優しい雨が降る

爽やかとでも言えばよいのか.風が吹く

砂上の楼閣

いとも簡単に崩れ落ちて

 

高みに昇ってみたかったのか

それとも

桜の奇跡だったのか

 

前方を見ず 側方を見ず 後方さえ見ず

近傍が朱に染まれば

興に任せ

昴を売り尽くし

 

短すぎる栄華に酔い痴れ

 

訪れた

祭りのあとの静けさ

その寂しさに天を仰げど

 

夢のあとさきを

どう生きようか

突き付けられて

彷徨う民

どことなくみすぼらしい・・・

 

せめて

起死回生を謳い

悪足掻いて

無理強いさせることの無いよう

願いたい

 

貧しくとも

心豊かに

淡々と粛々と

生きることの方が

美しいのだから・・・

 

春は花見

老若男女集って

旨い酒を飲み

肴は幼子の歌がいい

 

夏は涼を求め

湯田川辺りで

蛍鑑賞なんてのが粋だ

汗ばんだ手で

君を抱き寄せ

二人見つめ合えば

流星群の祝福が

 

秋はやはり京都で紅葉狩り

トロッコ列車の車窓から

粧し込んだ

山肌を眺めながら

お茶と和菓子を上品に

君は

甘いねと笑った

 

冬は

黙り通した歳月を

拾い集め

暖炉で燃やし

温め合うのがいい

やがて

二人の歴史が

重なり合い

絡み合い

雪を溶かして...

 

急がぬように

燥がぬように

似合わぬことはせず

飾った世界に流されず

経済にも

新し機械にも

疎く

人の優しさに

優しさを以て返すことの出来る

時代遅れな

日本でありたい・・・

 

あの日の老婆に会う

彼女は申し訳なさそうな顔をして

そして

下を向いた

 

いいんですよ

食べなきゃ死んでしまう

人を見殺しには出来ない質でね

 

(情けは人の為にならず)という言葉が

ありますが

(情けは困っている人にお裾分けして)なんぼですから

 

老婆は

泣きながら言った

 

貴方の優しさを

冥土に連れて行きますと

 

俺は

俱楽部(優しさの限り)のマスター

コムサデモード・ビー・ワッショイです

 

お婆ちゃんを助けて

本当に良かった

まだまだ長生きしてくださいよ!!

 

ありがとう

何度も何度も頭を下げる彼女を

そっと見送れば

菫色した雨が...

 

そうか

もうすぐ梅雨か・・・・・・・・・・・・・・・・・