMAXの700㎎飲んでいる患者もいる」と聞かされ、びっくり。私の飲んでいた10倍以上の量。「うそでしょ~」と声をあげると、主治医は「大丈夫だよ」と軽い口調で言う。
その言葉で、薬に対する恐怖心が薄れたのは確かだった。
自分はせいぜい数日から数週間の入院予定。外出も許可されている軽い症状。飲みたくなければ明日にでも退院したいと言えばいい。そんな気持ちになって、ランドセンが抗てんかん薬で、ベンゾ系の中でも最強の薬だとは知らずに飲むことになった。(その後、ランドセン(リボトリール、一般名クロナゼパム)を止めるときの離脱症状は、まさに地獄としかいいようがなかった。なぜ、こんな薬を医師はこうも気軽に処方するのかと憤りが抑えられない。)
(2へつづく)