年末です!
大晦日にやることほっぽり出して、
読み切ったのはこちらw
坂の途中の家 / 角田光代
あらすじはこちら(文庫裏より)
裁判員制度のお話です。
これを読んで、私は
裁判員制度について、
本当に何も知らなかったことを気付かされました…。無知の知!!
えっ、裁判員ってこんなふうに選ばれて
こんなふうに参加するんだ…
そして、刑事事件の裁判って、
こんなに時間がかかるのか…。
裁判員になるって、こんな大変な事なんだ…。
まずはその驚き。
もうすぐ3歳になる娘を育てている
専業主婦の里沙子に
裁判員の候補になったと通知がくるところから
物語は始まります。
80人以上の候補者が集められ、
アンケートの記入や面談を経て
6人の裁判員と
里沙子を含めた2人の補充裁判員の
合計8人が選出され
裁判員として里沙子も
実際の裁判に立ち会う10日間が
描かれているのですが
ええええ?!ちょ、10日も?!
勝手に選ばれて、10日も仕事休んで、
朝から夕方まで裁判所に通いつめなきゃいけないとか、無理ゲーすぎん?!
って思ったよね…。
里沙子も、
毎朝
自宅(はっきり書いてはいないけど多分吉祥寺)から
義父母の家がある浦和まで、
3歳にもならない娘を連れて
バスと電車を乗り継いで娘を預けてから
裁判所のある霞ヶ関に向かい
帰りも娘を迎えに行ってから自宅に戻り
旦那の夕飯の支度をして…
という、なんの罰ゲーム?みたいな
大変すぎる10日間………
実際に都内の満員電車での通勤経験ある私は
想像しただけで倒れそうになるよ…
しかも旦那はモラ!!
そして扱う事件は
「母親が生後8ヶ月の娘を浴槽に沈め、殺した」
というもの。
被告は、里沙子と同年代の女性、水穂。
同じ専業主婦で
同じように子育て真っ最中の里沙子は
次第に、
水穂と自分の境界線が分からなくなるほど
感情移入し混乱し
過去の自分が封印してきた事実や記憶までもが
呼び起こされて一一一…
というお話なんですが。
法廷劇って、みんなそうかもしれないけれど
まず、
証言する人によって
見方によって
印象がここまで変わってしまうのか、
という恐ろしさ…
我が子に手をかけた水穂は
虐待なのか
育児ノイローゼなのか…
周囲の人たちの証言も
それぞれが主観で述べている事と
相手の受け取り方や事実は
それぞれの立場や受け取り手によって
大きな差が出てきます。
被告である水穂と
似た境遇や共通点がある里沙子は
次第に自分と重ね合わせすぎて
徐々に不安定になっていくのですが
実際の裁判員制度でも
裁判員の
精神的負担はハンパない
んだろうな…という事がよく分かりました…。
作中にも、裁判員をやった人たちの交流会や
無料カウンセリング、電話相談窓口があるという記述が出てきましたが、
恐らく本当にそれらが必要なくらい
他人を裁く
という責任の重さが負担になるんでしょうね…
コワイヨー そう思うと弁護士や検察官て凄いな…
一時は 、え、これ里沙子ヤバくない?
と心配してしまうほど
追いつめられた里沙子でしたが
最終的には
自分と旦那との関係性や
過去の自分、
現在地の自分をしっかりと見つめ直し
新しい1歩を踏み出せるところで終わります。
ε-(´∀`;)ホッ…ヨカッタネー
なので、この作品はなかなかの長編だし
クソ重い
テーマなんけど…
育児中の人だけではなく
全ての人に当てはまる、普遍的な
「自分自身の在り方」
みたいなものを、
改めて見つめ直させられるような…
思考停止してませんか?
ちゃんと自分の頭と心で考えて生きてますか?
って、問われているような気持ちになりましたギクッ…
あと物事は見方によって180度変わる、
という事実も改めて。。
そして毎回思うのだけど…
角田先生って、
ご自身はお子さんいらっしゃらないはずなのに
(エッセイ内で子供はいない、と明記されてました)
なんでこんな育児中の気持ちが分かるの?!
と毎回ビビらされます…。(震え)
角田先生の作品、多いんですよね、
母親としての目線で書かれた題材が…。
そりゃもちろん、経験した事しか書けないとか
表現できないとなると、作家も俳優も成立しない
職業なんですけど…
それにしても毎回毎回リアルすぎて
ううむ…!
とガチで唸ってしまいます
それがプロなんやね…
あと
母と娘の呪縛
も、
この作品での裏テーマになっているような…。
根深いよね、この問題。
自覚、無自覚に関わらず
ほんとに影響あると思う。
私の周りにも、この問題を抱えている友人は
何人もいます。
…ふー、大晦日にこんな重たいものを読んでしまったけど…
これは、来たる新年から
もっと俯瞰して
もっとよく考えて生きろ。
ってメッセージなのかな、と思い
心して新しい年を迎えたいと思います
本年、このブログに遊びに来て下さった皆様、
本当にありがとうございました
どうぞ良いお年を
お迎えください