遠くで鳴っている鈴の音を

感じながら生きて来た

 

それは

時々煩わしくもあった

何故と思うことも

この音に感情が支配されているようで

けれど

それら含め

私だけのメロディー

きっと延々と続く寂しさ

 

幸せにはなれない

幸せになってはいけない

そう思い込んでいる自分が

汚らわしく感じられる

とでも

言えばいいのか

 

教室の中の

一番寂れた

孤独の居場所に陣取っている

私(加奈子)は高校二年生

 

とても爽やかで

物腰柔らかな幼馴染の(亨)の

その笑顔

眩しすぎて

益々私は陰へと追い遣られる

 

それこそが私らしさだと俯いている私の

 

どうして

このメロディーを盗むの??

そして

心を差し出してくれるなんて・・・

 

どうして

 

幸せが私の手を強く引く

もう抵抗さえ出来ないのね

嬉しいよ・・・本音がポロリ

 

頑なだった自分に

さようならを告げれば

心の岸辺に赤い花は咲いた

 

無くなってしまった鈴の音

今日は

その居場所に

小川の潺と自転車を漕ぐ音

 

そう

川沿いの道路には

亨の自転車の後ろの私

 

彼の腰に手を回せば

冬の風さえ温かい

 

何処へ行くの??

何も無かったこの心の中に

思い出という名の風景が

刻まれてゆく

 

日毎愛が深まってゆくにつれ

次々と増えてゆく思い出

この心から

こぼれ落ちてしまわぬようにと

思わず胸を押さえる

 

誰かが歌っていたね

心と心が繋がってさえいれば

I LOVE YOU の一言さえ

野暮だと

 

亨が口遊む

君が笑うなら その笑顔さえ

君が泣くのなら その涙さえ

全てを赦し

危険な道さえ駆け抜けるから~~~~

 

ありがとう

 

そう

初めて素直にありがとうを言った

 

夕暮れ迫る公園のベンチで

優しいキスを交わせば

全てが報われた気がした

 

もう鳴らないであろう鈴の音よ

本当に幸せになっていいのね??

 

うん!!

 

時に幸せから脱落し

もう一度幸せを掴み直し

儚くも哀しくも嬉しい

人生という名の道を

淡々と歩いていけばいいと・・・

 

教えてくれたのは

あなたでした

 

これが

永遠にも満たない

永遠であったとしても

もう何も怖くはない

 

でも・・・

又 真っ暗な迷路に迷い込んだなら

手を差し伸べてくれるのは

やっぱり

亨だったらいいなって

 

少しはにかんだ顔で・・・・・・・・・・・・・