その日、私はJICA(国際協力機構)で多国籍ランチを食べながら

附属の資料館で、日系移民の歴史をぼーっと眺めていました。


日々の喧騒から離れて、歴史の重みに浸るつもりだったんです。

「でもあれ、なんだか…この写真の女性…

私に似ているな…?

展示されていた、まだ若い頃の移民女性のポートレートに目が留まりました。

家族写真の中の彼女は、なんというか、私のモノクロ写真のように見えたのです。

すぐに家族LINEで写真を送り、兄弟に確認したところ、「え、合成? 瓜二つじゃん」「クローン?」と、とにかく「そっくり」で意見は一致。

その写真に添えられていたキャプションを見ると、そこには「東北(私の実家ルーツ)から移民された一家」との記載が。

「そう言えば、祖母の兄弟が戦後南米に移民したと聞いた事があったような…」

漠然とした家族の記憶が、鮮やかな一枚の写真を通じて、急に熱を帯び始めました。

その場に居らした学芸員さんに「移民した方のデータベースってありますか?」と前のめりで伺ったところ、「当時の記録を調べられる図書館が同館にあります」と、すぐさま一同資料図書館へ。

名前・県名・移民した大体の年度が分かれば照会できるとのこと。何十年も前の記録に期待はできないだろうと思いながらも、祖母の兄弟の名前と「南米」と入力してもらうと…なんと、まさかの乗船記録があったんです! 私は思わず声を上げそうになりました。

そこからはもう、歴史探偵です。現地で発行された県人会の会報誌を紐解き、当時の商工会を当たってもらい…ついには親族が住んでいた住所までもが判明してしまいました。

祖母ですら生き別れになり、何十年と連絡も取れなかった親族が、地球の裏側の、それも私がぼーっと見ていた写真の中にいたなんて…。

バタフライエフェクトのようなミラクルが巻き起こりすぎて、人生は奇跡に満ちみちています。



P.S. ちなみに、資料館を出る際、鏡を見たのですが、あの写真の女性、確かに私に瓜二つではありましたが…私の方がちょっとふっくらしていました。 

次回、向こうの親戚に会う前に、南米料理でリバウンドしないように気をつけようと思います。