こんにちは。
もものマークのクリニック 院長てしまです
先日、足の低温やけどで受診した女性がいらしゃいました。
昨年末にヒーターの前で寝込んでしまい、気が付いたら足にやけど。
近所の病院で
消毒＋フィブラストスプレー＋ゲーベンクリーム＋ガーゼ
（↑突っ込みどころ満載）
の治療を継続されていたけれど
急に足の痛みが出てきたのでうちのクリニックを受診した、とのこと。
問診票の住所を見ると
鹿児島県鹿児島市
ずいぶん遠くにお住まいですね。
東京にはお仕事で？
とお尋ねしたところ
「ええ、すぐそこの、東京ドームで.....」
ああ、あれか
東京ドームで最終日を迎える食の一大イベント
ふるさと祭り
（ふるさと祭り2017公式HPより）
我が家も4年ほど前から毎年家族で繰り出していたのですが
今年は都合がつかず残念な限り
超ビッグな物産展
といった様相のイベントですから
出店のために各地からかなりの人数の方々が
スタッフとして東京にいらっしゃっているはず。
今回受診された患者さんもそのおひとり、というわけですね。
初診時の写真
（白いのはゲーベンクリームの拭き残り）
右のすね、くるぶしよりもちょっと上のところに2か所
いかにも深そうなやけどがあります。
加えて、やけどのところからくるぶしあたりまで
ほんのりと赤く、押すと痛みもあります。
やけどの傷からの感染、と診断して抗生剤の内服を処方するとともに
やけど部分は軟膏と、吸収力の強いパッドで保護して、
密閉しないタイプの湿潤治療を開始することにしました。
使ったのはこちらのズイコウパッド
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黄色いのは、ダメージを受けて死んでしまった皮膚の組織。
従来の、消毒＋ガーゼで乾燥させて治す治療方法だと
まずはこの黄色い壊死組織が乾燥してカサブタになり
その下で生きている組織が頑張って
徐々にカサブタを押し上げるように皮膚を形成していく感じになります。
湿潤治療では、消毒せず、傷を程よく潤わせておくことで
壊死組織の自己融解が促され（要するにいらんモノがとっとと融けて無くなってくれる）
生き残った組織から皮膚が再生するステップも同時進行で進むので
より速やかに傷が治ってくれます。
「感染した傷に、湿潤治療はダメなんじゃないの？？」
と思われている方もいるかもしれませんが
感染した傷には
湿潤治療がダメなんじゃなくて
キズパワーパッドに代表されるハイドロコロイドのような
『密閉するタイプ』の保護がダメなのです。
そして、必要とあらばしっかり抗生剤を内服してもらうのもとっても大事。
この患者さん、2日後に受診したときには痛みがほとんど引き
通院開始後4日目には、傷も明らかに治癒に向かって動き出してくれていました。
初診から4日目
「ここの病院を受診して、本当によかったです！」
と、うれしいコメントもくださいました。
たまたまドームから近かったとは言え、お役に立ててわたしも嬉しいです。
とお返しすると
「いえ、足が痛くなったとき、ドームや宿泊先の近くで何件か皮膚科は調べたんですけど。
まったく知らない土地で、心配で。
でも、ここの先生はブログもやってらっしゃって、人柄がわかる感じがして安心できたんです。」
なんと。
ってゆーか
どんな人柄だと思われたんだろう
気になるけど突っ込めなかった（笑）
そして、ふるさと祭りは15日で終了。
患者さんはその後鹿児島に戻ります。
せっかく湿潤治療でよい経過になってきたのに
もとの病院の治療に戻るのはもったいない
かといって
この深さの低温やけどは、どんなに頑張っても治癒まで時間がかかる。
その期間を、患者さんが自分一人で耐えるのは酷に違いない
で、夏井先生のHPの医師リストでチェックしてみたら
広い鹿児島県内、3施設しか登録していないという
しかーし！
幸運にも、リスト内の
片平整形外科なら、この患者さん受診可能とのこと！！よかった
ちなみに、片平先生に患者さんを紹介するのは、今回で2回目なのです。
今回の連携プレーも、うまくいきますように
片平先生、よろしくお願いいたします！