文京区の小学生は、先週から夏休みに入りました。
そしてこのところ増えているのが
「こどもの足の裏にうおのめができているのに気がつきまして・・・」
と言って、親子で来院するケース。
小学生にもなると、さすがに頭のてっぺんから足の先まで親がチェックする機会はどんどん減ります。
毎日足の裏をしげしげ眺める親がいたら、むしろ変わり者の範疇でしょう。
察するに、
こども夏休みに入る
↓
家で裸足でゴロゴロするわが子
↓
普段めったに見ない足の裏も、さすがに見る機会が増えた
↓
ちょっとなにその足の裏のうおのめみたいなの
といった感じで気がつくお母さんが多いのではと。
本人に聞いても
「あー、ちょっと前からあったかも」
と、要領を得ないこと多し。そんなもんです小学生。
で、うちのような皮膚科を受診してくれる訳ですが、
問診表に「こども、うおのめ」とあると、実際のところ十中八九うおのめではなく
「尋常性疣贅」(=ウイルス性のいぼ)という診断が下ります。
そもそもうおのめってなんなの?という話ですが。
うおのめは、正式名称「鶏眼(けいがん)」と言います(魚じゃなくて鳥なのです)。
本来皮膚を守るべき角質層がピンポイントで分厚くなり、
円錐のような形で皮膚に食い込み痛みをおこすものです。
皮膚に加わる慢性的な刺激が原因であり、他人にうつるものではありません。
治療としては、この食い込んでいる角質の塊を削って除去すること。
ただし、うおのめができる原因(靴が当たっている、骨が出っ張っているetc)がある限り、再発する場合がほとんどです。
こどもは体重が軽いせいか、はたまた固い靴を履かないためか、めったにこのうおのめが出来ることがありません。
だから 「こども、うおのめ」 とくると、まずは「ホントかな」と疑うわけです。
一方の尋常性疣贅。
こちらは、皮膚の小さな傷にウイルスが感染し、かたいしこりのようないぼを作る病気です。
ウイルスが原因なので、他人にもうつる可能性はありますし、
自分の身体のほかの部分にウイルスが飛んでいぼが増えることもあります。
足の裏にできたいぼを「これなんだ~??」と、いじっているうちに手の指にうつる、なんてことも珍しくありません
治療法は、液体窒素を使った方法が一番メジャーです。
スプレーでいぼに液体窒素を吹き付けたり、
液体窒素に浸した綿棒をいぼに押し当てたりします。
こうして、いわばわざと「凍傷」の状態を作り、皮膚に強い炎症症状を起こさせて、いぼを押し出そうとする、なかなかアグレッシブな治療法です
かなり痛い治療法ですから、いぼの数がたくさんあると、患者さんは本当にしんどいはず。
かといって、あまり痛くならないように『ちょいちょいっ』っと当てた程度では、ほとんどいぼは反応しません。イコール、いつまで経ってもなくなりません。
いぼは、患者さんの体にいぼのウイルスに対する免疫が成立して初めて治癒に至ります。
免疫系に「ここに排除対象のウイルスがいますよ~」と、通報するためには、それなりに大きな声を出さないとダメなようです。
水ぶくれや、ひどい時には血豆ができるくらいまでの反応を起こすと、いぼは確実に小さくなります。
そして、いったん治療すると決めたらある程度たたみかけるように(できれば1週間おき、駄目でも2週間ごと)処置をすると、治療成績が良いように思います。
比較的治りやすい場所は、手や指の背側のいぼ。角質が薄いのがポイントなのでしょうか。
逆に、治るのに時間がかかることが多いのが、足の裏。
もともと角質が分厚いうえに、いぼが角質を増殖させて中にひきこもるものですから、ほんとーーーーーーーーーに治療が大変
さらにもう1か所、難渋するのが爪のきわにできたいぼ。ここは、爪の下を這うようにいぼが広がるので、消えたと思っても爪の下に残って再発、なんてことも多いのです
しかも、指先のように感覚の鋭敏な場所の液体窒素・・・・・患者さんにとってはゴーモンでしょう
そんなわけで、お母さん方。
お子さんの足に、「うおのめ」的なものを見つけたら、早めに皮膚科に連れて行きましょう
こどもは一般的に皮膚が薄いので、治療への反応もいいことが多いです。
何より、あんまり数が増えないうちに、なんとかしちゃったほうが楽だと思いますよ。
うちのクリニックでは、液体窒素の痛みがどうしてもガマンできなかったり、液体窒素への反応が悪かったりする場合にも、なんとかいぼに対抗するよう治療を工夫しております
どうぞ怖がらずに受診してくださいね~
参考までに・・・・ネットで拾ってきた画像ですが、
↓これが、うおのめ
↓こちら、ウイルス性のいぼ
・・・・・・そっくりやんけ
もちろん、「いぼ!」という見た目のものもありますが、
迷ったら一度受診してみるのがおススメです。
いぼならば、なにはともあれ増えないうちに!