愛され過ぎて燦然と輝く桜色

咲き誇った高慢

風を押し戻す程に

 

見上げる私

見下ろす貴女

見つめる野良猫

 

どう映っているの??

答えて...答えなさいよ!!

 

真夜中の瞬き二度三度

明後日

貴女は定めに従い散った

 

花絨毯と成り果て

 

学校へと急ぐ少年の靴が

不用意なまでに踏みつけ

駅へと急ぐ会社員の革靴が

悪意なく踏み躙る

 

謙虚なまでに色褪せ

土に還るだけの貴女は

従順だった...

刹那??

それとも徒爾...

 

人目も憚らず泣き喚いて・・・

 

わたしは西野優子

ニート??遊び女??負け犬??

魂がこの街を浮遊している...

 

父はあの(緒方賓)

 

幼い頃のわたしの口癖は

パパは??

だったそうだ

母はすぐさま父の最新作を観せる

 

画面の中に佇む父の

その優雅さに

心奪われ

恍惚とした表情で見入る

尋常ではない我が子の姿に

母は殺気さえ覚えていた

 

ハリウッドスターとして

盤石の地位を築き上げ

LAを拠点に活動している

父と会えるのは

一年に一度くらい

 

だからこそ

二人は

その一年分の

寂しさを晴らすかのように

狂おしい程

愛し合うのである

 

溺愛を優に超えた狂愛は

孤独を弄り合うが如く

その光景を目の当たりにして

良からぬ不安が過るも

この子が大きくなればと

打ち消す

母・・・

 

ねえ

ロマンティック・ボーイズの紫音様

最高に素敵じゃない??

 

わたしも大大大好き!!

 

優子は??

 

わたしは・・・

 

そうよね

世界素敵男性ランキング七位の

あのお父様と親子なんだもんね

うちのお父さんなんて

最近禿てきちゃって

一緒に歩くのも嫌!!!

 

ふふふ

優子が微笑む

その瞳の奥で妖しく光っているものは何??

高校生に読み取れる筈も無いまま・・・

 

愛がエスカレートしてゆく春.晴れの日

 

明日お父さん帰って来るのね

 

そうよ

 

ほら

ありったけのお小遣いをはたいて

お花屋さんを乗っ取って来ちゃった

 

そこまでしなくても

 

いいの

一年に一度しか会えないのだから

 

繰り返される

溺愛を優に超えた狂愛の風景

 

貴方...ちょっと行き過ぎでは??

 

大丈夫だろう...もう大人なんだ

さあ 乾杯しよう

優子...ワイン飲んでみるか??

 

駄目です!!まだ高校生なんですよ!!

 

うん...

 

階下では忙しく母が後片付け

そのすきに

父の部屋に忍び込む

そして

酔って寝ているその唇に

そっとわたしの唇を重ね

愛しています・・・と

 

母の名前を口走った彼

 

拳を握り締めるわたし

 

外では春の嵐が吹き荒れて・・・・・・・・・・・・・