憤りの街角

捨てられて野良犬

やさぐれた遠吠えを

風がこの部屋に運ぶ

 

おめおめと目を覚ませば

壊れた窓から

朝陽が斬り込んで来る

 

あの日の傷跡

やけに痛む

 

重い腰を上げ

諦めという名の世情に

この身を挿入

 

涙を忘れた少女の行方

放置された嘘塗れの真空管

餌を強請る雀

 

絶望に染まった空の下

諦めることを諦めた

彼女が歌う

もっと強い愛をと

あゝ

なんという美しい所作

ディーバ...俺は呟いた

 

 

 

酷暑の渦中

使い捨ての宅急便の

運転手の辞世

この部屋を劈く

 

のうのうと目を覚ました

自らを恥じれば

妙に朝陽が綺麗だ

 

投影と孤独

胸が空く

 

ジャンヌ・ド・アプスブール

戒めという名の無情を

彷徨う

 

忌憚なく夢は無いと少年

虚偽と四角い箱と残骸

金を強請る燕

 

絶望に染まった空の下

諦めることを諦めた

彼女は歌う

もっと強い愛をと

あゝ

美しい身と書いて躾ならば

ディーバ...それは貴女だ