湿潤治療と傷跡 | 文京区小石川 もものマークのクリニック 院長ブログ

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文京区春日駅最寄りの形成外科・皮膚科のクリニック。
湿潤治療、シンプルスキンケアのこと、もっと皆さんに知ってほしい♪

『従来治療に比べて、傷跡が残りにくい』
というのも湿潤治療の売りのひとつ。
それ自体は決して間違ってはいないのですが、
この『残りにくい』という部分が『残らない』という言葉に置き換えられていることもあって、
それってどうよ?
と思うことがしばしばあります。

湿潤治療なら、どんな傷でも跡形なく治る

みたいな。
イヤ、それちょっと違うぞと。

傷跡がどこまで綺麗になるかは、
傷の深さそれ自体である程度まで運命が決まってしまっているところがある
というのは紛れもない事実です。
プラス、年齢や身体の部位、人種、ケロイド体質でないかといった肌質などの要素も絡んできます。
(もちろん治療の仕方次第で、状況を悪化させる場合もありますがあせる

こどものごく浅~い擦り傷などは、正直湿潤治療でなくたって、跡形なく綺麗に治る場合が多々。
私も遥か昔にに散々擦り傷をこしらえて、保健室でバシャバシャヨーチン消毒されたクチですが、今でも残っている跡はナッシング。ま、同じように綺麗に治るなら、痛く無い方が幸せですから、今更当時の治療法を体験したいとは思いませんがね。

そして、湿潤治療をするようになってからガッツリやらかした膝の深~い擦り傷は、3年経過した今も跡がしっかり残っています。
治療経過に特に問題が無くても、
始めから終わりまで徹底して湿潤治療をしていても、
です。
それだけの怪我をした、医者の不養生な自分に呆れつつ納得するしかない。そーゆーもんなのです。

さらに難しいのは、同じ程度の傷が治癒して、同じ程度の傷跡に落ち着いたとしても

「ここまで綺麗に治ったアップ
と思うか
「こんなに跡が残ったダウン
と思うかは、

本当に人により様々ってこと。
この辺りにも形成外科医が「傷跡残ります」の一言で済ませたくなる理由があったりもする。
だってホントに大変なことがたまにあるんですもの…(遠い目)

なので、最近の私のスタンス。
傷が治癒した後のことを心配する患者さんには、今後予想される一般的な経過を説明した上で
「傷跡のことで気になることがあれば、治った後でも気軽に相談にいらして下さい。」
と、付け加えるようにしています。

心配になったら来院してもらい、実際に見て、その時その時の状態をプロの目で客観的に評価する。
そして、必要があれば治療もするけれど、時が過ぎるのを待つしかない時は、そう伝える。
そして説明をされた後でも、また心配になったら、また来てもらう。

傷跡をどう受け止めるかは本人(とその家族)次第である以上、医者に出来ることなんてそれ位だと思う今日この頃なのです。