坂の途中の出来事 | イミリーのブログ
去年の夏のことである



はじめてのクリーニング店を利用した

その店は
駅までの細い坂道の途中にあり

長年前を通るだけだった



前を通る時はいつも開店前だったからだ

それが

夏のあまりの暑さに
白い服を頻繁にクリーニングに出したくて
そこを利用してみた

70代くらいの店主だったが、丁寧で早い仕上がりが気に入り

三度目くらいに白い服を持って行った時のことだった

「駅まで行くの?ちょうど配達があるから車に乗って行く?」と言われた

一歩外に出ると汗が吹き出す暑さだった

店主は仕上がったクリーニングを腕にかけ
店の前に飛び出した

キキキキーーーー

キューーーーツ

右からはランドクルーザー
左からはマウンテンバイクが

急停車した


店主はビニールで覆われた配達の服を下敷きに

道路で一回転していた

「大丈夫ですか!!!」


一斉に声をかけた


そのアクティブな身のこなしは

忍者か
はたまたアクション俳優を
思わせた


私のために
少しでも早く車を冷やしておこうと急いだことが

車に乗ってからわかった


冬になって
坂の途中のクリーニング屋に

しばらく行っていなかったが

久しぶりに
店主を見かけた

颯爽と
軽やかな身のこなしで

歩いていた


今年の夏も

また



白い服を持って行こう