●臨時休診日
●手島院長休診日
11月の臨時休診、院長休診日の予定はありません。
こんにちは。
もものマークのクリニック 院長てしまです
前回記事の続きです。
5年前と今とで状況が変化したこと、それは
水ぼうそう(水痘)が2014年10月1日より定期予防接種対象疾患に組み込まれ、8年という月日が流れたことです。
水痘ワクチンは、2回接種することで90%超の発症予防効果が期待できると言われ、残念ながら発症した場合にもごく軽くて済みます(重症化予防効果)。
定期接種化以降、当院を水ぼうそうで受診するお子さんは非常に少なくなりました。また、水ぼうそうと診断された場合でも、以前のように全身に派手な水疱が多発するような例は少なく、水疱がちょこちょこ出る程度の軽症がほとんどです。これは大変喜ばしいことなのですが、一方で、若い帯状疱疹の患者さんが増えている理由のひとつになっているとも考えられています。
一度水ぼうそうにかかると、水ぼうそうのウイルスは身体の中の『神経節』に残ります。完全には排除されないため、疲労やストレスで免疫系が十分に働けなくなったときに、水ぼうそうウイルスが再活性化することがあり、神経に沿って痛みや発疹が出現します。これが「帯状疱疹」です。
それではなぜ、水ぼうそうにかかる子どもが減ると、若年齢層の帯状疱疹が増えるのでしょうか?
全身に水疱ができるような水ぼうそうにかかると、その患者さんからは大量のウイルスが周囲に撒き散らされます。既に感染した経験のあるひとがこのウイルスに接すると、そのひとの免疫系が「あ、コイツ前に退治したことある!」と目を覚まします。【ウイルスを抑えつける方法を復習する感じ】と言ったら分かりやすいかもしれません。
予防接種が定期化されていないときは、この様な機会が多く存在していたはずです。特に、保育園、幼稚園、小学校で集団生活を送る年齢のお子さんであれば、同じクラスの子が水ぼうそうを発症し、ウイルスに暴露される機会が毎年のようにあったでしょう。また、その年代のお子さんが家庭にいれば、お子さんが発症したり、暴露されたウイルスを持ち帰ったりすることもあったでしょう。
水ぼうそうのウイルスに接する機会が多ければ、それだけ免疫系が【復習】することになるので、体内に潜んでいる水ぼうそうウイルスもしっかり抑えつけてくれる訳です。
水ぼうそうのワクチンが定期接種化され、重症や、跡が残ってしまうようなひどい水疱の患者さんが減るのは本当に良いことです。一方で、このような側面があることを知っておき、一般の方でも帯状疱疹の初期症状を知っておいたり、帯状疱疹後神経痛の後遺症が生じやすい中高年層になったら、ワクチンの接種も考えたりするのが大事なのだろうなと思います。
何より大事なのは、専門科に関わらず医者側が、知識をアップデートしておくことでしょうね。
「帯状疱疹なんて年寄りの病気。若い人が罹るわけない。」
という思い込みで、せっかく受診した患者さんの典型的な症状を見逃したら、気の毒すぎますから
私も、心して臨もうと思います。