僕は何も
知らずにいた

君はいつも朗らかで
笑顔を絶やすことなく

灼熱の夏の中でも
涼風が吹くような

花で例えたら
白い沙羅の花のようだった

君が休みがちになっていき
心がざわついて 

全く顔を見せなくなった時
激しく動揺していた

治らない病に
侵されていたと耳にした

君の笑顔が
曇ったように感じて

僕の目から
涙が溢れた

逢いたいと
焦がれながら

僕は身動き取れないでいた

ある日
君が空へ旅立ったと聞いた

僕は慟哭の中に
閉じ籠もった

白い沙羅は
一日で花を落とす

儚く美しい君…

僕は何も出来なかった
せめてあと一度だけでも

君の笑顔を見たかった

意気地なしの僕の頬を
秋の風が叩きつけて

夏の終わりを告げた