散歩は朝派?夜派?

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昔 
この町には
海軍の基地や
炭鉱などがあり
そこそこ
栄えていたそうだ
 
終戦後
海軍は撤退し
やがて炭鉱も閉鎖
企業も人も
徐々に
都会に出るようになり
そうだな
今では
寂れた町という言葉が
良く似合う
 
当時の
港の喧騒や
商店街の賑わい
次々と駆け抜けて行く
ちょっと艶っぽい噂話などが
今でも
脳裏に焼き付いている
お年寄りたちが
 
もうすぐ取り壊される
老朽化した西洋人会館を
名残惜しそうに見つめている
その後姿が切ない
 
僕は
この町の
青く青い空や 波の音
潮の香り 汽笛の音
何より
決して
都会の雑踏の中に
消えてしまったりしない
君が・・・
好きだ
 
そして今
二人で散歩する為に
君の住む
町はずれへと向かっている
 
右手にはありったけの優しさを
左手には一世一代の恋言葉を握り締め
この青く青い空を眺めながら
ぽつり
今朝はどんな夢を見たんだい??と呟けば
汽笛の音が跳ね返ってきた
 
うん
長閑さという名の
幻想の中を歩いているようで
 
付き合って一年
未だに
君の部屋のドアフォンを押す指が
震えている
 
しかし
いつも通りの
君の笑顔に触れ
安心する
 
変わらぬ
質素な装いは
時に
祭りの後の静けさの様で
時に
今にも消えてしまいそうな
夜の灯かりの様で
そんな君が大好きだ
ここでは
スイス製の時計も
フランス製の鞄も似合わない
ただ
木綿の匂いに包まれ
(好き)が
爆発してゆけば
それだけで・・・
 
今日は
今日こそは
左手に握り締めた
この恋言葉を
伝えたくて
少し強引に
君の手を取り
外へと連れ出した
 
波の音に聞き惚れ
潮の香りを満喫しながらも
海岸沿いのベンチ
隣の
物静かな君を
笑わせる為に
言葉が手品の様におどける
 
少しづつ
固まってゆく決意を
再び汽笛の音が
後押ししてくれた
 
心落ち着かせる為
自動販売機へ
 
百円玉で買える温もりを
君に手渡したなら
せーのっ!で
(結婚しよう!!!)を
 
君は黙って頷いてくれた
 
その時
一羽の鴎が鳴きながら飛び立って行った
そう
この町ならではの祝福
 
ありがとう・・・・・・・・・・・・・・・・・