海の統治者ポセイドンの妻アンピトリテには
50人の姉妹で、海のニンフ、ネイレス達がおりました
中でも飛びぬて美しかったのが、女神テティスです
そう、あのゼウスの妻ヘラの子供ヘパイストスが醜いことから
海に投げ落とした時に、拾って育てた女神です
美しいけれども、その子供はゼウスよりも
賢い子になるだろうとのことから
ゼウスは女神テティスを、テッサリア地方プティアの王
人間のペレウスに嫁がせようとします
女神テティスにとって、人間に嫁ぐということは
屈辱的なことでしたので、ペレウスが追いかける時
火や獅子など、様々なものに姿を変えるのですが
とうとう、捕まってしまうのでした
こうして女神テティスと、人間ペレウスの婚儀は
様々な神々に祝福され、盛大に行われます
二人の間にはやがて、半神半人のアキレウスという
優秀な男子がうまれるのです
この時鍛冶の神ヘパイストスが女神テティスに送った甲冑が
アキレウスに伝えられたといいます
【 コルネリス・ファン・ハーレム 『ペレウスとテティスの婚宴』 】
しかしながら、軍神アレスの妹で、女神エリス(不和の女神)だけは
招待されなかったのでした
このことに憤慨した、女神エリスは不老不死の園からもぎ取った
黄金の林檎を饗宴の席に投げ入れます
「 一番美しい者に送る 」というメッセージ付きで
すると、宴会の中で「一番美しいのは私」だと
美の女神アフロディーテ、戦いの女神アテナ、ゼウスの妻女神ヘラが
名乗りをあげます
困ったゼウスは、3人に向かって
「誰か一番美しいかは、トロイアの王子パリスに決めさせよう」と提案します
そう、あのトロイアの王妃カッサンドラの兄です
生まれた時に
預言者から「この子が国を滅ぼすだろう」と言われ
捨てられて羊飼いとなっていたパリスのもとに
3人の女神が現れます
【 エンリケ・シモネ・ロンバルト 『パリスの審判』 】
絵の中で服を着ているのがゼウスの妻ヘラで
パリスに「世界を支配する力」を与えようと言います
服を脱ぐのを躊躇しているのが女神アテナで
パリスに「世界一の軍事力で、いかなる戦争にも勝利を与えよう」と言います
そして、もちろんと言うか裸身を誇示しているのが女神アフロディーテで
パリスに「世界一の美女を与えよう」と言います
パリスは何の躊躇もなく、
「私は世界一の美女を選びます」と言って
女神アフロディーテが勝利しました
そして、パリスが望んだ世界一の美女とは
ゼウスが白鳥に変身してすでにスパルタの王妃となっていたレダに
言い寄って生まれた娘ヘレンです
【 ガストン・ビシュエール トロイのヘレン 】
トロイア戦争②に続く