由美子という名前が

古風に感じられる・・・昨今

 

陽葵(ひまり)だとか

凛(りん)だとか

翠(すい)なんて云う

洒落た名前が

至る所で

乳房に喰らい付いている

 

それは

信長という名前が

仰々しくも勇壮だった

いにしえの宿が

消失した後の

催とでも言えばいいのか

 

巷では

蓮(れん)だとか

碧(あお)だとかが

これ見よがしに

泣き喚いていると

専らの噂・・・

 

詰まるところ

少子化なんてのが

旬な時代の

歪んだ親心は

子供の名前さえ

 

時にマティスの

赤いハーモニーだったり

時に東野圭吾の

白夜行だったり

虚栄心に駆られたのか??

ヴィトンだったり

 

知性・野性・感性 

三拍子揃って欲しいという

誠実なる親心なのか

我が子という名の所有物を

高尚なる作品に仕立て上げたいのか

流行りだからなのか

 

鳴る鈴の音に翻弄されて・・・

 

そんな中

これでもかっていうくらいの

日本人らしい名前

(太郎)を

忘れてもらっちゃ困る

 

昨日だって

もう呂律が回らなくなった

その懲りない口は

ルッキズムについて

強烈な一撃をぶっ放し

世間様を

楽しませてくれた

そう

太郎が(与太者)たる所以だ

 

もう(ブス)という言葉を

使ってはいけない

 

どう悪足掻いても

その言葉には

悪意が滲んでいるから

 

少女の心を傷付け

時に摂食障害へと追い遣り

命をも奪ってしまうのなら

 

優しく

微笑んであげればいいじゃないか

 

麻布台ヒルズの地下駐車場で

段ボールにくるまって

凍えている

倶楽部(優しさの限り)のマスター

サンローラン・ビー・デッドからの

お願いだ

 

美醜格差に対しては厳しく

ラグジュアリーだのセレブ等の

あからさまな

貧富の格差を表した言葉には甘い

 

この矛盾も

誰が為??と言ってしまえば虚しいが

 

大らかな心を以て

許す他ない時世なのであろう

 

人間の

時に清廉さであったり

時に思惑であったりが

無数に飛び交う

劇場内を

語彙も持たず

縫うように走る

野良猫のそのしたたかさが

自らにとって

都合の良い語彙を操るばかりの

人の浅はかさを突き刺せば

痛くもあり痒くもある

 

令和の密室から

漏れて来る声の事など

知りたくもないと

この国の行方に背を向ければ

 

自ずと

平成の歌姫なんかを口遊む

壮年独り・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・