土日休みは久しぶりで

teteの爪切り、耳と肛門線のケアのため
動物病院にかかる予定がありました。

私が支度をしている間に
早起きの夫は

teteを敷地内に放って
車の手入れをしていました。

日常的な光景です。

いつもteteは
敷地の砂利をぐるり一周
掘ったり嗅いだり排泄したり

南側はゲートなどありませんが

これまで決して自分だけで
敷地を出ることはありませんでした。

私が化粧をして
玄関を出ようとすると

「ねぇ、tete知らない?」と
夫がドアを開けて聞いてきました。

え?いないの?

私はサンダルをつっかけて
敷地を見て周りました。

いない。

敷地を出て右にも左にもいない。

「いないんだ」
夫の言葉を聞いて私は飛び出しました。

左に行けばバス通り。

散歩はだいたい右の住宅街へと向かいます。

私は直感的に右へ走りました。

何度も名前を呼びました。

生きた心地がしない。
いい事も悪いことも思い浮かばない。

胸がつっかえて息が出来ない。

向かう方向に
姿を見つける確信も無く走る。

10mほど先の角の坂道を
左に曲がると

そこからまた10mほど先の電柱に

teteの姿を見つけた時は

身体中が弛緩したような感覚になって
声を振り絞ってteteを呼びました。

teteはいちど、
ピョン!とジャンプをしてから
こちらへ向かって猛烈ダッシュをしてきて

尻尾ぶんぶんで
私の周りをクルクルとスキップして

しゃがんだ私の腕に
ピョーンと乗っかってきました。

とても誇らしげな表情。

tete、冒険したの?と
私は聞きながら
teteの被毛に顔を埋め抱きしめました。

住宅街とはいえ、
車通りは少なくない。

左のバス通りにもしも出ていたら。

悔やんでも悔やみきれなかったであろう
その可能性を考えると

大いに反省し
気を引き締めなければなりません。

安堵の姿の夫を
責める気にはなりませんでした。

臆病なチワワ代表のような
うちの愛犬が

まさか、
こんな大それた行動をするなんて
想像もしなかったから。

後になって夫は、
脱走よりも
さらわれた方を考えたと言うほど

teteの大胆な行動は
私たち飼い主夫婦の想定外だったのです。

猛省の極みです。

予定通り動物病院を受診し、
主治医に顛末を話すと

主治医が大学から研修医時代に
飼っていた保護犬が
脱走癖のある子で

網戸を突き破り、
2階ほどの高さももろともせず、
朝夜かかわらず、
雨の日も風の日も

何度となく出ていくので
当時は本当に苦労したと話してくれました。

そして捕まえるたびに
いつも楽しげにしていたと。

teteにも当然備わっている野生の部分。

飼い犬として共生するには
こちらには責任があるし

現代を共に暮らす幸せの概念に則れば

犬のその野性的な部分を認めてあげる事は
生涯してあげることはできないけど

承知はした上で
その部分をカバーしてあげられるぐらいの
楽しみや満足感を

できるかぎり与えてやれる環境を
持ち合わせなければならないと

心に刻んだ日でありました。

今月teteは8歳。

まだ、8歳。

ベビーフェイスが
少しワイルドに見えてきました。