君は血で固めたナイフを抱いて

赤い世界を漂う


火傷するほどの熱い呪縛で

動けずに叫んでいた


僕は涙で固めたナイフを抱いて

碧い世界を漂う


凍りつくほどの冷たい呪縛で

動けずに叫んでいた


壊れた時の流れを…


それぞれのナイフで

自分を傷つけながら


ただ見つめていた


哀しいほど呼び合って

苦しいほど求め合って


壊れた時が動くのを

待ち続けた


僕を救うためだけに

君はいる


君を救うためだけに

僕はいる


ナイフは呪縛を

切り裂くために…


ある


そしてふたりは

互いのナイフで浄化して


君は血を流し

僕は涙を流し


ナイフは溶ける


久遠の時をふたり

寄り添うために…